mmm/ハミング(愛を唄う)

コロナ禍と言われてもう3年が過ぎた。

あの頃、2020年の冬が春になろうとするそんな頃、世界の空気感は吹雪と等しかったのを昨日のように思い出す。

好きだった店や、思い出のライブハウスはどんどん無くなって、悲しくて、悔しくて、そして毎日はとてもつまんなくなっていたように思う。

私はとても音楽が好きで、ライブハウスによく行っていた。

それが生き甲斐で、心の拠り所。

だったのだが‥

2020年の3月、緊急事態宣言のギリギリ前に私は東京へライブに行ったらまるで犯罪者の気分になってそれ以来行くことはなかった。

だがしかし、コロナも落ち着き先日ヘラヘラ三銃士のライブへ行ったことでライブ参戦も本格化させ、先日はミナミホイールという大型イベントへも行き、やはりライブっていいよね最高だよね!と心の底から思う日々を過ごせるようになったのだが‥

そんなミナホで、私はこれまでの3年間ほどを詰め込んだような歌に出会った。

それが、ヒグチアイさんのmmm(ハミング)である。

コロナ禍が始まり、ライブは全て中止となり、オンラインになって、やっぱり立ち行かなくてライブハウスは無くなり、みんなで歌えなくなったそんなコロナ禍を歌っているこの曲。

そしてそんな日々の収束を感じさせるように、会場全員でラララと歌うラスト。

私も大事な場所はどんどん無くなり、仕事もなくなり失うものが多い現状があったこの3年間を過ごし、今年に入って制限が少なくなったことで自由に行えた結婚式に収束へ向かう光を見たということもあり、なんだかこの曲に自分を重ねてしまった。

胸に込み上げる何かを抑えられず、泣いてしまったのは言うまでもない。

この曲の歌詞では友達に子供が産まれたという誕生と、おじいさんが亡くなったけど最後に立ち会えなかったというコロナ禍特有の最期も描かれていたのだが、実は私自身コロナ禍で友達に子供が産まれ、祖父が亡くなったという歌詞に出てくるままの経験をしているのでいろんなことを思い出した。

この時代に新しい命が誕生したという奇跡と、誰も呼ばずたった6人のお葬式という現実。
そんな出来事にいつも以上に心が動き、感情のやり場を見失いそうになったりして‥憂いた日もあった。
このコロナ禍ではいつもより起伏が激しく、正直辛さを感じることが多かったように思う。

それはきっと私だけではない。

だけど、この曲を聴いたらそんな日々もきっと遠い記憶になるような予感がした。

忘れるのでも、風化でもなく、遠いあの日の記憶になる。
これは今ではなくなる、そんな予感がしたのだ。

ただ現代はコロナ禍の他にもたくさんの問題を抱えていて、問題は大きくなりつつあるのが現状でもあるからまた違う日々がやってくるのではという鬱苦しさも感じている。

早く心の底から安心して生きていける日々が欲しい。

そう思った。

一つの終わりが一つの始まりのようになっている現代。

眠れぬ日々を過ごす人々が増え続ける現代。

私たちはどう生きようか。

とにかく私は、世界中の人々が大声で笑って歌を歌える日が来ることを願う。

あのライブハウスでのあの煌めく瞬間のように。

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