芸人交換日記〜イエローハーツの物語〜 / 鈴木おさむ 著 /太田出版

この本について

何者にもなれず30歳になってしまった芸人コンビ。ストリップ劇場での営業、アルバイト、枯渇しきった情熱。諦め半分、惰性で送る日々。そんな中、一冊のノートを介して互いの意見を交わし合うことになる。止まっていた歯車が動き出し、二人の生活は少しずつ好転していく。そして、その結末とは。

感想(以下ネタバレあり)

すらすらと読めて最後には胸が熱くなる。芸人というものがどういうものなのかを知らない僕がこのようになるので、この本を芸人さん、または今実際に下積みをしている人たちが読んだらどうなるのだろう。たぶん共感を覚えると同時に刺さりすぎて命が危ないんじゃないかと思う。
本書を読んでいるときは面白すぎて右ページを読んでいる最中なのに目が勝手に左ページを読みに行って困った。手で隠しながら読んだけど。そのくらいページをめくらずにはいられない引き込み力のある小説だった。

気づいたこと

どん底からの積み上げがすごい。冒頭では交換日記を全否定していた田中が最終的には綺麗に逆の立場になっているという構造が良い。火花は最後の天国漫才を参考にしたのかもしれない。それにしても笑わせながら感動させるってすごいなあ。