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『ビデオ映像を3D化してAR配置「Wist」がARを一気に実用化する予感』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.3.4

■2D映像から変換した3DデータをAR/VRで体験できるスマホアプリ「Wist」 現在βテスト中

「Wist」は、2D映像から変換した3Dデータを、AR/VRで体験できるアプリです。最新のモバイル機器に搭載されているセンサーを使用して、3Dデータを取得します。AR機能は対応するiOS系デバイス、VR機能はVRヘッドセットMeta Quest 2から利用できるとのこと。

クローズドβテスト中なのでまだ一般に広く試すことはできませんが、スマホで撮影したビデオ映像を3D化して、AR的に空間に立体配置できるというアプリが発表されました。

文字で説明すると分かりづらいので、実際に作成された動画をご覧ください。

Twitterで公開された紹介映像からは、ソファーに座って赤ちゃんを抱える女性がアプリ機能によって映し出される様子が確認できます。

スマホで撮ったビデオ映像は奥行きや位置などの3Dデータがない、いわゆる2Dの動画です。それを3Dに変換したうえ、撮影した部屋の同じ位置に配置するAR表示を実現しています。


動画をAR配置できるのがキモ

ニュース記事内でも紹介されているナイアンティック社のScaniverseのようなアプリは以前からあり、実在のモノをスマホで3Dスキャンしてオブジェクト化することはできていました。

3Dオブジェクト化したあとはARで部屋に置いてみるなどして楽しみます。実用的な使い方なら、例えば購入検討している家具を3D化して、自宅の部屋にAR配置して大きさや見栄えを確認するような使い方ができます。

でも3Dオブジェクトを置くだけという体験は、最初はおぉ!と驚いてもすぐにつまらなくなるんですよね。

今回のデモにあるような動画をAR配置する使い方だと、動き・声・時間をその場に再現することができ「確かにそこにいた」という存在感を感じられます。

昔飼っていた犬が、ARグラスをかけると部屋の中を走り回っている様子が再現される、なんて使い方をすれば泣いてしまいそうです。


ドライブレコーダーに実装すれば事故の現場再現も

「Wist」の2D映像を3D化してAR再現する技術を使えば、防犯カメラの映像を使って現場を再現したり、自動車のドライブレコーダーの映像から事故当時の現場の状況を再現するなどの実用的な使い方ができそうです。

複数台のドラレコの映像を使って1か所の事故現場を再現できれば、2D映像だとわからない横や裏側から見た様子を現場検証時に「後から見る」ことができるようになります。

そうなると事故検証に来た警察官はARグラスを装着しているんでしょうね。未来SFっぽい。

動画という時間軸を持ったデータをAR配置できるからこその使い方です。


ARは実用用途から普及?

エンタメ用途よりも防犯用途など実用の方からARは普及する気がしています。マップアプリの道案内や交通事故の現場検証は比較的身近な実用用途で考えらえますが、他にも

・チェーン店の店舗オペレーションの理想的なムーブをARで再現して見せる店員教育用途

・車のレースの現場でマリオカートの「ゴースト」のように最速ラップの走行データを現実のサーキットに再現して追いかけられるトレーニング用途

・バスケットボール、バレーボール、テニス、野球、サッカーなどプレイエリアが固定されているスポーツでの選手やボールの位置をAR再現し、中に入って別角度から見たり、巻き戻しリプレイやスローモーションなどを駆使して戦術検討する用途

などは予算が付き実用化が早そうなARの活用分野だと予想します。

もちろんこれらを一般人が見ると、特にスポーツはエンタメとしてとても楽しめるコンテンツになるとは思います。

例示したこれらを従来の技術でやろうとすると多数のセンサーを配置して位置情報を3D的に取得する必要があったはずですが、今回ご紹介している「Wist」の2D映像を3D化してAR配置する技術を使えば従来より簡単で早く安く実現できるはずです。


実用例が増えればAR普及は一気

今流行りのジェネレーティブAIもそうでしたが、基礎技術を公開したあとの「こんなふうに使える!」という応用例を皆が編み出し始めると普及は一気です。

ARはキャンペーンなどで机の上にキャラを表示させる程度の面白エンタメとして捉えられていた感がありますが、実用用途から普及し始めると位置づけがガラッと変わります。

そうなればARグラスなどガジェットの開発競争も進み、機器が普及することで更にARの利活用が進むという好循環ができます。

実用例を作りやすそうな「Wist」の2D動画を3D AR配置するソリューションはAR普及の鍵になるかもしれません。

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