見出し画像

Product Manager Conference 2019 参加レポート

Intro

目次
1.印象に残った講演
2.資料一覧
3.感想・まとめ


1.印象に残った講演


Day1 (2019/11/12)

・ORDINARY PEOPLE, EXTRAORDINARY RESULTS by Marty Cagan (Inspired 著者)
・チームにはフィーチャーチームとプロダクトチームの二種類が存在し、フィーチャーチ-ムはロードマップが与えられて、それを着実に実施していくチームであるのに対し、プロダクトチームは事業やお客様の問題を解決する為にあり、機能や仕様を自分達で考えるチーム。良いプロダクトを作るチームはプロダクトチームである。
・プロダクトマネージャーは普通の人でも慣れるが、人として嫌なやつは成れない。
-PMの仕事には信頼を得ることが必須だから。伝道師としてチームメンバーに何を作りたいかを伝えることが仕事になるので、言葉で人を動かせる人になる必要がある。

内容がまとめられていて参考になったnote 
「普通の人、特別な結果」 byプロダクトマネージャーカンファレンス2019_議事録

・LINEにおけるお金とユーザーのジレンマ by 二木 祥平 (LINE株式会社執行役員)
・PMには企画-デザイン・開発-リリース・運用 の全てのフェーズで異なる人格・スキル(ビジョナリスト・ビジネスアナリスト・テクノロジスト・UXデザイナー・プロジェクトマネージャーなど)が要求されるが、全てができるスーパーマンはいない
・PMの仕事は自身のプロダクトを成功に導くというミッションの元で、何を作るかを決める・決めたものを市場に届けることである。

・PMとして活躍する為の3つの条件(LINEの例)
1.フェーズにおける必要なスキルを理解して、自分に足りないものを把握し、補完してもらえる人の協力を誘発できる人
2.ソト(ユーザー・クライアント)とウチ(社内・チーム)への妄想力
3.Detail(ユーザーが触る画面)まで詰め切る力


・PMはステークホルダーが多く(ビジネス・Dev・デザイナー・法務など)ジレンマが多い。全ての情報を持っているのはPMだけ(持っていなければ集める必要がある)なので、その中でも決定責任がある。ビジョンを元に、多くのステークホルダーのジレンマで溢れる対立意見を、同じ方向に向かう共闘意見に持っていかなければならない。そのジレンマの解消こそがPMの仕事かつ、最も面白い作業。
・プロダクトマネージャーの仕事はジレンマの連続でありつつ、解決できないジレンマは無い。そして、ジレンマの解消こそがクリエイティブな仕事であり、プロダクトに競争優位性を生み出す。

ジレンマ敗北度(伝書鳩度)チェック(これに当てはまっていないか)
☑︎仕様を書くだけの人になっていないか
☑︎判断を上に任せて合議制で決めようとしていないか
☑︎他人のせいにしていないか(営業/開発 部門が言っていたので)


PMにおけるストーリーテリング by 岡田 悠 (freee株式会社執行役員 プロダクトマネージャー)
・PMの仕事はビジョンを元に周りを動かし、描いた絵を実現させることである。
・人は静的な情報であるファクトに心を動かされないので、そこに動的な筋の展開・切り口・因果関係を使って加工したストーリーに仕立て、人が理解しやすくすることが大事。

物語(ストーリー)の構造
主人公が現れる→問題→解決
主人公:いかに当事者になれるか
問題:あるあると共感を呼ぶ話題だとストーリーに厚みが出る
   そうなんだと意外に思える内容を入れると、聞き手を惹きつけられる 
解決:問題が解決された世界には何が待っているのかと言うおちを語る
  :物語の最後には主人公の変化を見せる

ストーリーを作ったあとは、手段を問わず叫び続け(いろんな人に届け続ける)、そのストーリーを計測し続けることが重要。
ストーリーテリングをする上で最も重要なのは、自分が夢中になれる物語(ストーリー)を描くこと

