見出し画像

NHKスペシャル 未解決事件 『帝銀事件』感想文

こんにちは。
今日は病院の予約日で、帰って来てから真剣に観ました。事件の内容が衝撃的で、何より外国人が抱いている日本人への怒りが伝わって来るようで
「日本軍は何をしていたんだ!」
「本当に罪深い」「申し訳ない」
というのが、真っ先に感じたことでした。

事件は終戦の3年後の1948年1月26日。
東京 豊島 ある銀行に厚生省の「松井しげる」と名乗る男が
『赤痢の感染を確認したので、予防薬を飲んで下さい』
と、その場にいた16人に液体を飲ませた。

1液目は
『歯のほうろう質が傷むため、舌で歯を覆いながら一気に飲んで下さい』
1分経過後
2液目
『水を飲んで下さい』

そして16人中12人が亡くなりました。
犯人は「平沢貞通(サダミチ)」横山大観の弟子の画家が逮捕され、死刑判決が出ました。
使用された毒物は『青酸カリ』と特定されました。

ミステリー好きの方なら、ここで違和感を持つはずです。何故ならぁ『青酸カリは即効性の毒物』だからでーす。それ以外にも矛盾するものがあり、松本清張先生は真相を探り始めます。(これは小説ではなく事実です)
松本清張先生は、文藝春秋の編集長と一緒に探っていく中、旧日本軍の「七三一部隊」が満州で細菌兵器を作っていたことにたどり着きます。

そこでは、捕虜や中国人や旧ソ連人たちに人体実験をしていたそうです。その被害者は5年間で1000〜3000人。敗戦ムードになった頃、証拠を全部処分するため実験の被験者たちは全員殺され焼かれました。
その「七三一部隊」と深い関係のある「登戸(のぼりと)研究所」では証拠の残らない未知の毒が開発されていました。『青酸ニトリール』というもので、これこそが遅滞性の毒だったのです。
戦争犯罪の裁判で追求されることを恐れた隊員の中には『自殺用に下さい』と持ち出した者もいたそうです。
そこで浮上した『憲兵A』がおそらく真犯人なのですが、昭和49年に亡くなっています。当時は所在が掴めなかったようです。

ここからGHQが登場します。1951年までGHQの統治下にあった日本は、政治家や警察にも圧力をかけられていました。
GHQは、旧日本軍が研究していたデータを渡せば罪に問わないと交換条件を出しました。当時は冷戦状態で、旧ソ連に対抗する手段としてデータが欲しかったとみます。

そして、警察の捜査に圧をかけ平沢貞通の逮捕となりました。

登戸(のぼりと)研究所の所長と七三一部隊の隊長は罪に問われていません。松本清張先生は
『こんな理不尽なことあるか!!』
と憤慨し、この事実を小説ではなくノンフィクションで書きたいと編集長に頼みましたが、編集長は先生を守るために小説で世の中に出すことをゴリ押ししました。

最初は「平沢貞通(サダミチ)」に同情的だった世論も平沢貞通の犯罪歴を知ると一変。凶悪犯という論調になってしまいました。そこで、文藝春秋の編集長の言葉が心に残りました。(正確ではないかも)
『警察の主張が週刊誌の主張、週刊誌の主張が世論になる』
今も性犯罪や不倫の報道があると、世論はあっちへ行ったり、こっちへ行ったりしますよね?そして、世論が裁いてしまう。疑問を感じて徹底的に調べたくなる松本清張先生みたいな人は、あまり(ほとんどかも)いないですよね?私みたいな被害に遭っている方は、簡単に人の言葉を信じないと思いますが(笑)

松本清張先生は、戦争から帰ってから家族8人の食い扶持(クイブチ)を稼ぐ責任がありました。でも、何とか小学校卒業の学歴では編集社に勤めても記者にはなれなかったそうです。
でも、事実を世の中に明らかにしたいという情熱がある方だったのですね。
私ももっと勉強しなければ!

最後までお付き合いいただいて、ありがとうございます🙇

この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?