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『健康科学大、理学療法士や作業療法士のVR職業訓練 VRを人手不足解消の切り札にするために必要なこと』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.7.21

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■VRを活用 理学療法士や作業療法士の仕事を仮想空間で体験 健康科学大学

VR=いわゆる仮想空間を使い、医療現場での仕事について学ぶ職業体験が、山梨県富士河口湖町で行われました。

この職業体験は、健康科学大学が行ったもので、県内外から約130人が参加しました。

山梨県富士河口湖町で健康科学大学が提供するVRを用いた職業体験が行われました。健康科学大学は来年度から全国の4年制大学で、理学療法士・作業療法士に特化したVR教育プログラムを導入することを発表しています。

人手不足が多くの業界で叫ばれる中、VR職業訓練はもっと広がるだろうと思います。

・VRでリアルに学べることで習熟が早まること
・自宅などリモートでたくさんの仕事を学ぶことができ、現場に立つ前に「経験者」になることができること
・新人教育ができるベテラン社員を教育係に取られること自体が痛手で、VRに教育を任せるニーズがあるだろうこと
・業務が標準化され、VR教育に投資ができる業界に人とお金が集まるだろうこと、裏返して、業務が標準化されず教育に投資できない業界や店舗などは今後も労働力の確保に苦労するだろうこと

このあたりがVR職業訓練を後押しするだろうと考えています。

元記事は理学療法士・作業療法士のトレーニングの事例でしたが、まずVR職業訓練にはどんなメリットがあるのかを整理し、他にどんな業界に応用可能なのかを考察してみたいと思います。


VRによる職業訓練のメリット

VRは現実の業務環境を模擬しながら、安全かつ効率的に学習する機会を提供できます。特に高リスクな仕事や複雑な手順を含む職業では、実際の現場での失敗リスクを伴わずに、繰り返し訓練を行うことができます。

例えば医療分野では、VRを使用して手術手順やリハビリのシミュレーションが可能で、リアルな環境での練習が難しい場面でも、技術を磨くことができます。

さらに、VRは時間や場所に制約されずにトレーニングを提供できるため、遠隔地にいるスタッフや多忙なプロフェッショナルも利用しやすいというメリットがあります。


VR職業訓練に向いている仕事と向いていない仕事

VR職業訓練に向いている仕事

  1. 手順が明確で標準化されている業務:例えば、医療職や接客業など、標準的な手順が確立されている仕事では、VRでの訓練が非常に有効です。

  2. リスクが高いが、シミュレーションでカバーできる業務:医療職や緊急対応職など、実際のリスクを伴う業務では、VRによるシミュレーションが安全に技術を習得する手段となります。

  3. 反復練習が重要な業務:運転職や店舗スタッフなど、同じ作業を繰り返すことでスキルが向上する仕事では、VRでの反復訓練が効果的です。

VR職業訓練に向いていない仕事

  1. 高度なクリエイティブ職:アーティストやデザイナーなど、創造力や個別性が重要な職業は、VRでの訓練では独自のプロセスやインスピレーションを再現するのが難しく、VRだけではスキルを完全に習得することができません。

  2. 研究・開発職:研究者や科学者のように、実験や予測不可能な要素が多い仕事では、VRでのシミュレーションが現実の研究環境を完全に再現することが困難です。

  3. 特殊技能職:手作業の精密さや高度な技術が要求される工芸職などは、VRでの訓練が実際の技能を完全に習得するには限界があります。基本動作を学ぶにはVRは向いていますが、そのさらに先の「職人芸」はVRだけでは習熟できません。

  4. 人事・管理職:対人スキルや組織の理解が重要な管理職では、VRでのシミュレーションだけでは実務経験を完全に再現することは難しいと考えます。ただし、シミュレーション対象を多数用意することとセットでなら、従来型の座学やOJTで学ぶよりも効果を上げられるはずです。


業務の標準化とVR教育への投資ができるか?

VR職業訓練に向いている仕事は、業務の標準化がしやすい職種と、VR教育への投資が可能な職場です。

そもそも、VRでの訓練を行うには業務が標準化されていてマニュアル化されていることが必要です。手順が明確であり、反復練習が重要な業務において有効であることはもちろん、自分たちの業務を客観視してPDCAをある程度回した成熟した職場に向いているとも言えます。

ベンチャー企業のような、誰でも何でもやる、常にダイナミックな仕事の仕方が望まれる職場には向かないということです。

さらに、VR教育への投資ができるくらい儲かっている業界であることも重要です。人手不足が叫ばれる多くの業界は、給与レベルが低いことが根本原因であることが多いように感じます。給与レベルを上げられない収益性の低い業界は、業務が標準化されていたとしてもVR教育へ投資することができません。

VR技術を用いた職業訓練は効果的ですが、VR教育に投資できる余力がある業界や企業でないと実施できませんし、学んだあと就業した際の給与が低ければ学ぼうとする人も現れません。


結論

VRによる職業訓練は、特に手順が標準化されている業務や高リスクの職種において有効な手段です。しかし、クリエイティブ職や研究職など、VRでの訓練が難しい分野も存在します。

また、最も重要なのは、業界の成熟度と収益性の高さです。VR職業訓練は有効ですが、一気に人手不足を解消する魔法の杖になるわけではないということです。

裏返して、業務の標準化とVR教育への投資ができる業界については、VR技術の利点を最大限に活用し、現場の人手不足を解消するための重要なツールとなるでしょう。

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