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新しいことをする時に使えるリーン・スタートアップの考え方(後編)

前編はこちら

前編のまとめ

前回は、新たなことをする時にどのように進めていけば無駄を省いてうまくやれるか、そのプロセスについてお話しました。ポイントとしては以下です。
- 新たな施策をする際は、作り込む前にまず役に立つか検証する
- これらが全て検証できればこの施策はうまくいく、というレベルで仮説を挙げて検証する

今回は、挙げた仮説が間違っていた場合の次のアクションと、どんな取り組みに応用出来るか、について詳しくお話出来ればと思います。

仮説が間違っていたらどうするか

前編でも引用した、「チャットボットを使ってお客様が理想とする物件を提案出来れば、営業マンが物件を探したり営業する工数が減らせるのではないか?」というアイデアが浮かんだ場合の例でお話出来ればと思います。

まず以下のフォーマットで計画していきます。

1. ビジョン: 営業マンが物件を探したり営業する工数が今の半分になる
2. どのように: チャットボットを使ってお客様が理想とする物件を自動で提案する
3. 仮説: 全て検証できればビジョンが実現する、という視点で漏れなく挙げる
- チャットボットはお客様が理想とする物件を提案できる
- お客様はチャットボットが理想の物件を提案してきたら内見の希望をする
- チャットボットによって営業マンの工数が今より半分になる

上記に挙げた3つの仮説のうち1つでも間違っていた場合、「チャットボットを使ってお客様が理想とする物件を自動で提案する」ことは上手くいかないと判断して、ビジョンは変えずに別のやり方を探ります。これをリーン・スタートアップではピボット(方向転換)と呼んでいます。ピボットによって、計画を以下のように変更してみました。

1. ビジョン: 営業マンが物件を探したり営業する工数が今の半分になる
2. どのように: 自動的に物件の評価が行われるシステムを使って、お客様にぴったりな物件を営業マンに提案する
3. 仮説: 全て検証できればビジョンが実現する、という視点で漏れなく挙げる
- システムはお客様にぴったりな物件を提案できる
- スタッフはシステムが提案してきた物件をお客様に提案する
- システムによって営業マンの工数が今より半分になる

ピボットした計画を、再度検証していきます。このサイクルを繰り返して、仮説が全て検証できるやり方を探っていきます。一見開発になかなか着手できないように見えますが、役に立たないものを開発する失敗を防ぐことが出来ます。コストにするとx00万円、x000万円単位の損失を防げるかも...

どんな取り組みに応用出来るか

不確実性の高い新たな取り組みであれば、何にでも応用できると思います。※不確実性が高いとは、そのやり方でビジョンが達成できるかどうか分からない度合いが高いことを指しています。
リノベるでは、 
- 電子契約システムの導入
- チャットアプリの開発
- 研修プログラムの運用
のようなプロジェクトに活用しています。個人的には、やり方が自分に合っているか確実には分からないダイエットやランニングなどの趣味にも活用しているので、リーン・スタートアップの訓練として活用できると思います。

まとめ

前編と後編で、新たな取り組みをする時にリーン・スタートアップの手法をどのように使うか、それによってどんな効果が得られるかについてお話してきました。大事にしたいポイントとしては以下になります。
- 新たな施策をする際は、作り込む前にまず役に立つか検証すること
- 仮説を検証して上手くいかないことが分かればピボットしてやり方を変えて再度検証する
- 不確実性の高い新たな取り組みであれば、何にでも応用できる

アイデアが浮かんだ時は、多くの場合「それをどんな技術を使って作ろうか?どんなスケジュールで作ろうか?」ということにフォーカスしてしまいがちですが、それがユーザーの役に立つのか?そもそも使われるか?を検証して確かめてから開発することでコストの無駄を省け、またユーザーに使われないという心身ともに大きなダメージを防げると思っています。
志のある多くのサービスが、リーン・スタートアップによって成功することを願っています。



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