・10xのための逆説 by 矢本 真丈 (株式会社10X代表取締役CEO)
・権威的な事例から導かれた定説は自身のプロダクトの成功とほぼ皆無
→見権威的な事例は無数に存在し、そこから多くの定説を導き出す
・一見参考にできそうな「権威的な事例」は多数存在し、そこから多くの定説が導かれるが、こういった事例を一通りを試しても、事業を前にすすめる結果は導けなかった。ユーザーと向き合い、考え、他の誰もが同意しない、自分だけが知る事実を見つける・賭けるのが最も早く、成功に近い道である。 試行錯誤から、「答えは自分しか持ち得ない」という逆説があると考えるようになった。
(★定説・逆説は資料一覧から確認)


Day2 (2019/11/13)
・PMが学ぶべき、最低限のデータ活用スキルとは by 小川 晋一郎 (株式会社Hakali代表取締役)
・データを活用すると自分にも周りにも優しいマインドフルマネージャーになれる 
・意思決定の為のデータ活用を促進する為に、OODAループをチームで回すことを意識することが重要(Observe(みる)→Orient(わかる)→Decide(決める)→Act(動く))

・OODAループの各プロセス
Observe(観察する):現場感覚を把握する為のインタビュー+生データをみる 。現場の人のモヤモヤは大体正しい。
Orient(わかる): 現実の見方や捉え方を言語化、可視化して、KPIツリーに紐づける。
Decide(決める):マクロで見た時の施策インパクトを常に確認する。
Act(施策の実行):施策の実行


・A day in the life of Silicon Valley PM by 曽根原 春樹 (Smule, IncHead of Product in AI (Principal Product Manager))
重要な3つのこと
1.Think Big
-Go big or Go home とも表現。大きく考えられないなら業務に取り組まないほうがいい。日本では"Hits Per bat(イチ施策で当たりが出る確率)“が重要視されるが、シリコンバレーでは"Bats per home run(イチ大当たりがでるのに必要な施策の数(と質))”
2.Strongly Believe.Weakly Held.
-強く信じるが施策にこだわり過ぎない。データを元に柔軟に対応できる姿勢
3.シリコンバレーでPMとして活躍する為にはデータ分析スキルは必須
-何事もデータドリブン
-誰が言ったかではなく、何を言ったかを重視する為にも、データを元に議論を展開することが必須。(データによる証拠無しでは、話も聞いてもらえない)
・その他
シリコンバレーでは失敗経験の少ないPMは評価されない。PMとして賢く失敗すること。施策の際には Premotem(プリモーテム)-この施策が失敗するとしたら、何が原因になるか,この施策が成功するとしたら何が原因になるのか を事前に考えることが重要。

・『突破するプロダクトマネジメント ~ 実践編』 by 坪田 朋 (dely株式会社執行役員 CXO)
・ワークショップで開発における課題抽出した結果、以下の課題が発見された
・課題
-目の前の課題対応に追われ、中間投資系、リファクタリングの時間が取れない。重要度が高いが、優先度の低いタスクを実行できない
-部署間連携に課題、プロジェクトマネージャーが中間管理職になりがちで、 施策ごとの意思決定者が不明瞭
-情報が多すぎる、知っておくべき情報がどれなのか分かりづらい
-対面やDMでのやり取りが多く、多部署の人が否応無しに、質問に来てしまい、集中力が途切れてしまったり、効率が落ちていることがある
-施策の一貫性・可視化・継続的な検証ができていないので、役割を、明確化できていない
それに対する施策として
・ロードマップ可視化で施策や方針の可視化
-施策ごとの責任者を明文化して全社シェア
-タスク単位の意思決定を PdMに権限委譲
-各KPI毎にカラーでグループ分け、基盤系や新規、DAU積み上げが後回しに    ならないようにバランス調整
-モノづくりにおける100点基準をチームで合わせる
  ステークホルダーと基準点を合意し、構築前に、納品日にこの点数で仕上げられるという合意形成を実施 納品日=品質基準がすりあった成果物を納品
・リソースの解決
-PCなどの業務機器や技術書の購入などを簡易にできる制度導入。
-また、組織にVPoE(Vice President of Engineering)とVPoP(Vice President of Product)をセットした。

VPoEとVPoEの業務の定義
* VPoE :エンジニアリング特化のマネジメント役職。評価制度、育成制度など成長できる環境づくり
VPoP :VPoPはヒューマンマネージメントの責務を持たずに、プロダクトの成功に責任を持つ

・ストックではなく、フローでカルチャーを作る
-Slackにて経営陣の思想や各々の業務の結果などを共有。動きを可視化
-UX課題のほとんどは、アイディア問題ではなく、
  問いの適切さと、壁を乗り越えた実現への執着で解決する

