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『マイクロソフト、次期Xboxに「暗号資産ウォレット」搭載の可能性』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.9.26


■マイクロソフト、次期Xboxに「暗号資産ウォレット」搭載の可能性

マイクロソフトが次期Xboxに、暗号資産のウォレットを追加する可能性があるというニュースが報じられている。
(中略)
ニュースサイトThe Vergeは9月20日、Xboxの責任者のフィル・スペンサーが社内向けのEメールの中で「買収に関する裁判手続きで我々が提出した文書がリークされ、Xboxの今後のプランが意図せず公開されてしまった」と述べていたと報じた。

米国連邦政府の機関が、うっかりミスでXboxの未来のロードマップ資料を一般公開してしまったそう。

その中に「暗号資産ウォレット」搭載の可能性も検討されていたことが判明しています。メジャーなコンソールゲーム機にウォレットが内蔵されるというのは、Web3界隈にとってとても大きな、ポジティブな影響がありそうです。


裁判資料を米連邦取引委員会がうっかり公開

ことの経緯は、『コール オブ デューティ』で知られるアクティビジョン・ブリザードの買収に際して米連邦取引委員会(FTC)が差し止めの裁判を提訴した際、FTCがマイクロソフト側が提出した裁判資料を、うっかり誰でも見られる状態で公開してしまった、というものです。

裁判は今もまだ続いています。

端末価格だけでなく、予測売上台数や資金、マージンなどお金の話も資料には盛り込まれていたので、頭の中全部大公開企画状態になってしまいました。

その資料の中には、Xboxの2030年までのリリース計画、たとえば「新たなXboxのコントローラー」「Xbox Series X/Sのそれぞれのアップデート版」「中間世代機」の情報や、販売計画やお金の話までダダ漏れ。
さらに

「(もし)任天堂を手に入れられたらキャリア最高の瞬間になる。両社にとっていいと思う」

と任天堂の買収計画まで漏れてしまう始末。これはゴシップとしてはおもしろいのでしょうが、当事者のマイクロソフトからするとたまったもんじゃありません。

※追記
今回の裁判を担当した米連邦地裁は、今回の情報漏洩はマイクロソフトの責任だとコメントしています。

によると、

訴訟を担当した米連邦地裁は、裁判文書が流出したのはマイクロソフトの責任だとコメントしている。裁判所が当事者から送られた文書をファイル保管所にアップロードし、それを第三者が閲覧できる形だが、その上で同社が不要な文書を渡したり、機密部分に黒塗したりしていなかったということだろう。マイクロソフトは自ら、前代未聞の巨大リークをしてしまったわけだ。

とのこと。公開前提のストレージにマイクロソフト自ら証拠資料をアップするものなので、裁判に不必要な資料はアップしない、公開したくない資料のマスキングする、という対策をマイクロソフト自身がやるべきだったようです。


ウォレットがゲーム機に搭載されたら

・暗号資産に触れることができる人が桁違いに一気に増える

によると、Xbox シリーズXとSに限っても2100万台、Xboxシリーズ全体では7900万台も販売してた実績があります。

PS4の2022年3月31日までの累計販売台数は1億1700万台以上Nintendo Switchの2022年6月末までの累計販売台数1億1108万台には大きく水をあけられているものの、2100万台はとても大きな数字です。

最もメジャーなウォレットであるMetaMaskのアクティブユーザー数が3000万人というニュースから新しい発表がないことを考えると、Xboxにウォレットを搭載することで数千万人の単位で暗号資産やNFTを持つことができる人が増えるのは驚異的です。


・ゲーム機らしい、やさしい使い勝手のUI/UXが発明される

世界中の老若男女に使われるのがゲーム機ですから、いわゆるクリプトネイティブな人以外も大勢使います。専門用語を使わず、ピクトグラムなども多用し、「払う」のか「もらう」のかを誤解させない、などの工夫は当然なされるでしょう。

主な操作方法はゲーム専用のコントローラーですから、キーボードを使わなくてもひと通りの操作ができるようになるはずです。

またリビングの大画面テレビで、家族や友だちが見ているところでウォレット操作をすることもあるはずです。その時にシードフレーズや秘密鍵が見えてしまうような見た目には決してしないでしょう。もしかすると手元のスマホと組み合わせるのかもしれません。

