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採用広報は「会社の編集者」。社員の魅力を伝える企画のコツ

「採用広報のやりがいってなんですか?」

そう同僚から言われて、ハタと止まってしまった。わたしは新卒で入った会社で企業の採用支援をしていて、200社以上の社員インタビューやトップインタビュー、人事へのヒアリングをしてきた。

自分が聞いた話が、どうやったら採用ターゲットとなるひとへ魅力的に届けられるか。その思考をめぐらす作業は楽しかった。その習慣は、広報PRという仕事にキャリアチェンジしてからも存分に生かされていた。

note社に転職したときも「なんでもやる」仕事のひとつに、採用広報 / 採用ブランディングがコーポレートPRの一環として入っていた。

「読者とクリエイター(取材対象)をどうつなげるか考える」という意味で、採用広報 / 採用ブランディングの仕事は「会社の編集者」だと思っている。

「企画力を鍛えられる」。

その仕事のアウトプットが組織の成長につながり、プロダクトの成長につながり、クリエイター支援にもつながる。それが、note社で採用広報をしていて感じるやりがいかもしれない。

わたしが入社してからの2年5ヶ月で公開した社員インタビューは、62本。これとは別で、note社にはまだまだコンテンツがある。

もっとカジュアルに社員向けにnoteでの動きを共有する「オープン社内報」(67本)。「noteのみんな」と題した、社員のみんなが自由に書いた「会社」や「仕事」に関わる記事(313本!)。

3種類をあわせて442本!もnoteのことを社員が語る記事がでていた計算になる。平均すると月15本くらい。

数字を出すとリアリティ増していいよ、というのが記事作成での定説だけど、いろんな数字を出しすぎて訳がわからなくなってきた(笑)

つまり、note社では毎日のようにみんなが社内のことや自分の働き方を発信している。

noteを運営している会社なんだから、そんなの当たり前では?と思われるかもしれないが、社員がここまで自社サービスを使いこんでいるのも珍しい気がしている。「どうやって、みんなが発信する風土ができたの?」については、このイベントで語っていたので、本記事では割愛。

この記事ではこの2年5ヶ月「会社の編集者」として採用に向きあってきた私が考える「採用につなげる社員インタビューの企画方法」にフォーカスしてTipsを紹介します!

noteはなぜ採用ブランディングに力を入れているのか?

いいひとに入社してほしい

これに尽きる。いまのnoteの正社員数は120名くらい。この2年ちょっとで3倍に増えた。noteは「だれもが」当たり前に使うプラットフォームを目指しているので、まだまだ組織もプロダクトも初期段階。

全方位で、強力な仲間集めをする必要がある。

「note社にとっての”いいひと”って?」を代表や人事とすり合わせながら、その方々にとって必要な情報、魅力に感じてもらえる情報が発信できているのか? きちんとそのひとたちに届いているのか? を確認している。

noteはシンプルでだれにでも使いやすいプロダクトだからこそ、人事や面接を担当する社員いわく『もう完成してるんでしょ』『もうやることないのでは』と外部の方から言われてしまうそうだ。

こんなに混沌としているのに!(なかの人の叫び)

そのイメージとのギャップを埋めることも、採用ブランディングの大事な役割のひとつ。

たとえばミッション・ビジョン・バリューを紹介した記事で出てきた「noteはサバンナ」というくだりは、その後に入社した社員たちから『混沌とした感じがおもしろそう』『意外で興味をもった』と言われた。

加藤:サバンナみたいなものですよ。自由はあるけど、下手したらハイエナにヤられる(笑)。「襲われた!ウケるね!」みたいなマインドセットだと一番いいですね。


また、これまで世の中にないサービスを作ろうとしているからこそ、世間一般にはないような仕事もたくさんある。その仕事をどう伝えたら、ターゲットとしているひとに気づいてもらえるのか?も頭を悩ませることのひとつだ。

