中国・ロシア・北朝鮮連携の東シナ海・日本海への脅威
虎ノ門ニュースは、2週間でアーカイブが消えてしまうため、山田吉彦氏の海事関連の発言要旨をメモ的に記しておく。
【虎ノ門ニュース】2022/5/3(火) 百田尚樹×山田吉彦×居島一平
中国による東シナ海の危機(尖閣・先島諸島)
宮古島と沖縄本島の間の宮古水道(宮古海峡)が、中国の船が太平洋に出てくるルートになるので、宮古の位置は重要。
日米は、中国の潜水艦を、中国の浅い海域を通ってくる間に捕捉する。
宮古島の近くに沖縄トラフという深い海域があるが、そこに日米の潜水艦がもぐっている。
中国の潜水艦は捕捉され、日米の潜水艦の位置は中国側には分かっていないという優位な状況。
沖縄トラフを中国に取られてしまうと、中国の潜水艦がそこに滞留している時間が長くなり、捕捉できなくなる。
尖閣諸島から宮古島・石垣島に掛けては、いきなり1000m位沈降している海域があり、そこがポイントとなる。
その起点となる位置に尖閣があるので、中国は尖閣が欲しい。
海底地形というのが非常に重要になる。
最近中国の東シナ海での動きが変わってきていて、電子戦機を投入してきた。電磁波を狂わしてしまう飛行機を飛ばしてきた。
特に、与那国島にある陸上自衛隊の沿岸監視隊は、空も海も台湾をめぐる情勢についてほぼ全ての情報を収集している。電子戦機は、それを狂わしたい。電子戦機が飛ぶと、誘導ミサイルが飛ばせなくなる。
なので、電子戦機がいない場所に浮上して相手にミサイルを撃ち込む潜水艦の重要性が増す。
ロシアによる日本海の危機(津軽海峡・北方領土)
冬季、ロシアが日本海に潜水艦を入れる時に、ウラジオストクにロシアの艦隊があるが、流氷がありルートが限られる。
流氷のない津軽海峡を通すと、日本が完全に捕捉する。
冬季間、太平洋側から日本海に入れるルートは、択捉島と国後島の間の国後水道だけになる。水深480mと深いので、ここだけは流氷が来ても下を通ることができ、ここを通って宗谷海峡の北側を抜けウラジオストクに入って行く。
安全保障上、ロシアは絶対に手放せない場所が北方4島。
逆に、日米にとってもここの海の制海権を取り返すことが重要。
ロシアは、冷たい凍った大地が多いので、他国と貿易(海洋貿易)をしなければ成り立たない。
ロシアは、昔から不凍港が欲しかった。
ロシアが使える海は、バルト海、黒海、日本海。
バルト海は、カリーニングラードという飛び地があるが、バルト3国がNATOに入っているので今だと、敵地を通らないといけない。
黒海は、戦争中はトルコがボスポラス海峡の戦艦の通行を規制できる。
最終的に、今使えるのは日本海のウラジオストクだけ。
だからそこをしっかり確保するために、北方領土や日本海でロシアが軍事演習を頻繁にやっている。
ロシアは、北朝鮮も使っていると思う。
北は、金正恩になってからミサイルを100発も飛ばしている。
北が経済制裁される中、それができるのは燃料や技術お金をロシアが供給しているのではないかと言われている。
北がミサイルを打つ時、ロシアの合意無くしては飛ばせない。
そこにもしロシアの原潜がいたら、北の街の1つや2つは簡単に消えてしまう。(原潜や漁船がその海域から退避した状態で打たせているという意味)
北がミサイルを日本のEEZに落とした場所は、津軽海峡を抜けてきた日米の潜水艦が通る場所。日米に対する警告。
ロシアは、ウラジオストクの出入りを確保するために北朝鮮まで利用。
8年前、中露北の国境付近・ザルビノに、中露がアジア最大の港を共同建設することに合意していた。
これは、北極海航路にらみの計画。現在、北極海は6月~11月まで氷がなくなって航行できるようになっている。
夏季は、ヨーロッパとアジアを繋ぐ航路となる。
もう1つは、ロシア北部のヤマルに世界第2の大ガス田がある。その輸出のアジアの受け手の場所として、中露の間の場所であるザルビノが重要になってくる。
中露は日本海にしっかりとした港を作り、そこを活用するために(尖閣と同様に)日本海の制海権を握りたいと考えている。
そして、最短ルートの津軽海峡を握りたい。
中国が太平洋に出るのに最も近道なのが、津軽海峡と対馬海峡。
津軽海峡は非常に重要。
日本海には、北朝鮮をにらんで日米の潜水艦が入り、ロシアの潜水艦もいる。それをコントロールするために、ロシアは北にミサイルを打たせていると言われている。
中国の潜水艦は、対馬海峡を通過すると日本に捕捉されるので、日本海に潜水艦を入れてないが、その代わりに1000隻の漁船団を入れている。
漁船団は魚群探知機というソナーで海底を見ているので、1000隻で動いている時は(日米の)潜水艦はどこにいるのか分かってしまうので、近寄れない。
日本海の中では慌ただしく状況が動いていて、そのチョークポイントが津軽海峡。
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