外星通訳一族、”AKIMOTO”14



    『何をするにも情報がいる。————で、今日の下g……』

————2代目通訳官 和久が後の妻、 夕子に殴られたきっかけ————



————ウルス宇宙船 『対講話用』艦船内 ブリッジ

「おかしいだろ!?位置からして7日は最低掛かるはずじゃなかったのか!?相手の艦が進んでる方向だって地球側でもウルス側でもないはずだろ!?どうしてだ!」
 和久は叫んだ。そしてその叫びも、装置を通して翻訳される。

【そうです……明らかに、おかしい。】
 現首長、ホリス・バーダも困惑を隠さなかった。距離計算の精度は地球側のそれではない。ましてや宇宙の民、宇宙を漂う民が、そこを間違うはずもない。そしてそこは『既にウルスの民が開拓した範囲内』であった。

 それがより一層、不可解だった。
【考えられる可能性として、別の艦である、かと。】
「別?」
【はい。前回、我々の仲間が遭遇した艦は……損傷しておりました。大きく、まるで戦闘後のように。】
「ってとこは……」
【アレが、その味方か……】
「敵の物か、か。厄介が過ぎる……!!そいつらの技術は地球の遥か上で、その技術で戦闘……いや、戦争してた可能性があるんだぞ?今見つけた艦は確かに前回の遭遇したのと類似……してるんだよな?」
 和久は艦橋のモニターから見えるその艦の姿をみて、冷や汗をかきながら首長に尋ねる。いくらこの船が問題ないと言っても、地球はそうではない。もし、今から接触するのが、前回遭遇した者の敵で、前回遭遇した者の方が優勢であったりしたら……。寒気が、走った。

【はい、特徴もかなり似通っている……というより、同型かと。】
「……この艦にいる政治屋もここに集める。メッセージは地球には届いたんだ。もう、話し合いの準備を進めているだろう。恐らく中華の集会が、今回の物に成り代わるな。誠児……いや、姫には悪いが仕事をしてもらおう。」
【ですな。とにかく、私達がやることは……】
「決まってるよな、首長。」
 和久は無理やり笑顔を作る。
「接触する、準備を。」
 顔は引きつり、目は笑っていなかった。

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