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【ミャンマークーデター】国軍と提携する日系企業への声

今週は、ミャンマーの元旦でお正月の10連休です。

例年は水祭りですが今年は中止。

水祭りで楽しむよりも
「犠牲者への追悼を捧げるデモ」
が行われます。

デモと言っても街に出るというよりも

・お正月だけどお祝い事を控える
・水祭りを控える
・街に行かないサイレントデモ

を各自で行うとのこと。

相変わらずネット遮断、
地方では空爆、銃撃戦が続き、
お正月ムードはほとんどありません。

しかし、私の住むヤンゴンでは、
時間と場所を選べば、日常の光景も戻りつつあります。

(今更ですが)ロックダウンが解除され、
時間短縮でお店は開き、
交通量も増えています。

国内線も動いていて、お正月休みを利用して
帰省される方もいらっしゃいます。

中には、ヤンゴンを離れ地方の落ち着いた場所で休暇を過ごす方も。

(国軍家族だから、というわけではなく、一般的な方もいらっしゃいます。)

そんな今週ですが、ある団体の方の投稿を見て
私はモヤモヤしながらミャンマーお正月を迎えました。

名前も、団体も控えますが、
国軍と提携する日系企業への批判についてが書かれていました。

国軍と提携する日系企業とそれに関する賛否両論の声は様々ですが、
今回は、ミャンマー進出日系企業と政府との提携について紹介します。

1、国軍と提携する日系企業

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国軍と提携、というよりも
政府との提携がメインですが、

ODA、建築、通信、インフラなど
多岐にわたっています。

最近では、
Yコンプレックスという事業に対しての
批判は記憶に新しいはず。

ーーーーーー

<Yコンプレックスとは?>
軍事博物館の跡地に、
大規模複合不動産を
建設・運営する開発事業。

ホテルオークラ、フジタ、
東京建物などが関わっています。

ーーーーーー

ダウンロード

この土地に、
賃料年間220万ドルが
軍に支払われていると、
クーデター前からも問題になっており、

今回も賃料支払いについて
話題に上がりました。

またキリンホールディングスは、
クーデター後、早い段階で
国軍との合弁解消に至りました。
(撤退はしていません。)

他にも、
・住友商事
・日本ミャンマー開発機構
・丸紅
・みずほ銀行
・三菱商事
・KDDI

など国軍と関係の可能性ということで批判的な記事が話題に上がるようになりました。

実際はもっと関連中小企業や個人は多くあると思います。

今、批判的になっている理由は、

・賃料が国軍に支払われている

・利益が国軍に入っている

・国民の意思とは反して
 国軍の指示に従っている
(通信遮断など)

・いまだに具体的な声明や
 国軍に対する非難を出していない

などが要因です。

国軍に利益が入ればそのお金が武器につながります。

なので、大企業は、

「それでも事業を継続させること」
「国軍に利益が入っているかどうか」
「なぜ提携解消(or撤退や延期)しないのか」

など説明責任がある、と問われているのです。

2、日系企業への批判

最近、日本でのミャンマーに関わる動きとして
政治家の方々や人権団体が声をあげてくださり、
とても嬉しく感じています。

動いてくださった政治家の方々、
政治家の方々に働きかけてくださった
日本在住の皆様、

本当に感謝、感謝です!!

恥ずかしながら今週は、
人生で初めて参議院の審議中継を
拝見してましたが、

ある議員の質問の投げかけは
胸が熱くなるものがありました。

「決算委員会 4月12日」
で検索して、
石橋通宏先生の名前をクリックいただくと
ミャンマーのODA関連の答弁があります。

内容の賛否両論はあると思いますが、
こういう風に、政治の場で熱くディスカッションしてくださる議員の先生の存在は嬉しいですね。

まだ欧米諸国と比較すると日本には利権、
疑惑の太いパイプ、○○協会、など
壁は分厚いように感じますが、

経済、政治、個人、NPO/NGO団体様々な方面から
アプローチがあることはありがたいことです。

しかし、その中では、
1で挙げたような国軍関連企業やODAへの
非難、批判、も多く見るようになりました。

上記の審議の中でもODAについての議論があります。

・事業を撤退すべき
・ODAを中断すべき
・国軍の指示に応じるべきではない

などなど。

新規ODAや新規投資は
行わない方が良いとは個人的には思いますが、

今継続している案件については難しいところでもあります。

ODAに関しては、私たち日本人の「税金」の使い道なので
しっかりモニタリングをする必要があります。

なので、透明性を求める声はもっともなことです。

ここでは主に、「一般企業」について書きます。

現状は、静観をしている企業がほとんどのように思います。

国益/企業利益が損なわれる、という理由もあると思いますが、

今、具体的な声明を出すことは
自社の社員、役員、関連者の
命の危険が伴う、
という理由も考えられます。

声あげたくても、あげられない、のが現状です。

私は関連企業の社員ではありませんが
上記のような企業の方と仕事上、関わることもあり少し聞いてみました。

今の惨状で、私の周りには国軍に加担している、という人はいませんが、

静観の中には葛藤がありました。

「国軍寄りではないけれど、
 批判することで安全のリスクが損なわれる」

「非難の声明を出すことが
 ライセンス剥奪につながる可能性」

「撤退または中断をすることは
 雇用を失うことにつながる」

「ライセンス剥奪になる場合
 市民生活にも影響を及ぼす」

など、国軍非難の声明を出すということは
従業員の命に関わり、さらに、国民生活に支障をきたす場合もあるのです。


3、もし、国軍や政府提携を解消したら・・・?

