新規事業の具体的な実行方法

はじめに

前回は新規事業のステップ6である「仮説検証」について投稿しました。
今回は新規事業のステップ7(最後!)である「具現化」の方法について説明していきます。

KPIを決める

ステップ6まで完了していれば、仮説検証の結果を受けてブラッシュアップした仮説(=事業計画)が存在します。
そのため、KGI(=Key Goal Indicator)は自ずと決まっている状態です。
そこで、このタイミングでは、KGIを達成するために必要なKPI(=Key Performance Indicator)やアクションプランを決めていきます。
例えば、「年間売上1億円(黒字化)の達成」がKGIだとすると、この目標を達成するために細分化した目標がKPIとなります。
仮に、商品単価が10万円だと考えた場合、1年間で1,000個販売すれば、年間売上であるKGIが達成出来ます。
この「1年間で1,000個販売」がKPIとなります。
ただし、KPIを1年間とした場合、PDCAサイクルも1年となり、ブレ幅が大きくなります。
そのため、商品特性や、管理しやすい単位を考慮して、「3か月で250個販売」または「1か月で83個販売」という様に分割した物をKPIとする方がより効果的です。
なお、SaaSの様なビジネスモデルの場合は、ユーザ数により売上が積み上がって行くため、「1カ月後に10ユーザ増加、3か月後に30ユーザ増加」という様なKPIとなります。
また、ユーザの増加を、「1カ月後に新規で15ユーザ獲得」及び「1カ月間の解約を5ユーザに抑える」という2つのKPIに分解しても良いです。
重要なことはKGIを達成するために、管理しやすく、達成意欲を生み出しやすい単位・内容に落とし込むことです。
したがって、必ずしも1階層とは限らず、複数階層に細分化してKPIを設定することも非常に有効です。

アクションプランを作成する

KPIが決まったら、KPIを達成するための具体的なアクションプランを作成します。
営業計画や、製造計画と言うとイメージしやすいと思います。
「3か月で250個販売」というKPIを設定した場合を例に考えると、この「250個販売」をどのような手法で、どのような相手に販売していくのか、具体的にアクション可能なプランに落とし込みを行うステップです。
例えば、以下の様なツリーとして分解が出来ます。

スライド1

図解のためにアクションプランが少し抽象的になっていますが、実際のアクションプランでは、出来るだけ具体的な物にします。(可能であれば、数値にまで落し込むと良いです。)
アクションプランの一例としては下記の内容です。

スライド2

つまり、KPIを達成するために行動可能なレベルまで具体化した目標が、アクションプランとなります。
少し脱線しますが、最近は、ここまでの具体化を営業部員に丸投げするマネージャー(部長・課長などの管理職)が散見されます。
しかし、本来は、具体化したアクションプランの作成と、実行件数の確認・管理までが、マネージャの仕事です。
なお、「集中購買の実施」と「実績に応じた製造/仕入調整」は、アクションプラン化は簡単なのですが、実際に実行しようとすると中々難しいのが実情です。
実際に製造すべき個数は、販売計画個数+不良品の発生個数+販売個数の上振れ分となります。
例えば、販売計画個数=KPIの250個販売/3か月+不良品の発生個数=25個(不良品率10%程度)+販売個数の上振れ分=25個(販売計画個数の10%程度)=300個製造/3か月というイメージになります。
そのため、300個分の原材料を一括調達(物理的な一括納品だけでは無く、一括契約による分割納品も含みます。)することで、原価抑制を行うのが理想的です。
しかしながら、実際の営業の結果、以下の様なことが起こります。
・販売個数の予想以上の上振れ⇒増産調整⇒追加での原材料仕入れ=個別単価による原材料単価の増加
・販売個数の予想以上の下振れ⇒減産調整⇒調達量の減少=ディスカウント率の低下による原材料単価の増加
つまり、製造/仕入調整を行おうとすると集中購買が実施出来ず、集中購買を実施すると製造/仕入調整が出来ず、というトレードオフの関係が起きます。
そこで実務上では、よりお得な方を予測して(状況に応じて、「勘」で)、実行するアクションプランを選択する必要があります。

まとめ

今回は、具現化の方法をご紹介しました。
ここまで実行出来た方や組織であれば、この具現化で作成したKPIやアクションプランも愚直に泥臭く実行することが出来ると思います。
ここまで辿り着けたアイディア・新規事業であれば、後は泥臭く実行すれば、いつか必ず新規事業は成功します!
半年という早いタイミングで成功することもあれば、3~5年後という遅いタイミングで成功することもあります。
遅いタイミングでの成功となる場合は、モチベーションが続かない、「止めれば?」という圧力がかかるというケースが良くあります。
この山場に、めげずに、愚直に、実行して行きましょう!

著:NS.CPA森本 晃弘

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