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『韓国で「携帯電話身分証」時代が開幕…「もう財布いらない」日本でも財布レス社会を明確に目指してほしい』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.3.25

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■韓国で「携帯電話身分証」時代が開幕…「もう財布いらない」

韓国サムスン電子は21日、実物の身分証と同じ法的効力がある「モバイル運転免許証」と「モバイル国家報勲登録証」のサムスンウォレットサービスを開始することを発表した。

韓国はキャッシュレス支払いのシェアが世界一の国です。

2020年の時点で93.6%、2022年集計では95.3%とさらに伸びています。事実上現金は全く使わないと言っていいレベルです。

対して日本は、経済産業省の統計によると2020年時は29.8%、2022年集計では36%です。多くの人がキャッシュレス支払いの体験はしていますが、日常に現金の存在がまだまだあるという人が大半でしょう。

そんな韓国では、次のステージに進みつつあります。公的な身分証明書のスマホ内蔵です。日本ではマイナンバーカードと健康保険証の一体化に事実上失敗して仕切り直しが必要になっていますが、いずれ同じ道をたどるはず。韓国を先行事例として、どのように導入しようとしているのかを見てみます。


Androidというよりサムスン仕様

韓国では全世代で平均すると69%がサムスンのGalaxyを利用と圧倒的です。続いてiPhoneが23%で、この2つだけで92%を占めます。

ただし、18-29歳ではiPhoneシェアが60%、30-39歳でも41%と、若年層を中心にiPhoneシェアが非常に高まっています。

とはいえ依然サムスンが圧倒的シェアを持っていますので、サムスンがスマホに何を搭載するかの影響力は非常に高いと言えます。

もうギャラクシースマートフォンの利用者は、財布を持ち歩く必要がなくなる。「サムスンペイ」がクレジットカード機能に加え、「モバイル身分証」の機能も備えるようになった。

SKテレコム、KT、LGユープラスなど移動通信3社も「PASS(パス)アプリ」で、モバイル身分証機能を持っているが、二つのアプリにはどんな違いがあるかにも関心が集まる。

上記の説明から読み取るに、Googleが提供するAndroidというOSやGoogle Payウォレットに公的な身分証を搭載するのではなく、独自の「サムスンペイ」の機能を拡張するかたちで「モバイル身分証」を実現しているようです。

そのため、サムスン以外のSKテレコム、KT、LGユープラスの移動体3社は別の仕様です。

2022年6月に発表された時点から、運転免許証や学生証などの身分証の格納が想定されていました。それが2年越しに実現したというかたちです。車のキーもスマホに一元化されるのはとても羨ましいと感じます。

一方別の見方もできます。若年層のiPhoneシェア拡大を取り戻すために、Appleがまだ実装を許していない公的身分証のスマホ内蔵機能をサムスンが独自実装しようとしているのかもしれません。

いずれにしても、公的身分証のスマホ内蔵は、少なくともAndroidについてはOS依存ではなくスマホメーカーが独自実装することができるもののようです。

国内のAndroid端末メーカーがほぼ壊滅しており、かつiPhone人気が圧倒的な日本では公的身分証の機能を提供したからといってAndroid端末がシェアを伸ばすとは考えられません。

やはりAppleが公的身分証に対応させることが日本においては必要になりますし、韓国の若年層に向けてもApple次第になりそうです。


IC内蔵の身分証カードをスマホで読み取る手順

サムスンウォレットのモバイル身分証は、政府が提供する「モバイル身分証」アプリと同じ方式が取られている。

モバイル身分証を私のスマートフォンに登録するためには、住民登録番号の確認、顔認識などの手続きに加え、IC(集積回路)カードが内蔵された実物の身分証が必要になる。

初めてモバイル身分証を登録する時には、スマートフォンのNFC機能を立ち上げ、ICカード内蔵の身分証をスマートフォンの裏面に接触させる必要がある。その後、自分のスマートフォン認証、顔面認識手続きなどを経た後、初めてモバイル身分証が完全に登録される。

この手続きは日本でのマイナンバーカード+マイナポータルアプリの関係に近い操作性です。

今年の確定申告で、マイナンバーカードをスマホでタッチして認証する操作をやった方は多いと思います。一方、確定申告をしていない給与所得者や主婦などの方はマイナンバーカードをスマホでタッチする操作は未体験かもしれません。

日本のマイナンバーカードのスマホタッチで不便なのは、身分証の認証が必要なシーンで毎回マイナンバーカードが必要になる点です。

サムスンウォレットのモバイル身分証の場合、初回の身分証登録の手続き1回のみ物理的な身分証カードが必要ですが、以後はスマホだけで完結するようになります。


会員証類もスマホ完結で本当に財布要らずに

同社と行政安全省によると、このようなモバイル運転免許証は身分確認が必要な公共・医療・金融機関などをはじめ、4月10日の総選挙でも有権者としての身分確認用に使用することができる。

運転免許証や選挙での身分確認もできるのは公的身分証として確かなものだと分かりますが、注目は「医療・金融機関など」の記載です。

医療・金融機関の多くは民間企業です。そこでスマホ完結したモバイル身分証が使えるようになるということは、診察券やキャッシュカードもスマホに内蔵されることです。

民間の飲食店やスポーツジムなどの会員証もモバイル身分証に一体化させることで、真に財布がなくせます。

小さなお店でどこまで対応できるのかに課題があるかもしれませんが、95.3%ものキャッシュレス社会を実現しているのですから、規模によらずモバイル対応できる環境が整っているのでしょう。


日本ではマイナポータルが正式版に

日本ではマイナポータルが正式版に移行したことが報じられました。UIが若干変わった程度ですが、今年から確定申告に対応するなど少しずつ利用シーンを増やそうとしています。

Androidスマートフォンではマイナンバーカードの電子証明書機能を搭載した「スマホ用電子証明書搭載サービス」を開始しており、2024年度には確定申告にも対応予定。現在、iPhoneはスマホ用電子証明書に対応していないが、河野大臣は「アップルには来年(2025年1月開始)の確定申告に間に合うよね、と申し上げている」と言及した。

河野大臣が来年2025年1月にはAppleも対応することを示唆した発言をしています。加えてサムスンが今回発表したように、財布不要化・スマホ一元化を明確な目標として、マイナンバーカード自体をスマホ・iPhoneに格納できるようにしてほしいと思います。

スマホではなくカードのほうがいい人はカードを使えばよいと思いますが、カードをなくしたい、財布をなくしたいニーズにも対応してほしい。現状のようにマイナンバーカードだけしかないと財布がさらに手放せなくなりますし、財布の中のカードが1枚増えるだけになってしまいます。

ぜひAppleへの働きかけもしつつ、日本でも財布レス社会の実現を進めてほしいと願っています。

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