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森の建築家 #1

私がこの森と出会ったのは、今から5年前のことだった。

当時本物の「森」という物にであったことのなかった私はその迫力の前に圧倒されていた。

本州にはほとんど「森」と言う物は存在していない事に気がついたのは、この森に来てから気づいた。

本州には山(山林)はあるが、森とゆうものはほとんど存在していない。なぜなら少しでも平坦な土地が存在していたら、皆削って宅地にしてしまう。だから「森」と言われるものは見かけないのだ。

さすがに私もこの森に手をつける気持ちになるまでには それから10ヶ月はかかった。

開拓出来るの?

こんな森の奥に建物を建てることが出来るのか?

水はどうするのか?小川の水?

電気の引けるか?

ここで存在することは本当に可能なのだろうか?

ガス・燃料の問題と考えなくてはならないことはこの森のように膨大にあったからだ。

 この土地は近くの国道より約1キロ、砂利の町道に面した縦長の細長い土地で、昔の国鉄用地の払い下げされた土地を購入したものだった。

近くを、線路が走っており一日数本の汽車(電車・この辺りではまだそう呼ぶ)が通り、時期になると山菜取りやきのこ狩りの車が入ってくるぐらいの土地だ。周辺には辛うじて昔の馬車道路(細い小道)があちこちについている程度で、もちろんはじめは私の敷地内にも道と呼べるものは一つも無く、木が鬱蒼と被い茂り、下草も伸び放題で車も通れぬほどだった。

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