『介護のステキ 言い換え術』を介護歴20年の男が真剣レビュー♬
皆さんこんにちは!
シンガーソングライターで介護福祉士のモリナガマサカズ です
今回の記事は先日読んだ本、『介護のステキ 言い換え術』(出発:中央法規/著者:大野萌子)のレビューです。
僕も介護の仕事をやり始めて来月で20年になりますが、実はこの本は自分が務める施設の借り物です。
全職員が読んで感想を提出する事が義務付けられてる 言わば「課題図書」になりますが、とてもいい本だったのでせっかくならnoteにも自分なりに感じた事を書いて皆さんにシェアしてみようと思ったのです。
介護の仕事をされてる方は勿論のこと、他の業種でお仕事をされてる方にとってもお客様や、同僚、部下、上司の方との接する上で非常に参考になると思います。
また、仕事の場面に限らず、夫婦間、親子間、友達同士、趣味サークルのメンバー間など、プライベートでの様々なコミュニケーションにおいても応用が効く内容が沢山掲載されています。
言葉って本当に大事ですよね?
同じような言葉であっても微妙にニュアンスが違ったりするし、言葉にくっついてるイメージも人それぞれです。
良かれと思って言った言葉も、相手の受け取り方によって真意が上手く伝わらず、関係がこじれてしまったという経験は多かれ少なかれ誰にでもあるじゃないでしょうか?
自分が使ってる言葉を見つめなおし、相手の背景や思いに寄り添う「ステキな一言」へ変換する為の具体例がこの本では沢山紹介されてます。
◾️分かりやすく、実行しやすい形で書かれた本
皆さんにとって良い本とはどんな本でしょうか?
いろんな意見があって、皆さんが “それが良い” と思うならそれぞれに正解だと思うのですが、僕は「読者が実行しやすい形で書かれてる本」が良い本だと思います。
特にビジネス書は “自己成長したい” という目的で誰もが読んでるはずなので、読んでも自分の成長に繋がらないのでは意味がありません。
本を読んだだけでは単に知識が増えたに過ぎず、成長には「実行」が必要不可欠です。
“読んだはいいけど、これって結局どうやって実行すればいいの?”
という疑問が残る本や、
“凄くいい事書いてあるけど、これを実際やるのは難しいよな…”
と感じてしまう本はあまりいい本だとは思えないのです。
その点、この『介護ステキ 言い換え術』は「誰もがそのまま実行できる形」で書いてくれています。
全12章からなる「章立て」では大枠の場面想定
そして各ページの上部にもう少し詳しい状況設定が書かれており、
その下にはその場面でついつい使ってしまいがちな不適切な一言を❌表記。
そこからステキな一言に言い換えた表現を⭕️表記で書いてくれています。
この❌⭕️方式が非常に分かりやすく、まさにそのまま使えるセリフ形式で書いてくれてるのです。
また、なぜ❌の表現が不適切なのか、⭕️の表現がなぜ適切で、感じ良く聞こえるのかの解説もとても丁寧で分かりやすく、腹落ちさせてくれます。
これによって読者は本質を理解することができるはずです。本質を理解できるとどうなると思います??
もちろん一朝一夕にはいかないと思いますが、本質を理解しながら使い続けることで、本に書かれてある場面に限定せず、違った場面でもその状況にふさわしい「ステキな一言」が自然と口から出てくるようになるのではないでしょうか?
◾️本書に書かれてある具体例をいくつか紹介
あまり多く書き過ぎるとネタバレ感が強くなってしまうので、全部で129例紹介されている具体例の中から、3つ程紹介してみたいと思います。
まずは介護現場の超あるあるシチュエーションです。
①『転倒の危険がある時に言ってしまいがち』
※職員から利用者(高齢者)にかける言葉
❌「1人で歩かないでください」
⬇️
⭕️「一緒に歩きましょう。どちらに行かれますか?」
「◯◯しないでください」など、行動に制限を加えるような言葉は、介護の世界では「スピーチロック(言葉の拘束)」と呼ばれ、不適切な対応の1つとされてます。
それを頭では理解しながらも、このような場面を見かけると安全上の観点からハッとしてしまって「1人で歩かないでください」というような表現をついつい使ってしまいがちです。
「一緒に歩きましょう」は「歩きたい」という利用者の思いを尊重しながらも、同時に安全面の問題もカバーしてるところが非常にナイスな表現なんですよね☆
これに関しては僕も普段から意識的に使ってる表現です。
数メートル先で歩行不安定な方が方が1人で立ち上がった時などに
「◯◯さん、僕が付き添いますので少しだけそこで待ってもらっていいですか?」などと説明するようにしています。
②気づきを褒めたい時に言ってしまいがち
※職員同士で使う言葉
❌「よくそんなところまで気がつくね」
⬇️
⭕️「気を配ってくれて、助かるよ」
これに関しては正直、解説を読むまで、「❌の表現は何がいけないの??」と思ってました。
だってこれもまた、あきらかに相手を称賛する表現ですよね??
