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『ChatGPTに夏休みの読書感想文を出力させるプロンプトが無料公開された意義を考える』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.7.19

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■ChatGPTに夏休みの読書感想文を出力させるプロンプト(ひな形)の無料公開

この度、弊社理事長でGPT研究所の所長の戸村智憲が、「GPT監査シリーズ⑪」として、夏休みの読書感想文と生成AIについての監査レポートと、個人的な体験・感想を織り交ぜた読書感想文を出力させるプロンプトひな形を、下記の通り無料で公開致しました。

多くの学校では明日~今週いっぱいで学期収め、そろそろ夏休みが始まります。
夏休みといえば、是非はともかく大量の宿題が出るのが日本の風物詩。自由研究や読書感想文などは未だに夏休みの宿題の定番なのでしょうね。

生成AIに読書感想文を書かせて提出するなんてけしからん!!生成AIは禁止せねば!!

なんていう後ろ向きな心配がChatGPT登場直後から聞かれますが、その懸念や議論を先回りするように、読書感想文を書かせるChatGPTのプロンプトが無料公開されました。


ChatGPTが読書感想文を書けるのかの監査

といってもこのプロンプトは宿題の読書感想文そのものを作成し提出することに使うことは意図されていません。学校関係者が心配するほどChatGPTで読書感想文が書けるものなのかを「監査」するという位置づけにしています。

【ChatGPTプロンプトひな形(個人的な体験・感想を織り交ぜた読書感想文の出力検証用)】
優秀な信頼性あるプロの家庭教師として、〇の『〇』という書籍について、以下の制約条件を基にして、夏休みの宿題である読書感想文を出力して下さい。
制約条件1: 文字数は800文字以上で1200文字以内
制約条件2: 小学〇年生レベルの日本語の文章
制約条件3: 〇の個人的な感想を織り交ぜる

※上記のひな形にて、「〇」のところに、各自で検証してみたいものを入力する(使用例は下記の『吾輩は猫である』の検証例を参照)。

公開された読書感想文を出力するプロンプト文例にも表れている通り、ChatGPTを「優秀な信頼性あるプロの家庭教師」と位置付けています。

そして、「〇の『〇』という書籍」で書籍を指定、「小学〇年生」で年齢なりの文体や内容になるように調整します。

 ChatGPTが普及し、誰でもかんたんにGPT3.5レベルのものならスマホのアプリででも生成AIを活用できるようになったということは、STEM教育・ICT利活用が進む小学生でも、夏休みの宿題を生成AIにやらせようとする可能性はある。
 その対策として、個人的な経験や感想を盛り込め、という学校側の統制(コントロール)策が、果たして十分に機能するのか、また、もっともらしい虚偽の記載でもスラスラともっともらしく出力する現状の生成AIが、どこまで宿題ハッカーたる小学生の意に沿うレベルのものを生成できるか、といったことも気になり、悪用・濫用などは意図しない中で試しに検証してみたところ、かなり宿題として出せそうなものが仕上がってきた。

青空文庫など書籍の全文がネット上に公開されている著作権が切れた本なら、十分「使える」読書感想文を出力できると結論付けています。


いまの読書感想文の宿題は学びがない

キモなのが制約条件3「〇の個人的な感想を織り交ぜる」という指定です。
これを加えることで「単なる感想」ではない、「ウケる読書感想文」に仕立てることができます。また読み方に深みが出ます。(または深く読んだという証左としての読書感想文が書けます。)

自分自身と息子2人の経験のみの話ではありますが、読書感想文の宿題は「良い読書感想文とは」を教わらずに「読んで書いてこい」という乱暴な出され方でした。

・普段本を読む習慣がない学生に本を読んでほしい
・ある程度本は好きでも、普段読まない種類の本を読んでほしい
・本の内容を理解し、自分の考えをまとめる力を身につけてほしい