「いいひとに入社してほしい」を達成するために踏むプロセスを、AISASの法則にそってご紹介。

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【認知】note社には自分が活躍できる環境がある、と気づいてもらう
【興味・検索】もっと調べてみよう、と思ってくれたひとの関心を満たすコンテンツを準備しておく
【行動】いざキャリアチェンジを考えたときに、思い出してもらって、応募につなげる
※応募してもらった後、深い理解をベースに対話がスタートできる!
【情報共有】入社後も、たとえご縁がなかったとしても「noteっていいよ」と口コミを広げてもらう
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このステップが踏めるように、必要なコンテンツを揃えておくようにしている。

採用ブランディングのコンテンツをつくるときに気をつけていること

ところで。一方的に自分たちが伝えたいことだけを宣伝するような行為は、採用広報にかぎらず、ひとから敬遠されがち。

また、企業が出すコンテンツに登場する人物は、たいてい一般のひとからすると「誰やねん」状態。芸能人のような著名人であれば、そのひとのファンやそのひとの功績に興味を持つひとが読んでくれるが、最初に読んでもらうハードルがそもそも高い。

「誰やねん」なコンテンツにどう興味を持ってもらうのか?

そこで大事なのは「読者とコンテンツに橋をかける」こと。

note社内では代表の加藤さんが社員向けに「編集講座」を開いてくれたことがあった。そこで説明してくれたフレームワークを紹介したい。

画像:企画の考え方(自分、クリエイター、顧客をつなげる)

自分とクリエイター、顧客をどうつなげるか。

採用コンテンツでは「自分」が担当者で、「クリエイター」が出演してくれる社員、「顧客」が読者。

自分が日頃から感じている「課題感」「素朴な疑問」「こうなったらいいのに」といったことが、企画のタネになる。それが市場でも同じようなニーズがあるのか検証して、社員のストーリーを通じて解を伝える。

そんな流れをイメージしている。

いろいろ試行錯誤した結果、いま取材前の企画書はこんな感じ。取材対象者本人や人事にヒアリング(事前アンケートへの回答+追加質問)して、採用課題への打ち手や採用ターゲットになにが響くのか、取材対象者をどんな切り口で紹介すると読んでもらえるのか?妄想を膨らませている。

画像:社員インタビュー企画シートの見本

※こちらの企画シート、ダウンロードしたい方に向けて、巻末にファイルをご用意しておきます!

そして、このシートを外部のライターにも共有して、一緒に取材をしていただいている。元々はわたしや同じPRチームの関矢さんが、企画も取材も執筆もやっていたが、リソースの問題に加えて、第三者のフラットな目線で魅力を発掘してほしいということも外部のプロに委託している理由のひとつだ。

現在のわたしの担当は、おもに企画編集。

採用コンテンツを企画する考え方を、事例とともに

具体的に、過去に出した社員インタビューを事例に解説してみたい。

ブランドディレクター・京樂さんが出演してくれたとき。前職でもブランドエージェンシーで活躍されていた彼女が、なぜnoteに転職してきたのか。ブランドのプロから見た、noteの資産や魅力はなんだったのかが、個人的に気になっていた。

先ほど紹介した「企画書」にそって考えるとこんな感じ。

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▼記事の目的
note社のビジネス系ポジションで活躍するひとの姿を伝えたい

▼当時の採用課題
note社にビジネス系の人材が活躍しているイメージがない。エンジニアやクリエイティブ系職種(編集やデザイナー)の人材イメージはあっても、ビジネス系は2020年以降に急増したポジションなので、まだ情報がほとんど外に発信できていない。

▼採用ターゲット
広告代理店やブランドエージェンシー、企業の宣伝プロモーションの部門で働いているような方。既存の広告以外にも、顧客の認知を高めて関係構築をする手法があるのでは?と課題を感じているひと。

