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実務と学術の往復

前回に引き続きネット記事の引用です。

この記事では、なぜ学術研究の成果が政策的な意思決定に使われないのかを検証した経済実験が紹介されています。(肝心の実験の内容は有料会員限定となっています...。)その結論は、「政策担当者に研究成果が伝わっていないから」とのこと。近年"エビデンスに基づく政策形成"(Evidence Based Policy Making, EBPM)への注目度が高まっていますが、政策担当者が肝心のエビデンスの1つである学術研究の成果に触れることが少ないというのが現状のようです。

私も本職は実務家ですが、実務を通じて得られた気付きや検討の成果のうち、有用なものは論文やワーキングペーパーにまとめて学会でシェアするようにしています。(一応研究者の端くれを自負してるので...。)学会の出席者の多くは大学の先生で、分野によるところもあると思いますが、実務家の報告を大変歓迎してくれます。つまり、実務⇒学術の流れはそれなりに確認できるというのが私の印象です。

しかし、その逆、学術⇒実務の流れは、記事が指摘するようにあまり見られないです。EBPMの機運が高まってきているのに、現場の仕組みややり方の部分で非効率が起きているのは非常にもったいない気がします。個人としてできることに限界はありますが、実務と学術のどちらか一方通行にならないような取組みを心掛けたいものです。

ちなみに、経済学者が行っているEBPMに関する研究の成果が実務において活用されない理由を明確に指摘した論文として、鈴木(2018)があります。

鈴木亘(2018)「EBPMに対する温度差の意味すること」『医療経済研究』 Vol.30, No.1, pp.1-4

筆者の切れ味鋭い考えが6つも掲げられており、読み応え抜群です。関心のある方はぜひご覧ください。

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