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問うことで、考えが深まる

哲学、してますか

哲学と聞いて、どのようなイメージを持たれるでしょうか。なんか小難しいことを考える学問…?実用的な学問ではない…?あまり身近なイメージを持たない方が多いと思います。

デジタル大辞泉による「哲学」の定義は以下のとおりです。

《philosophyの訳語。ギリシャ語のphilosophiaに由来し、「sophia(智)をphilein(愛する)」という意。西周(にしあまね)が賢哲を愛し希求する意味で「希哲学」の訳語を造語したが、のち「哲学」に改めた》
1 世界・人生などの根本原理を追求する学問。古代ギリシャでは学問一般として自然を含む多くの対象を包括していたが、のち諸学が分化・独立することによって、その対象領域が限定されていった。しかし、知識の体系としての諸学の根底をなすという性格は常に失われない。認識論・論理学・存在論・倫理学・美学などの領域を含む。
2 各人の経験に基づく人生観や世界観。また、物事を統一的に把握する理念。「仕事に対しての哲学をもつ」「人生哲学」

少し難しくてわかりにくいですが、定義の1にある「学問一般として自然を含む多くの対象を包括していた」のとおり、古代ギリシャでは「学問=哲学」だったといっても過言ではないようです。言語も数学も理科も倫理も、もともとはすべて哲学から始まっているということですね。ということは、我々が学校で習ってきた勉強ももとを辿れば哲学、と言えるかもしれません。そうすると、実はかなり身近な学問なのではないかと思えてきます。

哲学とは問う学問、考える学問

哲学の父といえばソクラテス。名前ぐらいは聞いたことのある人が多いことともいます。彼はある日「お前が町で一番賢い」という神からのお告げを受けたとか。そんな彼が取った行動は、町で賢いと言われている人たちに質問して回ること。その結果わかったことは、みんな意外と物事を理解していないということだったそうです。

現代においても、物事について「知っている」ことはたくさんありますが、それについてよく考え深く理解していないケースは多々あるかと思います。それはもしかしたら、教育が考えることよりも受験などのために知識を入れることに偏向していったことが関わっているのかもしれません。現在は少しずつ変わっていっているようですが。

考える力は、人生をよりよく生きていくために大切なものであることはご納得いただけると思います。もはや、受け身で生きていって安泰な人生を送っていくことができる時代ではないのは明らかです。変化のスピードがとんでもなく速い時代になりましたから。なので、子どもたちにも考える力を養う機会が必要だと思います。

86の「なぜ」

本書は、子どもにとっても身近なテーマ86個について、深く考えることをサポートしてくれる作りになっています。「なんで〇〇なんだろう?」という問いに対し、著者で哲学者の小川仁志さんなりに「こんなふうに考えてみたらどうだろう」というメッセージが載せられています。1テーマあたり4ページ、とてもサクサク読める内容です。

哲学とは問いを立てるところから始まります。なので、小川さんの考えもあくまで提案であって、絶対的な解ではありません。そのことがわかるように記してくれてますし、読む上でも絶対的に大切にしなければならないポイントです。あくまでも、考えて自分なりの答えを出すのは読んでいる人自身なのです。

35歳の大人である僕が子ども向けに書かれた哲学の本を読んで何を思うか。それは、大人もこういうところから哲学に関わってみればいいのに、ということです。上でも述べたとおり、哲学とはもともと学問全般を指す言葉でした。言い換えれば、対象が広すぎて実態がつかみにくい、ピントが合わせ付いらい学問であることも確かです。

それを端的に、まず問うところから始めてみようと教えてくれているのがこの本です。目に見えるもの、日々出会うものに対しての小さな「なぜ?」を持つことが、深く考え生きる力を養うために必要なトレーニングだと教えてくれています。

まずは、日常生活で感じる小さな「なぜ?」を、少し掘り下げて考えてみるのはどうでしょうか。5分も考えれば、けっこう深いところまで考えることができると思いますよ。

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