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“アートのある暮らし”

SNS界隈で賑わしている多種多様なリレー企画。この度わたしにも珍しくもまわってきました、”アートのある暮らし”バトン。自宅に飾ってあるアート作品を紹介するという企画のようです。

バトンをまわしたいとの知らせを受けて、ふと家のなかを見渡してみると大好きな人たちの作品であふれいて、そのひとつひとつから思い出がふつふつとよみがえってきて、わたしはなんて幸せな時間を過ごしていたのだろうと思えてきました。作品たちはみな、わたしがギャラリーショップをしていたおよそ6年のあいだに出会ったものたち。自分の店で展示をしてくれた作家さんのものもあれば、わざわざ出かけた県外のギャラリーで出会ったものもある。どれもが愛おしい。こうやって平穏な自粛期間を過ごせているのも、家にこの子たちがいるからだと思えてきました。

素晴らしい作品を生み出す作家さんたちに感謝の気持ちを込めて、このバトンを受け取りました。(バトン受け取りしたinstagramには飾っている作品についても触れています @kigipress

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家にある作品たちを撮影しながら思い返していたのは、utanotaneというお店をすることができてよかったなあということ。

いろんな方との出会いがありました。その方のものづくりに対する姿勢、考え方、暮らし方、思想、いろんなものに触れさせていただくことができました。そんな方たちの作品を手元に置いておくことで、自分の人生のどこかで何か力になってくれそうな気にもなってきます。勇気づけてくれる作品もあるし、穏やかな気持ちにさせてくれる作品、なぜだかよくわからないけれどみていて心地よくなる作品も、今、わたしの近くにいてくれています。

utanotaneでの時間、出会い、経験、思い出のすべてが、店を閉めた今でも、いや今だからこそ、わたしの暮らしを豊かなものにしてくれているんだなと改めて思いました。

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utanotaneはギャラリーショップとして絵や作品を買っていただく場でもありました。「絵を買うのには勇気がいる」そんな話をしてくるお客さんも何人かいらっしゃいました。「どんなときに買ったらいいんでしょうか?」とかも。

ちなみにわたしのお店では、どんなお客さんが絵を買っていったかという話をいくつか。印象に残っているのは、「器も家具もひととおり好きなものを集めたので、次は絵を飾ろうと思って」と絵を買って帰られた方。インテリアを揃える感覚で買っていかれたのをみて新鮮な気持ちになりました。そして、「若いアーティストを応援したい」と言って、ちいさな作品でも何かひとつは買って帰ろうと決めている方もいらっしゃいました。あとは、「贈り物に」と絵を選んでくださった方も。誰かを想って絵を買うなんて素敵だなあと感動しました。ご自身の誕生日プレゼントとして絵を選ばれた方もいましたね。あとはやっぱり「心が動いたこと」でしょうか。じっと立ち止まって観賞してくださっているのをレジカウンターの裏からそっと見守っているのがわたしのひそやかな楽しみでした。そんな人のなかには、悩んだ挙句に、やっぱり!と思い立って購入してくださることがありました。

なかには「絵は作家さんの想いがこもったものだから簡単には買えない」と言ってくださる方もいましたし、だからこそ「これだ!と感じたものを迎え入れたい」という方も。「心が動く」のを待つ、というのもとても素敵なことだと思いました。

アートという存在は、インテリアとして選ぶにせよ、大事な作品として迎え入れるにせよ、作品との出会い方はさまざまであっても、普段の暮らしを今以上に彩り豊かにしてくれる存在になることは間違いないとわたしは信じています。

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「どんなときに作品を買うのか?」
わたしの場合は少し特殊かもしれません。
「作品を買ってもらう」という仕事でもあったので「買う」経験をできるだけしていこうと思っていたというのもあるし、特に好きな作家さんへは「応援したい」という気持ちもあって買おうと思うことも多かったです。

ただそれはなんでもいいというわけではなくて、やっぱり心動かされたものには違いありません。展示されている作品をみてふと立ち止まってしまう、何度も何度もみたくなって帰り際にもまたみたくなる、そんな作品に出会うと側に置いておきたくなります。

わたしは仕事やギャラリー巡りを通して、その描き手、つくり手がどんな方なのか知っていることも多いので、よりいっそう作品と自分との関係性の深みが増しているのかもしれないなと思います。作品をみてその人のことを思い出す、その人の想いを思い出す、自分がどんな場所でどんな想いで買ったのかを思い出す…そうやってふとした瞬間に、わたしの背中を押してくれる存在になっているような気がします。

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家のあちこちに散らばっていたのutanotaneでの時間のかけらとひとつひとつ向き合っていくと、切なくもあり幸せな気持ちにもなり、心がいっぱいになってきました。ありがとう。

わたしにとって”アートのある暮らし”。
花を飾るように、音楽を聴くように、美味しいおやつを食べるように、人生になくてはならないものなのです。

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