『GoogleのチャットAI「Bard」でYouTube動画の内容を要約させることが可能に、コンテンツ作成者に悪影響が及ぶ懸念も』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.11.25
■GoogleのチャットAI「Bard」でYouTube動画の内容を要約させることが可能に、コンテンツ作成者に悪影響が及ぶ懸念も
YouTubeを運営するGoogleならではのAIの使い方。Google製AI「Bard」が、YouTube動画の中身を検索・要約できるようになり、動画のに関する質問もできるようになりました。
ただし今のところアメリカだけでの実験的なサービス提供のようで、今のところ日本では使えません。
動画は検索できないことが課題でしたが、今回のBardの対応で検索も要約もできるようになるのはとても便利です。
Googleの当初のミッションは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスして使えるようにすること」ですから、動画も検索可能にするのは社是には適っています。できればポッドキャストなど音声コンテンツにも対応してほしいと思います。
しかし、動画を見ずにテキスト要約で結論だけを得られるようになれば、動画クリエイターの収益は減少します。収益が減ればYouTube動画の数が減ります。
自分で自分の首を絞めているように見えるGoogleの今回の対応、大丈夫なんでしょうか。
YouTube動画は長くダルくユーザー離れ
YouTubeは8分以上の動画から広告収益が得られる仕組みを採っています。2020年7月の仕様変更以前は10分以上でした。
10分だと長すぎてユーザーが離れると判断して8分に短縮したわけですが、8分でも長いと感じる無駄に結論を引き延ばすダルい動画が多く、TikTokに代表される短尺でサクッと結論から言うショート動画にユーザーを奪われています。
そのため、YouTube自身もYouTubeショートを開始するなどして対抗していますが、クリエイターは「ショートのほうが見られるが、ショートだと稼げない」というジレンマに陥っています。
ヒカキンやはじめしゃちょーなど超有名ユーチューバーを抱えるUUUMも、
と、YouTube動画は稼げないことに苦労します。
これにさらにBard AIによる要約機能が世界で利用可能になれば、クリエイターからはますます「YouTubeは稼げないプラットフォーム」だと見なされるでしょう。
むしろ超長尺化がトレンド、AIと相性がいい
TikTokをはじめとするショート動画の台頭に対して、YouTubeではむしろ超長尺化する流れも起きています。極端なものだと3時間を超える動画も以前よりずっと増えたと感じます。
ラジオ番組をYouTubeでも同時配信する試みも増えてきています。ラジオを日本全国・世界各地まで届けられるうえ、アーカイブとしての機能も果たします。しかしそのアーカイブは1時間や3時間など超長尺になります。
3時間ともなると、検索や要約、そして自動でチャプターを入れる機能などがどうしても必要になります。これをBard AIがになってくれれば、動画全体が長くても必要なところだけを見ることができ、結果的にクリエイターも収益が得られやすくなるかもしれません。
AIの精度は改善の余地あり
この「エスプレッソ・マティーニ」のレシピ動画で検証が行われています。
音声をテキストに起こして、そのテキストの内容を使ってレシピを書き出す、という比較的簡単そうな作業にも関わらず、間違ったレシピを出力してしまうのが現状のようです。
精度については改善の余地がありますが、時間の問題でしょう。
AIで便利になることが奏功するか離反するか
動画を検索・要約可能にして利便性を上げ、結果的にYouTube動画がより便利になることから広告収益も上がりやすくなるのか、それとも要約機能だけが使われて動画が見られなくなり、広告主もクリエイターもYouTubeから離れてしまうのか。
AIの技術的な実験であることもさることながら、GoogleとしてはAIでYouTubeを再価値化できるかどうかの実験でもあるのだろうと思います。
動画が検索可能になるのは本当に便利なので技術的には実現してほしいですが、やはりショート動画など手軽なものには勝てない気もします。さて、どちらに転がるでしょうか。
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