ゲーム機ならではの洗練されたUI/UXが発明されれば、スマホやPCのウォレットにも強い影響を与えます。


・ゲームで稼ぐ、別のゲームで使う、への挑戦

ゲームで「稼ぐ」いわゆるPlay to Earnが試されたり、ゲーム内で手に入れたレアアイテムをNFTとして売買したり、他のゲームとアイテムを互換共有するような体験が実装されるなどが、超メジャー級のゲームタイトルでもできるようになるんじゃないかと期待しています。

他のゲーム機と違ってXboxなら、長時間がんばれば金銭的な見返りがある。という差別化は、ゲームにハマっている人であるほど効果が大きいですし、途上国ではゲームが職業になるかもしれません。


・XboxのNFTマーケットプレイスができる

Xboxでのゲーム内アイテムを売買するマーケットプレイスはマイクロソフトが運営すると思います。

OpenSeaなどで売買可能にすると拡張性や自由度は高まりますが、詐欺がおきたり操作が難しくなるなどの弊害もあります。まずはトラブルを避ける運用になるんじゃないかと思います。

NFTマーケットプレイスでの手数料収入をマイクロソフトとゲームメーカーが得ることができれば、Xboxの本体価格を大幅に下げられるかもしれません。


・ゲーム以外にも広がる

実況配信、ゲームコミュニティへの参加などゲーム関連の派生サービスにも、視聴チケットや会員権のNFTでの販売、暗号資産での支払いができるようになるところから始まり、よりゲームから遠いところにもつながっていくのだろうと思います。

ゲームで稼いだトークンで、近所のカフェのランチチケットを買う、クラウドファンディングの支援金を寄付する、AIの月額利用料金に充てる、

ゲームのプレイヤーアカウントに「積極的に支援してくれるやさしい人」「危険を顧みず、率先して突撃するタイプ」「敵からの攻撃が当たらない遠距離攻撃に徹するスタイル」などの性格情報がつき、それが証明書として就職活動で使われる、

などなど、ゲーム以外にもウォレットを通じてつながっていくと可能性がより大きく広がります。


NFT嫌いなゲーマーも多いけれど

これまでのゲーム性に「お金」の要素を入れることに反発が多いのも事実です。

ゲーマーがNFTを嫌う理由は、NFTがわかりにくく、効果が薄いため、人間が興味を持ちにくいためです。また、NFTゲームへの過剰投機も課題として挙げられます。
NFTゲームは、取引の不正や改ざんがしにくく、ゲームの透明性が担保されやすいという特徴があります。しかし、データ自体が偽物である盗作や詐欺商品が多く出回っているのが現状です。
NFTゲームがゲーマーに嫌われないためには、もっとNFTの理解を深める必要があります。

とGoogleのAI、SGEも要約してくれていますが、逆に「NFTがわかりやすく・意識する必要なく、効果や意味があり、投機的な売買ではないかたちで使われ、偽物や盗作などの不正や詐欺が起きない仕組みであれば、受け入れられる素地もあると思います。

ゲーム性がまったく変わってしまうことは、私個人もいちゲームファンとして確かに心配です。しかし、新しいジャンルとしてNFTや暗号資産をつかったゲームがあってもいいじゃないか、とも思うのです。

ゲームメーカーからすると、Xbox専用タイトルを作るよりもプレステ・Switch・Steamに横展開できたほうが合理的です。しかし競合との熾烈な競争に勝たなければなりません。

NFTゲームをXbox向けに開発することが他のゲーム機との差別化になれば、新しい市場が数千万台規模で生まれる可能性はあります。

すぐには理解が進まないかもしれませんが、Xboxやマイクロソフトがコンシューマーにウォレットを広めること自体が大きな影響・効果をもたらすことに大きな期待をしたいところです。

「文書の多くは1年以上も前のもので、我々の計画はそれ以来進化しているが、これは残念なことだ」とスペンサーは語っていたとされる。

FTX破綻のあとのクリプトウィンターの影響で計画は大きく変更されている可能性はあります。アメリカではSECが暗号資産市場を事実上破滅させてしまっていることも、判断に影響を与えているでしょう。

しかし「我々の計画はそれ以来進化している」と、中止ではなく進化と表現していることに一縷の望みがあるんじゃないかと願わずにはいられません。

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