わたしの日記 「なつかしい日に」
あの子の日記 特別編
駅の改札を二人で抜けたとき、さよならの前のやさしい口づけを思い出した。
数年前、遠く離れたところに暮らす人とお付き合いをしていたころ、月に一度、二人で会うのが彼との約束だった。
一ヶ月分の好きを胸いっぱいに抱えて、新幹線に乗ってぴゅんと会いに行くのだ。
不思議なことに、いっしょに過ごす時間もぴゅんと早い。くっついて歩いて、美味しいものを食べて、肌に触れて、おだやかに朝を迎えればもうお別れの時間。
「さあ次はどこへ行こうか。来月も楽しみだね」なん