見出し画像

『小学5年生、生成AIを活用したボタン会話アプリを開発。ChatGPTを「使えるコミュニケーションアプリ」に!』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.11.15


■小学5年生、生成AIを活用したボタン会話アプリを開発

場面緘黙(かんもく)症(特定の状況で声を出して会話ができなくなる)の当事者である上田蒼大氏が開発したアプリ「Be Free」です。

上田氏は人前での会話全般ができないので、普段から筆談やジェスチャーで会話をしていましたが、時間がかかったり、細かいニュアンスが伝わりにくかったりするのが悩みでした。そんなとき、自分の言いたいことをパッと言葉にしてくれそうなChatGPTの存在を知って、すぐにアプリ化を思い立ったそうです。

開発者の上田さん、小学5年生にして超実用的なアプリを開発したこともスゴイですし、小学生でも作れるほどのノーコード・ローコードの開発環境の進化や、開発情報を入手しやすくなった情報環境も昨今らしいと感じます。

この「Be Free」というアプリは、相手が声で尋ねてきたことに対して選択肢ボタンを押すことで会話できるようにするアプリです。

場面緘黙症の方の会話支援ができることはもちろん、

・耳が遠くなった高齢者との会話支援
・初めて行くジャンルのお店での注文支援
・外国語での会話支援、異文化コミュニケーションでの会話支援

にも応用できそうです。


「ボタン会話アプリ」とは

ユーザーが自分のプロフィールと使いたいシーン(飲食店、美容室など)を登録したうえで、会話相手の声をBe Freeに音声認識させると、回答になりそうな言葉の候補をボタンとして表示してくれる

というものです。

歯医者さんが「どこが痛いですか?」と聞いてきたら、答える自分側にあり得る選択肢をChatGPTを利用した「Be Free」アプリがボタンにしてくれます。

「そこから自分が言いたいことを選ぶと、音声が合成され、相手と声での会話が成り立つ、という流れ」とのことで、「Be Free」を開発した小学5年生の上田さん自身が場面緘黙症の当事者だからこそ思いついたChatGPTの活用方法です。

ChatGPTに長文を書かせるより、短い選択肢を挙げさせる方が、よい選択肢を挙げてもらいやすそうです。これはChatGPTの「次にくる言葉を連想する」という処理構造にも適しています。


外国でのコミュニケーションに最適

場面緘黙症でなくても、英語が苦手で外国人との会話で何も言葉が出てこなくなるという経験をしたことがある人は多いんじゃないでしょうか。

デジタルツールを使えば音声を認識して自動翻訳することはできます。

さらに「Be Free」のように、訊かれたことへのアンサーをボタンで選択肢にしてくれたら、外国でのコミュニケーションはとても気が楽でスムーズになります。

もし、北欧スウェーデンを旅行中に歯が痛くなったらどうしましょう?
スウェーデン語が話せる日本人はとても少ないですし、スウェーデン人で日本語が話せる人もごく少数だと思います。
だとすると、歯医者の現場ではスマホの翻訳アプリなどで会話を試みることになるんじゃないかと思います。

それよりもこの「Be Free」のように選択肢がボタンで表示される形式で、歯科医さんと自分とお互いに見ながら会話した方がスムーズだと思います。

グローバルコミュニケーションツールとしての「Be Free」はとても有用です。現地の文化ごとに出てくる選択肢が変わるような細やかさが実現できれば最高です。


翻訳ツールより使える。月額サブスク展開できるのでは。

多言語化も視野ということなので、今回挙げたようなグローバルコミュニケーションツールとしての役割も視野にあるのだと思います。

旅行者が個人で使うことはもちろん、外国人観光客が多いエリアでお店に導入したり、先述のように病院や美容院、自治体や行政機関など、いざ外国人が来た際に円滑にコミュニケーションが取れなければならない場所に導入することで、月額サブスク制でのビジネスも成立するんじゃないかと思います。

上田氏自身が試行錯誤する部分もたくさんあったようです。とくにチャットの履歴を保持するコードを書くのがたいへんで、「5年生の夏休みの青春すべてをこのコードに捧げました」と語ります。

また、言葉の候補をきれいに出力させるためのプロンプトにも細かな工夫があります。アプリの利用目的とか構造をしっかり考えて、それに合わせてAIのラフな出力を整形することで、こんな使いやすい形になるんですね。

夏休みの自由研究が、ガチのビジネスにつながったら面白い。アプリとしてブラッシュアップする部分もあると思いますが、営業体制や経営体制が整えば、わりとすぐに売れるんじゃないでしょうか。

ちなみに上田氏のプロジェクトは、17歳以下の若者を対象とする「未踏ジュニア」というプログラムの成果です。

未踏ジュニアでは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のIT人材育成事業である未踏事業の修了生らによる助言が受けられたり、開発資金を援助してもらえたりできるそうです。

未踏ジュニアのプログラムなので大丈夫だと思いますが、ビジネス化にあたっては変な大人に捕まらず、素敵な使われ方として普及すればいいなと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?