高村智恵子と女性の生き方
高村智恵子について
高村智恵子は彫刻家である高村光太郎の妻である。
高村光太郎が書いた「智恵子の半生」という本があり、青空文庫なので無料で読むことができる。
私はFESのフラワーエッセンス研修での認定プログラムで提出したアーキタイプ研究に高村智恵子を選んだ。
そのレポートはこちら。智恵子についても詳しく書いている。
このレポートで引用しているのが光太郎の智恵子の半生の本から。
「彼女も私も同じような造型美術家なので、時間の使用についてなかなかむつかしいやりくりが必要であった。互いにその仕事に熱中すれば一日中二人とも食事も出来ず、掃除も出来ず、用事も足せず、一切の仕事が停頓してしまう。そういう日々もかなり重なり、結局やっぱり女性である彼女の方が家庭内の雑事を処理せねばならず・・・(略)。」
大正時代の話ではあるが、その当時は洗濯機も掃除機も冷蔵庫もなかった時代。水道じゃなく、井戸まで水を汲みに行ってたであろう。
家事は今よりももっと時間をとられるものであった。
今読むと、「平等に家事をおこなうという選択はなかったんだな・・」と思い、光太郎が美化している智恵子の様子に腹がたつような感じもある。もちろん当時の男性はほぼ家事は女性がやるものというのがあっただろうけど。
彼女はのちに統合失調症と診断されているが、更年期の時期に発症もあやしいし、更年期の不調で片付けられているのも、ほんとにそうなのかもわからない。
精神状態が悪くなったきっかけが父親が亡くなったことと、実家が倒産し、家もなくなったことが大きかったらしい。それとやはり彼女自身の性格が内にこもる性格であることや芸術家としてその創造性を自由に羽ばたかせることができなかった葛藤も大きい。
実家はかなり田舎で彼女は自然の中でしか息ができないようなところもあり、体調を崩して病気になっては数か月は帰っていた様子。都会暮らしのストレスも大きかったかもしれない。ある意味今だったら適応障害でもあったのではないかと思う。
過去の歴史からもかなり多くの女性が適応障害になっててもおかしくないが、それを「更年期」とか「統合失調症」などと言ってたのかもしれない。
彼女の精神を支えるべき光太郎もまた芸術家で1か月も留守にしている間に彼女の精神が崩壊したのもわかる気がする。
現代の女性はどうだろうか
時代も変わり、現在は女性はかなり生きやすくなっただろうか・・と思うのだが、いまだ家事や家のこと (育児や介護など) は女性がすべきと無意識でも思っている男性は少なくはない。
芸術家として生きるには、その人自身がエネルギーを十分に満たしていなければ、創造的な力を発揮することは難しい。エネルギーだけでなく、時間も必要になる。細切れの作業になるということは非常に厳しいというのは私でもよくわかる。しかし、昔も今もなぜか女性が自分のために取る時間は細切れである。
一人離れてホテルにこもって没頭できればいいだろうけど。
そういえば女性漫画家さんは独り身の人が多いが、たいていメシストというか身の回りの家事をする人を雇っていることが多く、必須と思われる。
家の中にいて、子供のいない夫婦だったら全然取れるんじゃないの?とも思われるが、なんでしょうね。見えない葛藤が智恵子にはかなりあったのではないかとも思われる。
昔だったら世間の目とか、時代の抑圧もあったかもしれないし。
女性は旦那さんを支えるとか家庭を守るという与え手であり続けるのだ。
女性のパワーを守るもの
女性自身が本来の自分を発揮するために必要なことは、そのパワーを遮るものから自由になることである。背景には社会的なものが大きいとは思うけど。
心身の疲労や負担を減らすこと、精神的な支えが得られる場があること。
智恵子がよく田舎に帰って充電していたのは、自然からいただくパワーが彼女にはとても必要だったからだ。女性は自然との親和性が常にある。こういうことって必要だなーと思う。
古代からの先住部族では女性は女性たちだけのコミュニティを持っていた。子育てもその中でおこなわれ、孤立することはなかった。女性同士のコミュニティの力は大きいが、同時に女同士が集まると関係性のいざこざもおこりやすい。経験豊富で、肉体も精神も成熟した女性が一定数その中にいることは大事かもしれない。
20年前に書いた私のレポートに高村智恵子を選んだのは、女性の生き方と生きにくさにかなり関心を寄せていたからだ。それは今の活動の元にもなっている。レポートではフラワーエッセンスのポムグラネイト、ザクロの花とあわせて書いたのだが、この花のエッセンスは今のほうが私には役立つエッセンスとなっている。
ポムグラネイトのフラワーエッセンスは仕事と家庭との板挟みで自分の創造的なエネルギーを発揮することが難しい女性に必要とされる。
要求されることと自分がやりたいこと、やらなければならない育児や家事、介護と仕事はなかなか両立できない。その葛藤は女性の肉体の不調や問題となってあらわれることもある。それらのバランスをとるために助けとなるエッセンスである。
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