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世界一周の旅から帰国しました

112.旅のつづき 夢のつづき

 帰国して久しぶりに体重を計ったら4㎏痩せていた。おそらくそのうちの2㎏はカンボジアで落とした分だろう。7年前の服が着られるようになった。24日間で確実に4㎏減量できるエステやジムはなかなかないんじゃないか。毎日20㎞程度ザクザク歩き、夜の食事は早い時間に軽く済ませる、早く寝て朝暗いうちから活動する、たったそれだけのことで、健康的に体重が落とせるという実験を身をもってやってみた感じだ。しかも旅を楽しみながら。

 
 痩せていたのは私だけではない。夫もほっそりしていた。夫は資源ゴミ・可燃ゴミの分別ゴミ出し、町内会の班長の仕事である区報の14軒ポストへの投げ込み、回覧板の作業、全部やってくれていた。「これらの植木を私だと思って、時には水をやってね。」と玄関と裏口に残していった植木たちも枯れてはいなかった。感謝しかない。ありがとうございます。ただし「人生を後悔したくないと思えてきたんで」新車のBMWを妻が不在中に買っていた。善いことだ…。
 

 結婚出産子育てと併行して仕事を続け、たくさんのタスクを背負ってがんばっている「妹」たちがいる。

 私は今回の世界一周旅行はひょんなことから突然行くことになったが、もしもあの頃、30代で双子の夜泣きに私も泣いていた日々、40代でPTAや職場の人間関係に疲弊していた日々、世界一周旅行というご褒美が将来55歳で待っていると知っていたら、もっともっと笑顔で頑張れていたと思う。

 「妹」のひとりは「だけど私、森さんみたいに英語を喋れないから独り旅なんか無理です。」と言う。自慢じゃないが私は短大の英文科卒のくせに2012年まではTOEIC445点つまり殆ど喋れない状態だった。卒業後も28年間日本で人生を送り、英語を全然使わないで来たので、「独り旅なんかぜったい無理です。」というレベルだった。

 2012年秋に「自己を再資源化したい」と思い立ち入学したBBT大学で、必修カリキュラムにあったのでほぼ毎日のように30分間フィリピンの先生とスカイプ英会話をしたことで、いつの間にかTOEICは700点越え、喋ることが全然苦にならなくなっていた。世界旅行に単独行ってみたいと思ったらスカイプ英会話を半年も続ければ旅行の日常会話ぐらい全然困らないようになる。これも私が身をもって経験しているので保証する。


 「それにしても独りぼっちなんて、寂しくないですか。」寂しい人ってどういう人なのだろう。今回の旅のあいだ、私の心の中には家族や友人が住んでいるな、と実感した。

「こういう時、夫ならどうコメントするかな。」

「この景色、子供にも見せたいな。」

「このエピソードは友人のあの人なら面白がってくれるだろうな。」

  私には日本に帰る場所がある。帰還する場所があるからこそ、安心して世界のどこでも楽しい旅が続けられる。

 そして55年間の結婚出産等艱難辛苦を経た女は、実は少女の頃とは全く違う多重人格者になっている。

 これまで人生の大きな決断を次々と迫られるなか、重大なことほど自分ひとりで意思決定しなければならなかった。心の中の迷い、恐れ、ドロドロした感情に向き合い、それでもこれだけは譲れないというプライドを思い出し、自分の中の声ひとつひとつと対話し決めてきたのだ。これは単独旅行中にこそ求められる能力である。予想外のトラブルも起きるけど、意思をきちんと表し最善の道を選択すれば必ず問題は解決する。

 学生時代に連れションでなければトイレにも行けなかったような気弱な女の子も、50代の今や何も恐れるものなどない妖怪STRONG WOMANになっているのだ。

 私は妹たちに元気になって欲しいと思っている。人生のどこかのタイミングに、世界一周旅行の計画を入れてみて。できたら単独で。旅には沢山の出会いがあり発見があり、自分自身をしっかり見つめ直す素晴らしい機会になる。命を洗濯して自分を再認識したら、再び人生という長い旅に、一緒に繰り出していこうよ。

ドブロブニクの路地にてゴープロのカメラで自撮り 

63.ドブロ 町の中


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