外星通訳一族、”AKIMOTO”17


   『お菓子は隠されていれば隠されてるほど、おいしい。』

————ウルスの民次期首長候補 キャスティナ・ロンゴの暴論————


————ウルス宇宙船『対講話用』艦船 ハンガー内、収容艦

【文字はすぐには解読できないにしても、ちょっとヒントが得られたのは大きいよな。】
 今だ収容艦内の調査をしているウルス人達は、雑談をしていた。

【でも正解とは限らない。でも語訳かぁ、これはちょっと厄介だね。】
【なんでだよ、俺達の【コレ】があれば……って、そうか。地球人にも全員にはあげれてないのに、次会う奴全員にあげるってのは……。】

【無理だよ、流石にね。それに地球人よりも……その、野蛮な可能性が高いし、何より技術がある。その時点で、な。】
 そう。自分達が探している種族は、初手で武器を向けてきた。地球人とは大違いだと思わざるを得ない……と言っても、状況を考えればそうなるのは必然である。悪いのは急に訪問したこちら側だ。が、その一端で相手とこちらには溝ができてしまった。

【だとしても、ちょっと時間をかければ……。】
【掛けられないかもしれないよ、そんなに。】
【というと?】
 一人が、首をかしげる。
【彼らは戦争中な可能性が高い。宇宙でだよ?しかも他の種族と戦争してる可能性もあるんだ……下手したら。】
【考えればヤバいよな。地球の映画にもそういうのあったし。】
【俺達のとこにもあったんだろうけど……もう無くなってるしなぁ?】
【大本の母星とともにね。種族は無事だけど。】
【頑丈で良かったよな。】
【話を戻すぞ。”彼ら”自体の状況がよろしくないんじゃないかってこと。】
【時間が無いくらい?】
 頷き、その返答を返す。
【損傷した船に乗ってる時点でかなりな。航行可能な程度ではあるらしいけど、その上で俺達にこの残骸を投げてくるぐらいだ、中身引っぺがしてな。相当、余裕がない。】
【だな……ん?】
 何やらスーパーで流れる、木琴のようなアナウンス音の後に、音声が流れる。英語で。
それと同時に、【感覚】も飛んでくる。
「【ウルス、並びに地球側全クルーにお伝えいたします。】」

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