家庭教師のファミリー「読書感想文の書き方のコツ!お伝えします!」

という意図はあるのでしょうが、本を読んで読書感想文を書いて提出することだけを宿題にしても、これら学校側の狙いは果たされません。

読書感想文で書くべきことは「どんな本を読んだか」「その本を読んでどんなことを感じたか」「本を読んでみて考えた自分の意見」の3つです。 つまり「(1)本の紹介→(2)心を動かされたこと→(3)心を動かされたことから考えた自分の意見」という基本の流れに沿って書くことができれば、まとまりのある文章を作ることができるのです。

ベネッセ教育情報「読書感想部のの書き方、構成のコツから本の選び方、注意点まで徹底解説!」

これを知って本を読む・読書感想文を書くのと、知らずにやるのとでは結果が全く変わります。

大量に本を読む子どもなら自然と本の読み取り方が身についていることもあるでしょうし、クレバーな子どもなら読書感想文で期待されている「ウケる書き方」を意識できるかもしれません。

しかし多くの子どもは本の読み方を学ばずに夏休みに本を読むことを義務的に課され、読んだことを証明するだけのために読書感想文を提出させられているように感じます。

読み方が身についていない中で本を読んでも得るものが少なく、読書感想文を書いても「あらすじ解説」「単なる感想」しか書けないのが現状。これでは時間の浪費で学びにつながりません。


ChatGPTに読み方と書き方を教わる使い方

ChatGPTに読書感想文を書かせて、さも自分が書いたかのように提出するのは確かによろしくありません。

しかし、「先にChatGPTに読書感想文を書かせて、それを読んだうえで本を読む」という順番にすると、本の読み方にガイドラインが引かれた状態になります。その方が読み方が深くなったり目的をもって読もうとする姿勢が身につくのではないかと思います。

また、いくつかの本の読書感想文を先に書かせて、一番面白い読書感想文が書かれた本を選ぶという使い方もできます。

本を読めるスキルは社会に出ても非常に重要だと感じます。地頭の良さを感じられる人はだいたい本をたくさん読んでいますし、読んで得た情報を自分で咀嚼してアウトプットする能力も長けていると感じます。

読書感想文が宿題で出なければ一切本を読まないで夏休みを終える子どもが多いだろうことを考えると、ないよりマシかもしれません。ChatGPTに読書感想文を書かせて提出すると本当に読まないで過ごしてしまうという意味でよくありませんが、ChatGPTを上手に使うことで本を読むきっかけを増やしたり上手に読むスキルを身に着けることにつながるだろうと思います。


何よりChatGPTを実際に触ってみる経験になる

2023年6月3~4日にかけて、ChatGPTの認知・利用動向に関する第2回目の調査を実施した。

調査結果としては、ChatGPTを知っていると答えた人が68.8%、実際に利用したことがあると答えた人は15.4%であり、認知・利用ともに伸びていた。

4月から6月にかけて認知・利用ともに伸びていたとしつつも、ChatGPTを実際に利用したことがある人は6月時点でもわずか15.4%に留まります。

NRI「日本のChatGPT利用動向(2023年6月時点)」より

若年層については2023年4月から6月にかけて大幅に利用したことがある人の割合が伸びていますし、男性10代は40%が利用したことがあるという結果です。男女差が大きいことは不思議ですが、高齢になるほどAIが縁遠くなることは男女共通です。

学生など若いうちにAIを触った経験があれば、その後歳を重ねても躊躇なくAIを活用するようになるだろうと予想します。

ChatGPTなどAIを積極的に使おうという姿勢や発想は社会に出た後も重要になりますし、ChatGPTを読書感想文きっかけで使うようになったとすれば(読書能力に効能のある使い方である方が望ましいですが)ChatGPTを利用したことがある側の人になれるという点においてもよいことです。

変に統制したり生成AIの利用を禁止したりするより、いかに生成AIを使いこなして生成AIを前提としてどれだけ素晴らしい成果物を提出できるかを評価軸にしてはどうかと感じた。

読書感想文の目的とAIを使いこなす能力アップの目的は分けた方がいいと思いますので上記に100%は賛同できませんが、変に統制したり禁止しない方がよいという点は同意です。

うちの息子たちもまだChatGPTを活用できていないので、この夏休みに親子で一緒に楽しみながら使い込んでみようと思います。

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