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『ChatGPT登場でGoogle「コードレッド」宣言。web3台頭とは別のWeb2終焉の流れか?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.12.24

■ChatGPTのリリースでGoogleは「コードレッド」を宣言

20年以上にわたってGoogleの検索エンジンは世界中でインターネットへの主要な入口として機能してきました。Googleのある幹部は、ChatGPTが従来の検索エンジンを再発明するものであり、Googleの検索ビジネスを根底から覆しかねないほどの技術革新が到来したのではないかと危惧しています。

昨日のニュース記事です。GoogleがやっとChatGPTの登場について「事業に対する深刻な脅威への警戒を示すコードレッド」を宣言するに至りました。


私もChatGPTの登場によって「ググる」ことがなくなる、という示唆を先週提示しました↓

Googleなどの検索は一見とても便利になったと感じます。ググれば何でも分かってしまうので記憶不要になった部分もあります。

しかし検索は実は不便な行為で課題が多い。生まれながらにしてネットとGoogle検索がある時代に生まれた人は気づいています。

・検索ワードを工夫するのが難しい。
・アフィリエイトサイトが邪魔。
・検索結果一覧から目的の情報を探すのが大変。
・見つけたサイトがベストか比較するために複数の結果を見る必要がある。

に加えて実はGoogleの大きなビジネスのひとつ

・リスティング広告も邪魔。目的のサイトではない可能性がままある。

と、Googleの存在意義やビジネスモデルに問題が多かったことを、ChatGPTの登場で多くの人が気づいてしまいました。


■12月21日の段階ではChatGPT脅威論を否定していた

・グーグルの幹部が従業員に対し、チャットボットが検索に代わるとは思わないと述べたという。
・従業員が幹部にOpenAIのChatGPTのようなチャットボットを開発しないことは、機会の損失ではないかと尋ねたことをCNBCが報じている。
・アルファベットのCEOとグーグルのAI部門責任者は、同社にとっては、OpenAIのようなスタートアップよりも「風評リスクが大きい」と述べた。

ChatGPTへの脅威認識が甘く、また現業を守る保守的な発想が邪魔して「風評リスクが大きい」方に注目してしまっているように見えます。

しかしこの2日後の昨日、コードレッド宣言に至ります。

ChatGPTだけでなく他の検索エンジン事業者もAIチャットボットでダイレクトに「答え」を返すことでGoogleに対抗しようという動きを強めています。

直接答えを返すというトレンドが起きることはほぼ確実になってきました。そんな中でGoogleが動かないとすればユーザーが離れるのは時間の問題です。


■Googleがユーザーの利便性アップを優先できなくなっている

グーグルはすでに、検索結果のページにユーザーが求めている答えを表示する仕組みを導入しており、2022年5月にSemrushが公開したデータでも、グーグルのデスクトップ検索の約25%が、外部のサイトをクリックせずに終了していることが示されていた。

アプローチは違いますが、Google自身も「サイトのリスト」から答えを探させる検索に加えて、直接答えを返す仕組みを以前から導入しています。

既に25%も検索結果の先のWebサイトに飛ぶ量が減っているとのことですが、今のGoogle版「直接の答え」は不十分なことが多く不便さがあまり解消されていないのが個人的な実感です。

Googleほどになれば、やればできるのに本気を出していないと感じます。おそらく既存のビジネスに与える影響が大きすぎるからだと推測します。

Googleが登場した当初は検索エンジンの乱立期で、比較的後発でした。Webサイトが乱立して探せないという課題を一番効率的に解消してみせたのがGoogle検索でした。

つまりユーザーのためにサービスを進化させてきたことがユーザーに支持されました。

しかし今般の脅威否定からのコードレッド宣言に至る流れは「ユーザーのために課題解決する」発想が徹底できなくなっていることを感じます。こういう雰囲気を感じ取って徐々にユーザーが離れていきます。


■ネット関連企業全体を巻き込む変化

人々がググらなくなると、Google自身は

・リスティング広告
・SEOルールメイカーのポジション
・Google Analyticsで「流入経路」が大事だと刷り込んできたこと
・すべてのアクセスのポータルになること
・検索キーワードの収集
・検索者の他の検索情報との組み合わせによる個人情報の取得
などを失う可能性があります。

これらが変わると

・リスティング広告を取り扱うネット広告代理店
・SEO事業者
・Google Analytics分析業者
・ディスプレイ広告で生計を立てていたネットメディア
・Webサイトの受託制作会社
・アフィリエイター
・アフィリエイトネットワーク事業者
などが大きな影響を受けます。

3位以下は「YouTube検索」19.3%、「Instagram検索」8.7%、「TikTok検索」2.9%とSNSサービスが続いた。
体感では「Twitter」も上位になると思われるが、選択肢に入っていないためランクインしなかったと思われる。

今はGoogle検索が多く使われていますが、YouTube、Instagram、TikTokを検索エンジン代わりに使うことも一般的になっています。

Webサイトを作ったらGoogleではなくSNSで検索・認知されることを念頭に置いたサービス設計にシフトすることはWeb2企業でも多く進んでいますが、今後はWebとSNSはセットにすることがデフォルトになっていくと考えています。


■web3とは別の流れでもWeb2終焉が進みつつある

GoogleのオンラインストアでGoogle Pixel 7を購入する際、なんらかのミスで2台購入してしまったうちの1台を返送し、サポートの指示に従って注文を取り消したところ、Googleの規約違反でアカウントが消されてしまったとの体験談が、オンライン掲示板のRedditに投稿されました。

Googleアカウントを失った時の影響は計り知れません。
規約に書いてあることとはいえ理不尽な状況でも、GoogleがBANすると判断すればBANされてしまいます。

こんな一強の恐怖から脱したいというところからweb3の非中央集権化ムーブメントが起きた部分もありますが、今回のChatGPT登場によるGoogle検索離れは別の動きです。

栄枯盛衰、巨大なGoogleがAIの登場によって「コードレッド宣言」に至らせられました。

もちろんChatGPTはあくまでも人間らしい文章を打つことに特化しており、必ずしも対話の内容や理屈を理解しているわけではないので、「間違った内容をもっともらしく話す」という欠点があり、まだまだ改良の余地はあります。

今の段階ではまだChatGPTのようなAIがGoogleを駆逐するには程遠いのですが、Google経営陣がコードレッド宣言するほどの脅威であることは間違いなく、AIがよりまともな答えを返してくるようになるのも時間の問題です。

ことweb3やブロックチェーン技術が時代を変えるかに関わらず、SEOやネット広告などWeb2っぽい業態はかなり近い未来に大きな影響を受けそうです。


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