・Rebuild the Industry 〜産業の半自動化を実現するプロダクト開発手法〜 by 水島 壮太 (ラクスル株式会社執行役員CPO 兼 ラクスル事業本部プロダクト開発部部長)
テーマ : 半自動化に着目したプロダクト開発
課題 : 製販分離の基本開発だけやっていても事業のスケールは難しい
理由:物理的な供給力は提供できるが、介在する属人的なオペレーションが事業スケールを困難にする為(売上を10倍にするには人が10倍必要な状況)
→この解決の為に半自動化に着目したプロダクト開発が必要
・半自動化の手法
1. 神業bot化(神業的な属人的スキルを持つ人の工程を分解し、自動化しやすい工程から部分的に自動化、最適化する手法)

開発ステップ
1.神オペレーターを徹底的に観察し、自動化の範囲を決める
2.既存のオペレーションと並列で稼働させ実データで精度を比較
3.オペレーターのトリガーで実行できるようにする
4.深夜や休日などのトランザクション数の少ない時間はオペレーターを介在させず、実行をスケジュールしちゃう

2. セルフサービス化(UXを徹底的に磨き、お客様自身にタスクを完結してもらう手法)

開発ステップ
1.ユーザーの待ち時間を徹底的に観察し、自動化の範囲と初期UXを決める
2.ユーザーの主要導線の隅っこにMVPを置いて、少量流入させる(2択UI状態)
3.オペレーターのトリガーで実行できるようにする(2択UI状態)
4.深夜や休日などのトランザクション数の少ない時間はオペレーターを介在させず、実行をスケジュールしちゃう

・その他

ラクスル社の組織体制
COO&CMO : 市場選定責任・マーケ手法確立・パートナーシップ
CPO : 施策選定責任・開発&事業ドライブ
CXO : UX選定責任・ブランディング洗練
CTO&VPoE : 技術選定責任・アーキテクチャー洗練


資料一覧

LINEにおけるお金とユーザーのジレンマ by 二木 祥平 (LINE株式会社執行役員)
作り手の想いとユーザーをつなぐための悪戦苦闘 by 金田 悠希 (株式会社エウレカ執行役員 VP of Pairs Japan)
ソフトウェア・ファーストで医療業界を変える by 山崎 聡 (エムスリー株式会社業務執行役員 VPoE / プロダクトマネージャー)
10xのための逆説 by 矢本 真丈 (株式会社10X代表取締役CEO)
多機能アプリのプロダクトマネジメントにどう向き合うか by 坂本 和大 (Sansan株式会社Eight事業部 Product Planning Group)
コミュニティマネジメント: プロダクトの開発と展開をコミュニティが加速させる by 馬田 隆明 (東京大学 FoundXディレクター)
ベルフェイスが描く総プロダクトマネージャー構想 by 吉本 猛 (ベルフェイス株式会社経営企画室長兼プロダクトマネージャー)
「何をつくらないか」を考えるリーンプロダクトマネジメント by 坂田 一倫 (Pivotal Labs Tokyoプロダクトマネージャー / )
ともに考え、ともにつくる by 市谷 聡啓 (ギルドワークス株式会社代表)
プロダクトの強い軸を作るプロダクトマネジメントフレームワーク by 小城 久美子 (Tably株式会社)
プロダクトマネージャーが陥るカスタマーサポートの盲点 by 豊川 弘樹 (株式会社ミクシィCREグループ マネージャー)
Rebuild the Industry 〜産業の半自動化を実現するプロダクト開発手法 by 水島 壮太 (ラクスル株式会社執行役員CPO 兼 ラクスル事業本部プロダクト開発部部長)


まとめ


今回初めて参加したProduct Manager Conference でしたが、現役のPMの方々のお話を伺う中で、今後PMとして成長する為に必要なことがいくつか見えてきたように思います。
今後は日々の業務の中で、以下の三つを意識してやっていきたいと思います

1. ジレンマ敗北度チェック
2. データに基づいた議論展開(データ分析スキルと共に)
3. チームへのストーリーテリング


ps.最近、データ分析スキルアップの為にKaggleはじめました。右も左もわかりませんが、Kagglerの皆さまよろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?