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木製のパズルやゲームの開発に熱中して Development Story of Wooden Puzzles & Games (第10話)

第10章(最終章)究極の組み立てキューブパズルを求めて


1、マルチ組立てキューブ Multi Assembled Cube

   従来の箱詰めパズル(組み立てキューブパズル)はピースをやみくもに積み上げるイメージであったため、初心者には取り組みにくいパズルであった。
   そこで、ピースをすべて形状の異なる平面型に限定し、前章まででゴールデントリオと称した3つの組立て方法を確立した。

   ①    キューブの各段層でスライスした平板を組み立てた後。重ね合わせるスライスキューブ
   ②    内部に(n-2)の2乗の空洞を持つキューブを、シンメトリーボックスなどは6つの面を組み合わせるが、ピースの数が多くなると底面と4つの側面と上面の順に組み立てるキャビティキューブ(可能なら空洞を埋める入れ子のキューブを含む)
   ③    縦横の段層で平面に分離できないように組み立てるランダムキューブ 
以上の3つの方法で組み立てるキューブを、商品化を控えて、今後MACMulti Assembled Cube)と呼ぶことにする。

2、改良数式MAC

  前章の数式ゴールデントリオでは各ランダムキューブを6方向カラー識別で補助したが、初心に帰って考えてみると、6Xの41個のピースから3Xと4Xと5Xのピースを選んで、同時に3つのキューブを組み立てるのは初心者にとっては難しすぎた。
   そこで、逆転の発想で、6X用のピースを3X用と4X用と5X用に分けて、易しい3Xから順番に各MACを組み立て、その後に全ピースで6XのMACを組み立てる案を考えた。
   さっそく、スライスキューブの3X、4X、5Xのピース郡を木材の色を変えて検証した.
   結果はキャビティキューブの4Xと5Xだけが分離できず、各ピース郡を一から見直さなければならなくなった。最後の難関である。

(スライスキューブ)
(ランダムキューブ)
(キャビティキューブ)

3、究極のMAC

 1)、初心者向けの分離
  少し時間がかかったが、3X、4X、5Xを各々分離してMACを組み立てることができるピースの再配分に成功した。
 初心者向けの3X用と4X用ピースを分離し、上達者向けに5X用を追加することにした。
 初心者向けのピースにはNo.1からNo.20まで番号をしるした。
 (番号の代わりに3Xと4Xのピースの木材の色を違えてもよい)。

(3Xと4X用ピース)


(5X用ピース)

 【入門コース】
  第1ステージ
   
No.1からNo.7ピースを用いて3XのMACを組み立てる。
   (スライスの写真は省略)

(3Xランダム)  
(3Xキャビティ)

  第2ステージ
   
No.8からNo.20ピースを用いて4XのMACを組み立てる。
   (スライスの写真は省略)

(4Xランダム) 
(4Xキャビティ )

 【ファイナルコース】
  第3ステージ
   
21個のピースを用いて5XのMACを組み立てる。
   (スライスの写真は省略)

(5Xランダム)
(5Xキャビティ)

  第4ステージ
   
41個すべてのピースで6XのMACを組み立てる。
   6Xラ ンダムキューブは6方向カラー識別の例だが、カラーを無視し
ても多くの解がある。)

 (6Xランダム) 
 (6Xスライス)
 〔6Xキャビティ(+4Xキャビティ+2X)〕

 ファイナルステージ
  
すべてのピースを使って、
   ①    3XのMAC同時に実施、余ったピースで5XのMACを組み立てる。 
   ②    4XのMAC同時に実施する。
   ③    5Xのキャビティキューブを2セット組み立てる。余りのピースをキャビティに収納する。
  以上の3点は前章の数式ゴールデントリオで紹介したので写真は省略する。

 ファイナルファンタジー
  
数字やカラーを無視してすべてのピースを使って、オリジナルの3X+4X+5XMACを組み立ててください。

(レーザー加工機が使えないのでコテで手書き)

 (終わり)


 あとがき

 この6年余り、木のゲームとパズルの創作にわき目もふらずに熱中してきた。
 今まで年齢のことはあまり気にしていなかったが、満80歳を迎えてみたら一つの山を登り切って山頂に立ったような気分になった。
 ここで一息ついて登ってきた道を振り返ってみても悪くない。
 開発した作品は第10章まで紹介してきたように十数点にのぼるが、商品化したのは3点ほどに過ぎない。
 クラウドファンディングやマーケテイングなど、やることは山積している。
 特許出願の件数も10件を超えたが、特許取得は最初の1件だけである。
 残りは審査請求期限を過ぎたものもあるが、コロナ禍の影響で期間を延長できるようになった。
 創作活動もまだやってみたいことがいくつかあるが、これから先はほどほどにしておきたい。とは言っても、たぶん熱中するのではないかと心配している。

 先日、久しぶりに元建具屋の親方で、一人で木工所をされている山下さんを訪ねた。
 88歳になられていたが、お元気で、寄付された倉敷大水害の募金箱の見本など見事な組手細工の作品を見せてもらった。  
 シンメトリー貯金箱パズルを見せて試作をお願いしたら、最近作られた6本組み木パズルを見せられて、快く引き受けていただいた。
 筆者も今すぐ来た道を下ることはできないので、次の山頂までもうしばらく尾根道をゆっくり歩いていきたい。

 (完)


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