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『Apple税・Google税に公取委がメスもweb3普及には不十分。ガイドライン改定で「裏技」不要化を是非』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.2.10

■アプリ決済開放、Apple・Googleに求める 公取委

公正取引委員会は9日、米アップルと米グーグルが提供するスマートフォンの基本ソフト(OS)に関する報告書をまとめた。アプリ提供事業者への高額な手数料や自社アプリの優遇は独占禁止法上、問題になる恐れがあると指摘した。アプリ決済の開放も求めた。欧州のように禁止事項をあらかじめ示す「事前規制」の導入を念頭に法整備の必要性にも触れた。

日本の公取委がApple、Googleのアプリストアの手数料についてメスを入れ始めました。

Apple税、Google税と揶揄される30%もの高額な手数料が結果的に下がることが期待されますが、公取委が指摘する通り法整備による担保が必要だろうと思います。

公取委が求める対応を両社が自主的にとるかは見通せない。公取委は状況の改善には「法整備による担保が有効だ」と主張した。禁止行為などをあらかじめ示す事前規制が念頭にある。問題を事後的に取り締まる独禁法だけでは変化の速いデジタル市場の規制に不十分とみている。

アプリ内課金か外部のクレジットカードなどでの決済かを選べるようにすべきとも提言されていますが、重要なのは30%の手数料を下げることだけではありません。

web3系アプリの場合、NFTや暗号資産を扱うアプリを出せるかどうかの判断基準がAppleとGoogleに独占されている部分にも手を入れなければ「アプリ外のサイトで裏技対応する」ことが避けられません。


コインベースウォレットアプリのNFT送信機能を削除させられたケース

NFT送信のために必要なガス代(手数料)をアップル独自のシステム「In-App Purchase」でアップルに支払う必要があるため、アップルはガス代の30%をコインベースから徴収することができると主張しているという。

しかしアップルの独自システムは暗号資産に対応していないため、コインベースがアップルの要求には対応できないとのことだ。

「ETH建てでしか払えないガス代をIn app Purchaseで払え」などNFTや暗号資産の仕組み上不可能なことをAppleが無理に要求し、従わなければアプリをBANするぞという要求からNFT送信機能を削除させるしかなくなったという事件が実際に起きています。

30%のApple税が下がったとしてもこういう問題は解消できません。


In app PurchaseでNFTは売れるが相互運用性のあるものはNG

In app PurchaseでNFTを売ること自体は許可されており、すなわち法定通貨でNFTが買えるというのは良い点です。

暗号資産でNFTを買う場合、
・暗号資産取引所の口座開設、その際の本人認証登録(KYC)
・口座開設後に銀行口座から法定通貨などを入金
・暗号資産を購入
・MetaMaskなどウォレットのアカウント開設
・MetaMaskに暗号資産を送金
・場合によってはDEXで暗号資産を別の暗号資産に交換(ETH→Maticなど)
・OpenSeaなどNFTマーケットプレイスにMetaMaskを接続
という手順をクリアする必要があり、多くの人にとっては難しすぎます。

NFTがアプリ内で法定通貨で買えるのは、NFTを多くの人に身近にすることに寄与します。

ただし、OpenSeaなど暗号資産建てでしか買えないNFTをアプリに持ち込むことは許されていません。(Appleガイドライン3.1.3(b) Multiplatform Service)外部サービスで課金入手するものがアプリ内課金でも買えるなら問題ないが、外部サービスでしか買えない(暗号資産建てでしか買えないのでアプリ内課金に対応できない)場合はNGと解釈しています。

そのため、オンチェーンNFTは持ち出す際のガス代が払えないことからIn app Purchaseで販売することができません。

これではゲーム内アイテムと何ら変わらない、NFTである必然性のあるNFTは事実上アプリでは扱えないことになります。


「裏技」が不要なガイドライン改定を是非

そこで仕方なくアプリの外のサイトと連携してNFTや暗号資産を扱う「裏技」を使うしかなくなっています。

アプリは特にエンドユーザーのUXに直接関わる部分ですので、アプリから切り離した外部Webサイトを使わざるを得ないようなサービスは、公式から説明やサポートができず事故の元にもなります。

公取委のApple税・Google税へのメスを機に「裏技」を使わなくてよくなるガイドラインの改定が実現されてほしいものです。

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