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『現実資産(RWA)は取引契約書をトークン化すべき』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.9.7


■現実資産(RWA)のトークン化:暗号資産の持続的成長の新たな波

DeFiはこれまで、主に暗号資産トークンの形で、魔法のインターネットマネーを取引するだけだった。

同様に、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)は、デジタルの希少性の問題の一部を解決し、クリエイティビティの民主化を可能にしたが、その利用はほとんどがデジタルアート、文化、ミームに限られている。
(中略)
暗号資産と伝統的金融の間でますます共有されつつある主張は、現実資産(RWA)のトークン化が次の強気相場の基幹を形成し、暗号資産への何兆ドルもの価値移転の扉を開けるというものだ。ペレス教授の言葉を借りれば、RWAのトークン化はブロックチェーンと伝統的な金融における新たな黄金時代を解き放つだろう。

たびたび取り上げているRWAトークン化ですが、今回ご紹介する記事は「RWAトークン化がクリプト業界の本丸だし、次のトレンドだよ」という上記のような前半パートと、

ほとんどのRWAトークン化プラットフォームは、トークン化された資産の償還を履行するために、ある種の仲介業者への信頼を必要とするため、Web3テクノロジーの潜在力はまだ完全には発揮されていない。仲介者が蒸発すれば、原資産に対する債権も蒸発する。この問題は現物資産のオラクル問題と呼ばれ、次のような例で示すことができる。

アリスが自分の車をトークン化し、ボブがそのトークンを買ったとする。ボブはどのようにして、車を受け取れると確信を持つことができるのだろうか?

この問題は、ブロックチェーンが直接解決できるものではない。なぜなら、常にある程度の人間による調整と信頼を伴うからだ。

現実資産をトークン化して売買しても、トークンが現物資産に必ず交換できるという保証は人間の信用に依存してない?という問題提起、そしてブロックチェーンで人間の信用に依存しなくていい解決方法が作れるよ、という提案で構成されています。

ここで提案されているブロックチェーンでのRWA取引履行の課題解決方法は、法治国家であれば確かに機能するなと思わされるものでした。


現物資産ではなく契約書をトークン化する案

現物資産を直接トークン化する代わりに、当事者の商取引実行の約束を一種の先物契約としてプロトコルでロックし、スマートコントラクト内にエンコードし、償還可能なNFTとしてトークン化することができる。紛争が発生した場合、スマートコントラクト内にエンコードされたアルゴリズムが分散型紛争解決機関に照会することで処理できる。その結果、RWAのトークン化、交換、決済における信頼の必要性が最小化される。

クリプト用語だらけで難しい言い回しをしていますが、要するに「取引契約書をトークン化すればいいんじゃないか?」ということです。

RWAトークン化と売買の基本フローは

1.現物資産をNFTにします。
2.NFTをオンラインで売買します。
3.NFTを持っていると現物資産と交換が約束されます。

の通りですが、「1.」の段階で多くの人は腹落ちしません。

1点しかないコレクターズアイテムに対して、運営は不正に複数NFTを作れます。1点につき1枚のNFTしかないことをどうやって証明するのでしょうか?

不動産をNFT化して売買するとき、所有者は「登記」によってしか確定しません。NFTを売買しても、オフラインで別の人に「登記」されたらNFTは無効になります。

「3.」の現物資産との交換でも、悪質なRWA運営会社なら、現物資産の所有権を運営会社が持ち、NFTを別途発行して売買させます。NFT所有者が持つのは「NFTの所有権」だけですから、運営会社が倒産したときに預かり品は資産差し押さえに遭い、NFTと現物資産の交換ができなくなるかもしれません。

「現物資産をトークン化する」という言葉遣いをしますが、RWAを安全確実に実現するなら「取引契約書をトークン化する」ことが必要だと謳っています。

これならば、取引契約書そのものは法治国家において有効です。現物資産とトークンが交換されることが契約によって担保されます。


NFT売買と契約名義人を連動させられるか?

あとは「2.」のNFT売買でNFTの所有者が移転した時、原契約の名義人欄の書き換えをどのように契約書上で定義するかが課題です。

紛争が発生した場合、スマートコントラクト内にエンコードされたアルゴリズムが分散型紛争解決機関に照会することで処理できる。

言い回しがわかりづらいです。
「分散型紛争解決機関」とはどこの組織を指しているのかもよくわかりません。

ただ言わんとしていることは、ブロックチェーンに記録されている取引履歴に則って法的に契約名義人を特定し認定するということはできるんじゃないか?ということだろうと思います。

スマートコントラクトで契約名義を自動的に書き替えるところまでやれれば、そしてスマコンで書き換えた契約名義が有効だという判例が出れば、RWA NFTの売買は法的に確実になるでしょう。


信頼できる仲介者は今のところ必要

そうでなければ(※スマコン化できなければ)、信頼できる仲介者が必要になり、カウンターパーティリスクや摩擦、独占的な権力など、ブロックチェーンが回避しようとするすべてのものが呼び戻されてしまう。

実際、「証券」として扱われている株式や債券、そして同様に登記手続きが必要な不動産などRWAトークン化で大きい金額が動きそうな現物資産は「信頼できる仲介者」が必要なのが現状です。

これは将来にわたっても大きく変わらないんじゃないかと思います。先に国家が登記手続きルールや取扱事業者の免許制度などを作っている分野ですから、仲介者不要を目指そうとすると国家不要論・アナーキズムの方向に振れ反発も多くなると思います。

RWA NFTの売買によるNFTの所有権移転が登記に自動反映されるようなDX/GXが実現すれば、国にとってもオペレーションコストと時間が省けるので良いと思いますし、アナーキズム方向ではない議論のほうが建設的だろうと思います。

倉庫でコレクターズアイテムを預かるタイプのコモディティRWAの場合も、現物資産を預かる業者の信用が必ず必要になります。きちんと保管しているか、勝手に売り払わないか、業者は実在するのかなど、現物を送る際に心配になることは信用でしか解決できません。

ここに関しては全部をスマコン化すれば解決するとも、スマコン化しないといけないとも思いません。独占的な権力、中央集権化の課題に戻ることは確かに心配ですが、現物資産を扱う以上避けられないと見ています。

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