▼取材テーマ
ブランドのプロとしてキャリアを築いてきた京樂さんが、ブランディングに感じていた課題とは?
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まずは彼女のプロフェッショナルぶりを読者にも伝えて「このひとがなぜnoteに?」と関心を持ってもらってから、入社につながる「ブランディングに感じていた課題」や「noteでやりたいこと」を語ってもらう構成にしている。

こんな嬉しい反応もいただきました(泣)


最近公開した、総務・秋山さんの記事。『攻めの総務を採用したいんです!』とオーダーをもらって「攻めとは?」「そういう思考のひとが、noteで満足できるファクトはなに?」など考えを巡らせた記事だ。

そもそも「攻めの総務」をやりたい人は、現在どこにいるのか? 他社の事例もリサーチして浮かんだ疑問は「総務経験者(もともとのJob descriptionの要件)である必要はあるのか?」。未経験で他の分野でも活躍してきた方のほうが、固定観念なく活躍いただけるのではないか。

そう考えて、取材前に「採用ターゲットの再考」をCFO・鹿島さんと秋山さん、リクルーターに打診して、変更することになった。

「総務」ってどの会社でもやること同じでしょ? そう思っている読者に対して、noteの総務はなにがユニークなのか? どんな役割を担っているのか? に絞って深堀りしている。


採用コンテンツの編集はなにをやるのか?


まずは、企画!(これまでに書いてきたこと)

その後、ライターに書いてもらった初稿を確認するとき、注意深く見ているのは「noteらしさが伝わるか」「社内のひとが読んでどう思うか」「純粋におもしろいものか?(これは企画段階で決まるので、事前準備が超大事)」

noteらしくない言葉づかいや初見では分かりづらい用語があれば補足したり、社内のみんなが読んで「いいことばかり書きすぎでは?」と違和感がないように調整したりしている。

なにより、わたしにとっていい意味でプレッシャーになっているのが、入社直後に代表の加藤さんからかけられた言葉。

『noteがだすコンテンツは”おもしろい”ものだけにしてほしい』

加藤さんを知らないひとへ、この言葉の重みを軽く紹介すると……加藤さんは「もしドラ」をはじめ「ゼロ」「マチネの終わりに」など数々のヒット作を世に送り出してきた、有名編集者でもある。手前味噌ですが。

そんなひとに言われた「おもしろいものだけ」のハードルの高さよ。

同時に、いい仕事をしたい、力をつけたい私にとっては、ありがたすぎる環境。他にもマスメディアや出版社、オウンドメディア編集経験者など、その道のプロたちがひしめく社内で外に出すコンテンツを任せてもらっているプレッシャーを日々感じている。

もちろん、いい意味で。

noteは採用広報 / 採用ブランディングの専任を募集中!

…と、ここまで書いてきたが、まだまだやりたいことがいっぱいある。あるんです!

現在はわたしが担当している「採用広報 / 採用ブランディング」。そろそろ専任を置いて、お任せできないかと考えてるいる。

これまでにご紹介した記事の企画編集に加えて、オープン社内報のネタだしや社員のみんなへの執筆依頼・原稿チェック、Podcastの進行管理(エンジニアのPodcast #notetechtalk をほぼ毎週配信中!)、採用イベントの企画運営、カンファレンスに協賛したときのグッズ / パンフレット作成やスポンサー動画のディレクション……などなど。

※参考:iOSDC協賛にあたって作成したパンフレット

iOSDCで作成したパンフレット


組織が今後、5倍、10倍、100倍となっていくうえでの下地を整えて、採用広報 / 採用ブランディングでのnote利用が多い企業のみなさんのお手本をめざす。

そんな求められるものも、影響力もとっても大きなお仕事。この記事を読んで、やってみたい!と興味がわいた方。ぜひ、ご連絡くださいー!!

社員インタビュー企画シート公開!

記事中で紹介した「社員インタビュー 企画シート」のテンプレートを公開します。使えそうだな!と思った方は、適宜コピーしてご利用ください。

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