8月33日
MRIも三回目ですっかり慣れた。狭いトンネル状の空間で目を閉じて、耳栓越しに色々な音を聞きながら、工事現場にあるようなドリルや、シンバルを持った猿のおもちゃが登場する妄想を膨らませる。
トイレのドアを切羽詰まって叩く人を登場させてから意識が曖昧になる。技師さんに足元を叩かれて目が覚めた。「もう少しで終わるから頑張って」寝ているうちに頭が動いてたらしい。
エアコンの効いた検査室で、「布団いる?」「暖かいと寝ちゃうから」「そういう子だったな」というやり取りを交わしてたのに。お察しの通り、前回も寝てた。
閑話休題。
診断された病気による合併症が治癒していたので、行動制限が解除された。前回のMRI画像と見比べると明確だった。主となる病気の症状は残ってるけれど軽度なので、半年後の検査まで何事もないことを祈る。
これまで痛みを我慢してしまいがちだったけれど、もう若くないのだから労わっていこう。
実家や職場に報告をして、切れたままの定期券を更新した。
私の長い夏休みも終わりを迎える。しつこい営業の電話を捌きながらキーボードを叩き、先輩のゴシップやオカルト話に曖昧な相槌を打つ。そんな社会人の日常が戻る。
検査結果がどうであれ、この日の昼食は頑張った自分へのご褒美にしようと決めていた。屋上で食べたナポリタンとフルーツサンドは言うまでもなく美味しかった。
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