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【内容一部公開②】ベストセラーを次々と生み出す著者による、待望の教科書――近刊『ロヴェッリ 一般相対性理論入門』

2023年7月下旬発行予定の新刊書籍、『ロヴェッリ 一般相対性理論入門』のご紹介です。

内容一部公開①にて、目次や序文を公開中ですが、こちらの記事では本の中身もチラッと見てみたい!そんな方のために、内容見本を公開します!

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内容見本



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訳者あとがき

本書は、ループ量子重力理論を牽引するカルロ・ロヴェッリによる、一般相対性理論の教科書である。著者本人の前書きによれば「専門家になる野心のない人向け」とのことだが、内容は結構深く、大学の理系学部での講義内容に相当する。細かな計算は省略しているが、必要となる数式は必ず登場しており、読者はその雰囲気を正確に味わうことができるだろう。専門家を目指す学生・大学院生であれば、一通り学ぶべき内容がコンパクトなスタイルで述べられているので、便利な書ともいえる。各所でゴールを示しながら説明が展開されるので、全体像がとてもつかみやすい。一歩高いところから理論全体を俯瞰してくれるので、一通り相対性理論を学んだ人でも、腑に落ちる表現をあちこちに見つけられることだろう。

読者は著者の名前を、一般向けの本ですでに目にしているはずだ。『世の中ががらりと変わって見える物理の本』『すごい物理学入門』といった物理の入門書から、『時間は存在しない』『世界は「関係」でできている』といった物理を超えた哲学書まで、カルロの守備範囲は広い。本書のセールスポイントは、なにより、カルロの陽気な語りがそのまま聞こえてくるような文章である。翻訳するにあたっては、熱中すると時間を忘れて語り続けてしまうような、彼の思いがそのまま伝えられるように努力した。

全体構成は「基礎」「理論」「応用」の3 部構成ですっきりしている。最終章はループ量子重力の概略を紹介するもので、ここは他書には見られない内容である。3 章の数学部分は長くて苦痛かもしれないが、微分形式を用いた記述法は、アシュテカによって開発されたループ変数を簡潔に表現し、それを用いて構築する量子重力理論へと結びつくものなので、その展開を知って読み進めるとよいだろう。

訳稿作成の過程では、原著の数式をすべて訳者が打ち込み直す必要があった。気がついた原著の誤りは修正している(著者も確認済み)が、原著にはない誤りが発生しているかもしれない。ご指摘いただければ幸いである。


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目次

Ⅰ 基礎
 一般相対性理論とは何か?

 Chapter 1  物理学:重力の場の理論

    1.1 特殊相対性理論
    1.2 場

 Chapter 2  哲学:時空とは何か?
  2.1 相対性とニュートン時空
  2.2 アインシュタインのアイデア:ニュートン時空は物理的な場である
  2.3 アインシュタインのヒント:加速度は何に対して?

 Chapter 3  数学:曲がった空間
  3.1 曲面
  3.2 リーマン幾何学
  3.3 幾何学

Ⅱ 理論
 Chapter 4  基礎方程式

  4.1 重力場
  4.2 重力の影響
  4.3 場の方程式
  4.4 場の方程式の源
  4.5 真空の方程式

 Chapter 5  作用

 Chapter 6  対称性と解釈

  6.1 一般共変性と微分同相不変性
  6.2 時間とエネルギー

Ⅲ 応用
 Chapter 7  ニュートン力学の極限

  7.1 計量のニュートン的極限
  7.2 ニュートンの力
  7.3 一般相対論的時間の遅れ

 Chapter 8  重力波
  8.1 物質への影響
  8.2 発生と検出

 Chapter 9  宇宙論
  9.1 宇宙の大規模幾何学
  9.2 基本的な宇宙モデル

 Chapter 10  質量の場
  10.1 シュヴァルツシルト計量
  10.2 ケプラー問題
  10.3 太陽による光の曲がり
  10.4 地平面近傍の軌道
  10.5 宇宙論的な力
  10.6 カー – ニューマン計量と座標の引きずり

 Chapter 11  ブラックホール
  11.1 地平面のところ
  11.2 ブラックホールの中
  11.3 ホワイトホール

 Chapter 12  量子重力の概略
  12.1 量子重力の経験的で理論的な基礎
  12.2 分解:空間量子
  12.3 時空形状の重ね合わせ
  12.4 遷移:ブラックホールからホワイトホールへのトンネルとビッグバ ウンス
  12.5 結論:時空の消滅

 より詳しく学ぶための書
 訳者あとがき
 索引


いかがでしたか?
本書の序文などこちらで公開中です!


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