新規事業のステップ

新型コロナウイルスの影響で重要性が増す新規事業

今回の新型コロナウイルスの影響で、今までの仕事の仕方を継続するのが難しくなりました。
例えば、飲食店です。ソーシャルディスタンスの確保に伴い、客席を今までよりも間引いた形での営業をしなければならないケースがあります。
この結果、これまでと同様の収益を上げるためには、「回転率が上がるメニューの提供」や「高単価(客単価向上)メニューの提供」などにビジネスモデルを転換することが求められます。
また、劇場や映画館の場合も同様です。満席の席数をこれまでよりも減らし、場合によっては半分以下まで減らさなければならないケースもでてきます。
この結果、1回の公演時間を減らし、その分公演回数を増やすか、いわゆるS席のような高額料金体系の席を増やすかといった施策の検討が必要となります。
この様に、新型コロナウイルスの影響により、新しい仕事の仕方や、新しいビジネスモデルへのチャレンジが必然的に求められています。
この中で、新しいビジネスをどの様に進めて行けば良いか?どんな事を検討すれば良いのか?など悩みにぶつかっている方も多いと思います。
そこで、今回は、新規事業の進め方をご紹介します。
今回は、総論のみ紹介し、具体的な検討内容、検討方法については次回以降紹介して行きます。

新規事業は決まった進め方が無い

新規事業の進め方ですが、結論から言うと、決まった型の様な物は無いのが実情です。
これから立ち上げようとしているビジネスの内容に応じて進め方などが変わるため、その都度、進め方も含めて考える必要があります。
ただし、決まった進め方はありませんが、丁寧に新規事業を進めるとこんな進め方になるというステップは整理出来ます。

新規事業の基本的なステップ

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このステップはローンチまでの手順を表していて、全てで7ステップです。
一つずつ簡単に説明していきます。

目的の明確化
既存事業に比べ新規事業は成功が難しくハイリスクです。本当に新規事業を行う必要があるのかを見決めるためにも、「なぜ新規事業なのか?」目的を明確化する必要があります。

アイデア量産
新規事業のネタ探しです。決まったネタがある場合このステップは省略されますが、「どんな新規事業を行うか」決まっていない場合は、まずアイデア集めを行います。

アイデア絞込
量産したアイデアを絞り込みます。この段階では1つに絞り込む必要はなく、事業化の可能性があるアイデアを2~5個ぐらいまで絞り込みます。

ブラッシュアップ
アイデア段階から、もう1段階登って具体的な検討を行います。事業として成り立つか可能性があるかを様々な視点で検討するフェーズです。この段階で検討事業を1つに絞り込みます。

仮説立案
1つに絞り込んだ検討事業を成功させるための仮説を検討します。ここでは、企画書や提案書といった具体的な資料として落とし込みを行います。

仮説検証
立案した仮説が正しいか検証します。顧客候補へのヒアリング、アンケート調査などの手法を利用します。検証した結果に基づき、仮説を修正するプロセスも含みます。

具現化
修正した仮説に基づき、事業と実行するための具体的な詳細プランをまとめます。この段階では、事業内容だけではなく、事業を成り立たせるための周辺環境も含めて計画します。

丁寧に進めるとこのステップの流れになると想定されますが、ビジネスの内容によっては、省略するステップもありますし、順序が異なるケースもあります。
また、各ステップの重要性も異なります。
例えば、まだ分野として確立されていない新製品・サービスを新規事業として実行する場合は、仮説立案、仮説検証のプロセスが非常に重要です。
なぜなら、想定したニーズが正しいのか、本当に顧客価値を生み出せるのか、といったことが競合他社などを含め実証された事例がないので、当初の想定通りに進む可能性が低いためです。
そのため、仮説立案、仮説検証の重要性が高まります。
一方で、参入する新規事業の市場が成長市場、成熟市場であれば、すでに競合プレーヤーが出そろっており、ニーズ、顧客価値があるという仮説は立証されています。
したがって、競合他社との差別化という視点に絞って仮説検証を行えば十分なため、重要度は下がります。

次回以降は、それぞれのステップで具体的にどんな事を検討すれば良いのか、どんな検討手法があるのか、といったフレームワークを含めた具体的な手法について紹介していきます。

著:NS.CPA森本 晃弘

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