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私の本棚

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好きな絵本や作家、本に纏わるエッセイ
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記事一覧

ちょっと怖い絵本と歌の世界

今日はまた絵本について書いてみようと思う。 少し趣向を変えて、ちょっと怖い感じがするけれ…

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映画「土を喰らう十二ヵ月」、水上勉「土を喰う日々 わが精進十二ヶ月」~滋味深く生…

映画『土を喰らう十二ヵ月』を観た。 作家のツトム(沢田研二さん)は、愛犬の "さんしょ" と…

森野 しゑに
1か月前
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小説「ののはな通信」三浦しをん〜忘れ得ぬひと

今作は、1980年代に横浜のミッション系女子校で出会った、二人の女性の物語。 "のの"こと野々…

森野 しゑに
1か月前
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「魂の退社」稲垣えみ子〜ロックな生き方

稲垣えみ子さんのことは、アフロ記者として朝日新聞社勤務だった頃から気になっていた。 一度…

森野 しゑに
3か月前
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雪の日に読みたくなる絵本

息子が10歳頃までは、毎晩、夜眠る前に日本語の絵本の読み聞かせをしていた。 読みながら幼い…

森野 しゑに
3か月前
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ドラマ「すべて忘れてしまうから」〜夢見る頃を過ぎても

ミステリー作家のM(阿部寛さん)は、日頃から、行きつけのバーや喫茶店(見栄晴さんがマスタ…

森野 しゑに
4か月前
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「紙の動物園」ケン・リュウ〜異邦人の母

ケン・リュウの短編集を読んだ。 表題作「紙の動物園」の登場人物である中国人の母親と、アメリカ人の父親との間に生まれた息子との関係が、まるで近い将来の自分と息子の光景のような気がして居たたまれず、胸が詰まった。 幼い息子のために、とっておいたクリスマス・ギフトの包装紙で、母は折り紙を折る。 中国の折り紙で有名な村の出身だった母の折り紙は特別で、母の手で命を吹き込まれた紙の動物たちは、息子の傍らを生き生きと飛び跳ね動き回り、特に紙の虎 老虎は相棒として長い間共に過ごした。 し

小説・映画「こちらあみ子」今村夏子~無垢な歪さと世界の軋み

今村夏子さんのデビュー作である「こちらあみ子」を読み終わり、何と表現したらいいのか…言葉…

森野 しゑに
11か月前
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Cocteau Twinsと鳩山郁子 〜詩的な幽玄の世界

コクトー・ツインズ / Cocteau Twinsをご存知の方はnoteにいるだろうか? コクトー・ツイン…

森野 しゑに
11か月前
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「死は存在しない -最先端量子科学が示す新たな仮説」田坂広志・著 を読んでみた (2…

前回(1)の記事では、宇宙には「ゼロ・ポイント・フィールド」と呼ばれる場があるのではない…

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「死は存在しない -最先端量子科学が示す新たな仮説」田坂広志・著 を読んでみた (1…

noteのいいところの一つは、日頃、自分では見つけ出せないような本が、様々な年代のnoterさん…

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小説「川っぺりムコリッタ」〜小さな幸せの見つけ方

主人公の山田は、高校生の時に母親に捨てられ、食い詰めて犯罪に手を染め刑務所に入り、出所後…

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絵本「ゆきのうえ ゆきのした」〜わたしも冬眠したい

週末ついに初雪が降った。 けっこう積もって、辺りは薄っすら雪化粧したように真っ白な景色に…

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柳田邦男 「犠牲 わが息子・脳死の11日」〜映画「サクリファイス」 アンドレイ・タルコフスキー

自分の年齢的なこともあるのか、最近は生と死について考えることが増え、それに関する本を読むことも多くなってきた。 そんな中で出会ったのが、柳田邦男「犠牲 わが息子・脳死の11日」だ。 それまで柳田邦男氏の名前は知っていても、著書を読んだことはなかった。 本書は柳田氏の次男・洋二郎さんの記録だ。 洋二郎さんは25歳の時に自死を試み、その後、脳死となり亡くなっている。 ショッキングな題材ではあるが、洋二郎さんと自分とは同年代であることにまず衝撃を受け、この本は手に取るべき運命だった