どこが問題なのか全然ピンときませんでした。
なぜダメかと言うとですね…
「よく」という言葉には、聞く人の感覚によっては、ネガティブなニュアンスを含んでるようにも思えるから要注意との事でした。
利用者さんの些細な変化や、書類上の細かなミスを指摘する職員に対して
「よくそんなところまで気がつくね」
という表現を使うことがあるかと思いますが、言い方に気をつけないと「別にそこまでしなくてもいいんだけどね…」という嫌味を言われたようにも聞こえるというのです。
ん〜 分かるけどなんか切ないなぁ…😅
僕自身はそういうひねた受け取り方をする人があまり好きではありませんが、そういう問題じゃないですもんね。
ちゃんと「そういう受け取り方をする人もいるだ」という事を理解した上で、誰にとっても誤解のない表現をチョイス出来る人がいわゆる「感じの良い人」なんだろうなと思いました。
相手が「嫌味を言われた」というふうに受けとってしまうと、以降指摘をすることを躊躇してしまい、それが重大な事故に繋がる可能性もあります。
些細な事でも報告しやすい雰囲気を作るためにも感謝を伝える事が大切なので「気を配ってくれて、助かるよ」といった表現の方がベターとの事でした。
③頑張りを褒めるときに使ってしまいがち
※職員が利用者のご家族に対して使う言葉
❌「弱音や愚痴もなく、偉いです」
⬇️
⭕️「辛いことがあればいつでもお話しください」
僕のようにデイサービスで働く介護職員は、在宅で介護を頑張られてるご家族の状況を垣間見ることが多々あります。
愚痴や弱音も吐かず、一生懸命がんばってるご家族を見るとやっぱり「この人偉いな、凄いな!」って心底思うもんなんです。
ただ、その感動をそのままの言葉で伝えてしまうと、本当は辛いけど何とか踏ん張ってる人にとっては逆にプレッシャーになってしまう事もあるという事です。
褒められた事によって「常に明るく振る舞わなければならない」「弱みを見せてはいけない」と思い込むようになり、悩みや愚痴を言いづらくなる状況が生まれて危険です。
その為、大変さに寄り添う態度を示しながら「辛いことがあればいつでもお話しください」といった言葉をかける事で、「相談していいんだ!」と、精神的な拠り所を少しでも感じて貰う事が大切という事でした。
個人的には、別に褒める事自体が危険という事ではなく、褒めるだけで終わらず、ちゃんと相談しやすいような一言を添える事が大事という解釈でいいのかなと思いました。
また、さっき書いた「本質を理解して違った場面でもステキな表現が使えるようになる」という意味では、職員からご家族に対する言葉かけだけでなく、上司から部下に対する言葉かけでも応用編で使いやすい事例だと思います。
「〇〇さんはどんなに忙しくても、文句の一つも言わず頑張ってくれるからかなり助かってる。本当に有り難う」
といった言葉も称賛して感謝を伝えていますが、これだけだと褒められた事によって、その後どんなに辛くなっても心理的に弱音を吐きづらいと感じる人も多いと思います。
「本当に助かってるけど絶対に無理だけはしないでね。ちゃんと相談してね」といった言葉をかけれるといいですね☆
以上、今回は先日読んだ本『介護のステキ 言い換え術』のレビュー記事でした。
少しでも参考になったという方は、いいねやコメント頂けると幸いです。
ではまた😄
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