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日系企業への批判や説明責任を求める声も重々承知していますが、

それに対するリスクも同時に考えて欲しいと感じています。

例えばですが、現地在住者にとってもっとも身近なのは、

通信事業ではないでしょうか。

現在ミャンマーは、固定回線以外の通信遮断が継続中です。
(約1ヶ月ほど)

国軍の指示に応じているという理由で批判の矛先となっています。

しかし、この合弁が解消、若しくは何らかの理由で
通信事業ライセンス剥奪、
されてしまったら国民生活はどうなるでしょうか。

ユーザーはさらに通信にアクセスできなくなり、

銀行と紐付けしている電話番号は使えなくなり、
(オンライン送金ができない)

各自治体・省庁に届出やSNS等に登録している番号を
全て変更する必要があったり、

考えるだけでうんざりです笑!

少し大げさに書いてしまいましたが、
実際には電話番号というインフラを
即廃止!ということは
(自分たちも困るはずなので)
しないと思います。

ただ、過去にも二度廃貨したりする
国軍の思考なのでなんとも言えません。

私はリスクヘッジに他社のSIMカードを何社か購入しました。

また、ODA案件の停止によって
失われる雇用もあります。

現在は工事もほとんど
行われていませんが、
多くの労働者は日雇いです。

すでに困窮している状態に陥っており、地元の方の寄付や支援で生活をされている人も多くいます。

そういった国軍との提携解消、撤退を求める声の裏には命の危険だけでなく、
国民生活にもリスクが伴うことも知っていただきたいと思います。

ODA停止するならその分の資金や給料補填や食料に当ててほしい、、
というのが私の心の声です。。

4、個人的な思い

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決して、現地企業について批判をするな、
と言いたいわけではなく、

非難されている企業の中でも、「人権」と「自社の命」のバランスの葛藤があり、

さらに、その恩恵を受けている生活者も存在することを忘れないでほしいと思います。

提携解消には、それなりの補填も必要になります。

国軍非難したいのは山々でも、
そのリスクを考えての「静観」という企業の選択肢。

日系企業批判の記事で自社の名前を見るたびに
肩身も狭く、あまり人の集まりに行くこともなくなった、

と知人は話していました。

ある日本人は、自分は社名が批判対象でも、声をあげることができないといって

毎日のようにお米を近所に配ったり、

怪我をされた方に寄付をされたり、

さらに、政府(国軍)にビザを
発給してもらうわけにはいかない

という理由で先日帰国もされました。

帰国されたのは本当に残念でしたが

声を上げていない人や会社が批判されがちな今、

その中には、批判に苦しみながらも、誰にも言わず
行動に移しているかっこいい人たちもたくさんいらっしゃいます。

日系企業の批判記事を見るのは
私みたいな弱小な個人であっても
中小企業であっても他人事ではありません。

ミャンマーでは、ライセンスが必要な事業だったり、
賄賂を払っても得たいものがあったり、
賄賂払わないといけなかったり、

日本の常識では考えられないくらい汚い部分もあります。

私のような滞在歴浅く、名前も知られていないようなスモールビジネスをしていても時にはそで下が必要です。

上記の企業ほどの大金ではありませんがミャンマーにいる人なら
個人レベル、企業レベル、そで下経験者いるはず、、

地区の有力者との会談でそで下を渡したり、差し入れしたり、優遇したり。

こういった小さな積み重ねが
国軍の息を長くしてしまったことは今後悔していることの1つです。

同罪のようで心が痛いのです、、、。

過去の後悔してもしょうがないのですが
一方的な想像力の欠けた批判は分断しか生みません。

政府に関連する企業や人に対しての批判や説明責任だけでなく、

現地リスクを考慮した解決に至ることを切に願います。

(もっと言えば、批判と一緒にお米も送って欲しいですね。)

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なんとなく今は、「民主主義を取り戻す」という同じ目的であっても、

分断が起き始めている気がしてならず、
日系企業の立場を追求した記事を読んで個人的な思いを書きました。

審議中継を見ても中々前進がなく、もどかしいところです。

日本人の「税金」がどのように国際社会の場で使われているのか、

を考えると、
ミャンマーのODA関係は他人事にはできないと思います。

今回は、「企業」の国軍との提携について中心に書きましたが、

日本の納税者にとってはODAの行方はモニタリングの責任があると思います。

私たちの大事な税金でもあるので、、!

もし、自分が投資家だったら、自分が投資した株やその案件はモニタリングしますよね。
税金も同じだと思います。しっかり自分でモニタリングしなければ、税金は浪費に変わります。せっかく払うなら、浪費としての税金ではなく、「投資」としての税金になって欲しいと思います。

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