アニメにおける雇用・制作費内訳等確認表(自分用)

アニメーション制作の現場を調べると、色々な話を耳にします。「雇用形態の違い」「制作費の概要」などなど。これらについて、私なりに調べてみた結果をまとめてみようと思います。

※毎度のことながら、業界とは関係ないただのアニメファンのまとめになりますので、間違いあればTwitterのほうにご指摘ください。

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雇用形態(正社員・契約社員・業務委託)

アニメーターの雇用形態については色々とありますが、よく聞くのは下記の内容かと思います。

その中で、よく言われるのは「正社員と契約社員ってどう違うの?」という点です。正直、私もよく知らないので、一般的な企業の内容を基に調べてみました。

かなりざっくりですが、上記のような内容かと思われます。スタジオ的には正社員のほうがやはり負担としては大きいため、そう簡単に雇用することは難しいのかなと感じます。ただ、最近では正社員登用も徐々に増加しているようです。

次に業界内でも多くの割合を占めるフリーランスについて。通常は完全出来高で仕事を請けるようですが、近年は「拘束契約」を結ぶ演出家、アニメーター、制作進行が多いようです。では、それはいったい何なのか。各社で細かい違いこそありますが、大まかには以下の内容だと思われます。

主に上記の内容だと思われます。なお、近年はアニメーター不足により、拘束費を払える大手元請が実力派スタッフを優先的に拘束しているようです。その影響か、拘束費を払えないスタジオやオファーに出遅れたスタジオでは制作に大きな影響も出ているとか。もしかしたらこのまま、アニメスタジオの二極化(【品質の高いスタジオ】と【維持がギリギリのスタジオ】)が明確になってくるかもしれないですね。


さて、もう一つ以前いただいた質問で「拘束されるスタッフと契約社員のスタッフって違いはあるの?」という内容を頂きました。これに関しては以下の通りかなと思います。

今回記載したのは代表的な例であり、ほかにも色々と細かい違いもあるようです。興味のある方は調べてみると新たな発見があるかもしれないです。


動画枚数の生産数について

 以前、「動画マンのノルマが500枚と言われてるなら、20人以上動画マンがいれば内製化は可能では?」という質問があり、その時の回答に使用した画像です。

かなり雑な表ですが、上記理由以外にも、そもそもとして所属している動画マン全員が必要な水準に達する実力があるとは限らない点や、カットによって求められる技術も違ってくるなど、様々な要因が絡んできます。少なくとも、線の量も品質も要求がさらに厳しくなっている今の時代、業界に入ったばかりに若手にノルマ500枚はかなり厳しい要求です(真っ当な睡眠時間や休みを得るなら200枚でもかなり厳しいとか)。


アニメーション制作費の概要と収益

アニメーション制作費については正直に言うと「作品によって違う!」が正解になると思います。ただ、それでも気にはなるので、最近聞かれるようになった一例を紹介します。

アニメ制作費は1話あたり1千万円台の時代もありましたが、近年は2千万円以上の現場も増えていると聞きます(なお、宣伝費等は別)。

さて、この制作費について昔から聞かれる「1万枚売れれば費用は回収できる」「興収10億で回収できる」というのは本当なのか、ざっくり計算してみました。

間違いはあるかと思いますが、上記の通りパッケージ単体では費用回収のハードルは高いと思います(1話数1千万円台の時代であれば別ですが)。ただし、商品ライセンスの中でもパッケージから得られる利益配分は多いとも思います。それに合わせ、配信ライセンスや商品ライセンス、二次利用など、近年は多方面から費用を回収して黒字化できる時代になっているのかなとも思います(作品によっては配信のライセンス契約を結んだ時点である程度の費用を回収できるという作品もあるとか)。


アニメーション制作費の内訳

さて、そんなアニメの予算ですが、その内訳はどうなっているのか。2018年に福原Pが執筆した著書を参考に一例を出すとこうなります。

上記の通り、1話あたりの予算は高いとは言えず、各セクションの単価も低い状態です。

福原Pは「スタッフに適正な給与を払うと考えると、1話あたり4000万は必要」とも書いていました。それを踏まえ、SNS等の業界人ツイート等も参照して、費用を計算すると恐らく以下のようになるのが比較的良い現場なのかなと思います。

私は業界人じゃないので間違いも多いと思いますが、上記のような感じであれば比較的マシな予算になるのかなとも思います(ただ、今度はこの費用を回収するためのプロセスを考える必要もありそうですが)。


以上、まとめとなります。ありがとうございました!

《参考資料》


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