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『中国のライブ通販番組で最近流行した「地獄すぎる」販売方法』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.3.20

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■中国のライブ通販番組で最近流行した「地獄すぎる」販売方法

中国ではライブコマースがとても普及しているというのはよく耳にします。普及しているぶん競争も激しく、ライブコマースのなかでも新しい販売方法が次々に試されているようです。

このショート動画の販売方法は衝撃的でした。


1品3秒以内の爆速ライブコマース

箱から商品を取り出して持ち上げますが・・・

全体を見せることも、商品の解説をすることも一切なく、すぐに箱を放って次の商品に移ります。

なんと1品3秒以内。
ライブコマースですから注文する側も3秒以内に注文するかの判断を迫られます。

紹介されたすべての商品一覧から注文すると単なるECサイトと同じ体験になってしまうので、注文受付もライブにするのは大事です。しかしこのペースで注文するのは競りかシューティングゲームのようです。

ちゃんと説明してくれない不親切なライブコマースで本当にモノが売れるのか?

売れるらしいです。驚きの1週間で20億円。買う人数規模が違うとはいえ、1品も売れなくてもおかしくない情報も愛想もない売り方です。この売り方なら時間あたりの商品取扱数を最大化できます。


日本でイメージするのは「生産者の顔が見える」EC

ライブコマースと聞いて日本でイメージするのは「生産者の顔が見える」系の売り方です。

農作物にいかに愛情を注いでいるか、作り手・売り手が「いい人」かを、顔を出し、会話を通じて伝えることで、多少高くてもその人から買おうというファン購買を促すのが王道だと考えられていました。

今回の「3秒以内」の売り方とは真逆です。1品1品の紹介に時間をかけ、視聴者からの質問にも丁寧に答え、ようやく注文が取れます。そのぶん流通を通さずに小売価格で売れたり付加価値を乗せて高く売れることが期待されるメリットでしょうが、あまりうまく行ったという話は聞きません。

やはり生産者は販売のプロではありませんし、ライバーになりたい農家というのも多くないのだろうと思います。


テレビショッピングは生産者とライバーの分業

日本では高齢者を中心にテレビショッピングで買い物をする文化は根付いています。暇つぶしにテレビショッピングを見る人、テレビショッピング中毒になっている人も多いと聞きます。

実際に買われるからこそ、テレビショッピング専門チャンネルがいくつもでき、深夜の地上波やBS放送でも通販番組が多数あるわけです。

放送メディアでの通販番組では質問を受け付けたり会話することはほとんどなく、一方的に商品紹介をハイテンションにやって見せるだけです。このハイテンション具合が買う側を刺激する反面、あのノリをやれるライバーは多くありません。ましてや農家や漁師、手芸品クリエイターが通販番組の勢いでライバーをやれるわけがありません。

中国のライブコマースでも、日本のテレビショッピングでも、生産者とライバーの分業が行われているとも言えます。そのぶん、日本で試されて失敗し続けている生産者自身がライブコマースに出演する形式は、売り手にとってもハードルが高く、買い手にとってもエンタメ性が足りない、双方にとってうまく行かない構造だろうと思います。


「3秒販売」はAIアバターでやれるのでは

箱から取り出して見せるということは難しいかもしれませんが、AIアバターをライバーにすることができる売り方ではないかと思います。

何しろ商品の解説を一切しませんし、視聴者からの質問や会話も受け付けません。最近の会話ができるAIを駆使すれば解説や会話も一応できると思いますが、人間ではない違和感は少なからず感じるはずです。

「3秒販売」の映像から感じるライバーのメカニカルなボット感はまさしくAI化すればいいと思ってしまいます。

人間のライバーを横並びにズラッと並べて一斉配信するよりもよほど人間的かもしれません。


AIバーチャルライバーの実験も

株式会社いつも(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:坂本 守、証券コード7694)は「AI バーチャルライバー」によるライブコマースの実証実験を開始しました。第1弾として吉本興業所属のお笑い芸人 EXIT りんたろー。をAIアバター化し、EXITのオフィシャルファンクラブ「entrance」によるAIアバターの育成プロジェクトに取り組みます。

EXITのりんたろー。さんをAIアバター化し、ファンクラブ上でライブコマースをやる実験が行われています。

今のところ「言葉をうまく話すこともできません」というレベルらしいですが、りんたろー。さんの知名度と人気に、商品知識や生産の苦労話をインプットして何でも答えられるようになれば、話芸のエンタメと売り手の実用性を兼ね備えたライバーになります。

しかし、AIアバターはどのくらいリアリティが必要なんでしょうね。この見た目クオリティのAIアバターが単独でセールスをやるのは難しいように思いますし、常にりんたろー。さん本人の伴走が必要なら本人がライバーをやった方が視聴者も楽しいはず。

「3秒販売」のようなやり方以上のことは、当分はAI化は難しいと言わざるを得ないのが現状かもしれません。

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