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東京の商店街 自転車の観光客

駅まで続く商店街。
銀行があり、コンビニがあり、携帯ショップがあり、ドラッグストアがある。八百屋さん、クレープ屋さん、居酒屋、美容院、もみほぐし…。

路地の幅は5メートルもないんだろうな。人と人は触れ合わないけど、前の人を追い越すのが難しいくらい混んでいるし、夕方ならなおのこと。
自転車で通るときは、この通りじゃなくて一本となりを走るか「歩くよりは結果ちょっと早い、時々空中で止まる」くらいの速度で移動する。

私は旅先で自転車に乗るのが好きだ。
元々自転車で風を切って走る感覚が好きだし、自転車なら街や風景を身近に感じながら歩くよりもずっと速く遠くへ行けるから。
自転車に乗るのに上手いも下手もないと思っていたけれど、北ドイツに行ったときにドイツで自転車に乗る人たちの重心・速度・姿勢が安定しているのを見て、美しくて上手だなと驚いた。
それを日本に帰って友人に話してもなかなか伝わらなかったけれど。
ロシアから友人が遊びに来て京都を自転車で見て回った。
「自転車に乗れるからOKだよ」と言っていたけれど、彼女は自転車に普段乗りなれていないらしく、体に力が入ってこわばっているし、人や物をよけるために歩くような速度で自転車をこぐのは苦手だった。
自転車の乗り降りにも慣れと不慣れがあるのだ。

この人の切れ目が見えない狭い商店街を外国人観光客が自転車で突き抜けようとしていた。
レンタサイクルの車体を左右に揺らしながら、
「この人混みを通らなきゃいけないの?!」
「よーし突っ込めー!」
というようなことを英語で言っていた。

彼女たちは、自転車をゆっくりこげるほど、自転車に慣れていない様子。

こういう時は、自転車から降りて、自転車を押して歩くんですよと声を掛けられる距離でもなく。
私の背中方向の交通安全を祈る。

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