「スーパーよりも森が近い。」鹿1頭担がれてきた日に食べる至福の森グルメ。
こんにちはマナブです。お腹が空いたら近くて便利なコンビニやスーパーに行きます。お菓子にジュースにお弁当。何でもそろっていて24時間営業。一方、森の中にはお店はありません。しかしこちらも24時間営業。加工品は一つもありませんが、沢山の命があります。
先日、森で暮らすりんさんから「鹿が捕れたよ」とLINEが届きました。動画には捕れたばかりの鹿を背負って森の中を歩く姿。初めて見る映像に、緊張しながら画面に釘付けになります。平和公園や宮島など、広島ではおなじみの動物ですが、さかさまに吊るされた姿は今までに見たことがありません。今日はこの鹿肉でハンバーグを作るとのことで早速森に向かいました。
とれたて鹿肉でハンバーガーを作る
本日の森ごはんはジビエハンバーガー。ハンバーガーを食べさせてくれる店は数あれど、ジビエ肉で、さらには捕れたて肉を食べさせてくれるところなんて森の中くらいしかないでしょう。わくわくしていると目の前に桶に入った鹿肉が出てきました。映像でみた鹿はすでに解体済み。さすがにこれにはほっと一安心。前回鶏を絞めるところを見させてもらいましたが、鹿の解体となるとおそらく卒倒するでしょう。
小分けにされたお肉をミンチにします。慣れた手つきで肉の筋を取っていく様を見ながら、「肉は美味しく食べているはずなのに、肉になるプロセスを見るのが怖いとはなんと身勝手な事か」と自問します。ちなみにこの鹿は小柄なメス。とても美味しいのだとか。
小さくなった肉はここからさらに細かくミンチに。小6のいっちゃんが包丁を握り、丁寧に細切れにしていきます。その間、あんちゃんは地粉を使ってパン作り。
今回も使う食材は全てこの土地でとれたもの。鹿も小麦も野菜も私もみんな地元が一緒。地元が一緒とわかれば生まれる不思議な安心感。ローカルで胃袋もつながれば心も体もますます元気に。
窯でパンを焼いていると「火が強すぎた」とりんさん。「忘れてた、熾火でやるんだった」とのこと。これでも全然うまそうだけど。
ねじねじが旨楽しい「トルネードポテト」
じゃがいもで「トルネードポテト」も作りました。芋の両面から斜めに切れ込みを入れ、ゆっくり引き延ばしてスパイラル状にします。初めて見るアウトドア受け間違いなしの楽しい形状にワクワクします!
天然鹿のワイルドミート
ミンチにした肉は下味をつけてオーブンへ。天然の鹿肉は「オーガニックミート」や「ワイルドミート」と呼ぶそうで、自然生まれのお肉はその名の通り抗生物質やホルモン剤不使用。窯の中でじっくり焼けていくハンバーグをみながら、どんな味に仕上がるのか楽しみに待ちます。
森の摘みたてフレッシュティー
今回の森のお茶はミントとカモミールとフェンネルのフレッシュティー。摘みたての爽やかな香りはどんな高価なお茶よりも贅沢にかんじます。
パチパチと脂のはじける音で焼きあがった鹿肉ハンバーグ。こうばしい香りに「わあ~!」とみんな声を上げます。
手作りの辛子マヨを塗り、具を盛り付けて完成!
森ごはん完成!実食!
釜の熱でカリカリに焼きあがったトルネードポテト。レイヤー状に重なったチップスは「パリッパリッ!」と心地よい食感!塩加減も絶妙でとにかく美味しい!
鹿肉のハンバーガーは、噛みしめるたびにワイルドミートの贅沢な肉汁がジュワッー!と口いっぱいに広がります!手作りミンチゆえの「ゴロゴロ食感」は、ファストフードのパテとは雲泥の差。とにかく肉感が半端ない。超肉厚なボリュームに「肉食ってるなあ~!」とその旨味を噛みしめます。ジビエといえば気になる獣臭ですが、新鮮なお肉だからなのか一切気になりません!
旨いだけでは終わらない森ごはんの真髄
そして何より「美味しいお肉を食べている」だけ終わらないのがこの森で味わう食の真髄。私が頂いている肉は、少し前までこの森で暮らしていた鹿の命です。「旨い!」の次に湧き上がる感情、それは感謝だったり希望だったり。噛みしめる度に浮かぶ様々な感情の中にはっきりと浮かぶ「生きるぞ!」という、決意にも似た強い感情。それはまるで、精一杯生きてきた鹿の命が私の心と融合し、私の一部として新たな生を得たような感覚。「『いただきます』ってこういう事なのなのかも」と、この世にたったひとつの命を噛みしめます。
大小様々な「仲間」と繋がれる森の食卓。
今回の食事では色んな生き物を感じることが出来ました。鹿はもちろん、撮影中に出会った昆虫や動植物。パン作りでは、目に見えない微生物の存在があります。そしてそれらに生かされている私達家族や仲間。みんなが繋がることで共有し合い、支え合いながら命を紡いでいるのだと思います。食は命の源であり豊かさの源です。沢山の仲間に囲まれて幸せな時間をすごしました。
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