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三浦春馬 ドラマ「ブラッディ・マンデイ」 ~ファルコンよ、永遠なれ

この作品は、まだ10代の美少年・春馬くんを主役(しかも連ドラ初主演作)に据えておきながら、恋愛ものではなく本格派アクションサスペンスというのが意外であり、先が読めないスピード感のあるストーリーも飽きさせない。
面白くてシーズン1、2と一気に2回も観てしまった。

キャスト陣は今見てもかなり豪華だ。
折早マヤ役の吉瀬美智子さんは妖艶でクールな工作員、J役の成宮寛貴さんは狂気を秘めたカリスマ的な役が似合う。
サードアイのメンバーも強者揃い。指揮官・霧島役の吉沢悠さん、加納役の松重豊さんは苦みばしった格好良さ。革のスーツにネクタイが似合うなんて松重さんくらいなもんでしょう。女優陣のアクションもカッコいい。とくに南海役の芦名星さんはクールビューティーでキレがありアクション女優でもいけると思った。
教祖役の嶋田久作さんはセリフもほとんどないけど立っているだけでハマり役過ぎで…周りが癖者ぞろいのキャラで溢れている。
徳永えりちゃんは序盤はただのクラスメイトだったのが最後は物語の鍵を握る重要な役だった。シーズン2では満島ひかりさんも登場して、好きな女優さんなので春馬くんと共演していたのか!と何だか嬉しかった。
この作品の一癖あるダークな雰囲気は、『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』と似たような匂いも感じて(音弥の祖父・法務大臣の九条役の竜雷太さんも出ていた!)元々そっち系のドラマがわりと好きな自分としては、誰が裏切り者で誰が味方なのか最後までわからない、予想外の息もつかせぬ展開はかなり見応えがあった。

カルト教団によるバイオテロを題材にしたドラマなんて、実際に起きたあの事件を彷彿させるようで、当時よくゴールデンタイムに放送出来たな…とちょっと驚いてしまう。
そんな中で春馬くんが演じた高木藤丸は、10代らしいフレッシュな青臭さもあり、ドラマに一点の希望と救いをもたらしていた。
血も涙もない非情な展開に、春馬くんの泣きのシーンもかなり多くて、たびたび衝撃的なエピソードもあるのだけど、サイバー空間をファルコン(藤丸の分身)が飛ぶシーンやハッカー同士の攻防戦、藤丸の決めゼリフ ”捕獲完了” は文句なしにカッコいい!
そして話が進むににつれ、その昔IT業界で働いていた頃の仕事仲間たちの姿が私の脳裏に次々と浮かんできた。
いわゆるギーク(geek)と呼ばれるような彼らは、コンピューターやIT関連のマニアックな知識や卓越した技術を持つプログラマーやエンジニアたちで、チームを組み一つの目標に向かって一緒に仕事することも多かった。彼らはクセが強かったりとっつきにくい面もあったけれど、打ち解ければ意外と親切で優しかったし、藤丸みたいに高度なプログラムが書ける人は重宝され引く手あまただった。彼らはいざという時とても頼りになり、一芸に秀でるってやっぱりすごいなと尊敬もしていた。
このドラマの中でも、大の大人達がまだ高校生の藤丸を頼みの綱にしていて、危機的状況に陥った場面で藤丸がノートPCを取り出すと、心強くとっても頼もしい感じがした。
藤丸が「オレどうしてこんな事に巻き込まれてるんでしょう…。」と嘆くと、「あんたには才能がある。人に才能が与えられるのは同時に使命を託されるっていうこと。」と南海が答える場面は、春馬くんへ向けた言葉のようにも聞こえた。

藤丸はギークである以外はどこにでもいる等身大の高校生で、とくに腕っ節が強いわけでもなく敵にコテンパンにやられてしまう時もある。
正義感が強く妹思いで優しいところは春馬くんと重ねて見ていた。
18歳から19歳にかけての春馬くんはまだあどけなさも残っているけど、美しい横顔、長い首やきれいな鎖骨、細身だけど意外にがっしりしている肩幅など、すでに外見からして仕上がってる感がある。
藤丸がノートPCに向かう時にまず指の関節をポキポキ鳴らす仕草や、キーボードを打つ長い指にも注目!
自分けっこう手フェチかもしれん。大きな手の平や、すらっとした指先につい目が吸い寄せられてしまう。

一緒に鑑賞していた息子はゲーム好きで遊びでプログラムを書いたりもするので、憧れの目でファルコンを見ていた。当時このドラマを見てファルコンのカッコよさに憧れ、夢見た少年達も多かっただろう。
そして、春馬くんを全く知らない世代でも彼の残した作品を見て憧れを抱く少年少女がこれからも沢山現れるに違いない。
そんな一縷の望みを持っている。



ドラマ制作当時は架空の設定だった未知のウイルスという脅威に、まさに今、世界中が晒されているこの現実。
春馬くんも芦名星さんも居なくなってしまった、この現実の世界。
夢ならどうか今すぐ醒めてくれないか…。

現実の世界は、時に物語よりも残酷だ。



flumpoolが歌うシーズン1の主題歌 「Over the rain〜ひかりの橋」を聞くと切なくも胸が熱くなる。
春馬くんの輝きはいつまでも色褪せない。



シーズン2の主題歌だった同じくflumpoolの「残像」の歌詞が、春馬くんを想う人々のまるで今の心境を表しているようで…。



光を求め、傷つき、もがきながらも羽ばたくことをやめない
ファルコンと春馬くんの姿が重なって
遥か彼方、大空の向こうにあるまだ見ぬ世界を目指し
春馬くんの魂は、今も飛翔しているのだと
信じ続けていたい。

だから、
今も心の中で祈り
あなたの姿を胸に刻む。


飛べ!
ファルコンよ、永遠なれ。




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