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【歴代ホラー映画史上No.1!】映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」は何故これほどまでに人々の心を惹きつけるのか?!

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1.映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」は何故これほどまでに人々の心を惹きつけるのか?!

映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」

は、2017年に歴代ホラー映画No.1のメガヒットを記録した「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の続編です。

公式サイトはこちら。

「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」公式サイト

「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」は前作よりも更に早いペースで興業収入を伸ばし、シリーズ累計で10億ドルを超え、まさに“ホラー映画史上No.1”にふさわしい大ヒットとなりました。

何がそこまで人々の心を惹きつけるのでしょう?

この映画の主人公は1人ではありません。

ルーザーズ・クラブのメンバー全員がそうと言っていいでしょう。

いわば集合意識としての主人公。

主人公達の意識は、この映画の中で現在と過去を何度も何度も行き来します。

嫌だった思い出。

もう忘れたいと思うような思い出。

過去の記憶というものは決していい記憶ばかりではありません。

その過去と現在のトリップを何回も何回も繰り返す...

それも1人ではなく、メンバー全員が同じトリップを何度も何度も繰り返す...

このトリップを何度も何度も繰り返すうちに、映画は1種のトランス的状態に入ってきます。

つまり現実と幻想とが、ほぼ均等なバランスでブレンドされたかのような絶妙な映画世界。

それが1人だけでなく、メンバー全員で何度も何度も繰り返されます。

これがこの映画特有の魅力を醸し出しています。

小説だけでもこのような感覚は味わえるでしょうが、映画としてのビジュアルを加えることで、その効果は更に何倍も増してきます。

言葉より映像の方が、多くの人の心をよりダイレクトに捕らえるからです。

そのトランス的感覚は、ラスト近くに「窓ガラスに映った13歳の頃の自分達の姿」となって映し出され...

亡くなったはずのスタンリーとエディの姿もそこには自分達と同じように映し出されているのです。

過ぎ去った過去であっても、メンバー達にとっては現在と同等に心に今でも存在することが、ここで示唆されています。
更にスタンリーの手紙で死と生もメンバー達の心の中では同等に存在します。

亡くなったメンバーの言葉も、生きているメンバーの心情も、そこでは同等に1つの尊い志として存在します。

それが人々の心を打つのでしょう。

映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」はホラー映画とも言えますが、同時に人間心理に対する深い洞察と鋭い考察に導かれたヒューマンドラマ映画の大傑作であるとも言えるでしょう。

それでは映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」

のあらすじからまず順にご説明していきましょう。

2.映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」のあらすじ begin ~再び現れた殺人ピエロ・ペニーワイズ~

映画の冒頭で、前作から27年後、メイン州デリーで、ゲイのカップルが地元のゴロツキに襲われ、1人が川に放りこまれます。

もう1人が川岸に来た時、対岸にペニーワイズ(ビル・スカルスガルド)が出現し、川に放りこまれた1人を惨殺します。

そして辺りは、赤い風船の数々に包まれます。

この赤い風船は、この映画を象徴する1つの不吉なオブジェとして、この後も何回か出てきます。

デリーは、ちょうど祭りのシーズンに入っていました。

バラバラ死体のニュースが流れ、マイク・ハンロン(イザイア・ムスタファ)はペニーワイズの復活を確信し、ルーザーズ・クラブ全員に連絡しました。

「IT(それ)はまた戻ってくる...」

3.ペニーワイズを退治する唯一の方法、それはシャカピワー族に伝わるチュードの儀式...

ルーザーズ・クラブのそれぞれのメンバーの現在の職業は、

・ビル・デンブロウ(ジェームズ・マカヴォイ):脚本家
・リッチー・トージア(ビル・ヘイダー):コメディアン
・エディ・カスプブラク(ジェームズ・ランソン):ビジネスマン(リスク分析家)
・ベン・ハンスコム(ジェイ・ライアン):会社社長
・ベバリー・マーシュ(ジェシカ・チャステイン):ファッション業界で活躍

そしてただ1人、スタンリー・ユリス(アンディ・ビーン)だけが、マイクから電話を受けた直後、バスルームで手首を切り、自殺。

デリーの中華レストランでルーザーズ・クラブのメンバーは27年ぶりに再会を果たします。

6人はスタンリーだけが姿を現さないことを気にしながらも、近況を報告し合います。

テーブルに運ばれたフォーチュンクッキーを繋ぎ合わせてみると、

「どうやらスタンリーは約束を果たしきれなかった。」

という言葉が出てきて、6人は動揺します。

そしてクッキーの中から不気味な化け物が飛び出てきて、6人はそれを追い払おうとします。

しかしそれは6人にしか見えない幻で、駆けつけたウェイトレスには、6人がただ大暴れしているようにしか見えませんでした。

レストランを出た6人は、スタンリーに電話をして、そこで妻からスタンリーが自殺したことを聞きます。

エディとリッチーは街を出ると言ってホテルに戻ります。

マイクはビルと話します。

「俺は知ってる。」

「IT(それ)の倒し方を。」

「文献を全て読み、町民全員に話を聞いた。」

「始まりはこれだ。」

「工芸品だ。18世紀初めのシャカピワー族の。」

「彼らが導いてくれた。」

「ビジョンを見せてくれた。」

「君にもビジョンを見てほしい。」

「彼等の長老、最も聖なる聖職者が歓迎してくれた。」

「聖なる液体で変化が起こった。」

「生きとし生けるものはその姿形の理(ことわり)に準じる。」

「その後、山あい遠くにIT(それ)が現れた。」

「過去が現れる。」

「IT(それ)の出現を見ろ。」

「彼らの苦悩を見ろ。」

「撃退の仕方を。」

「チュードの儀式。」

「IT(それ)を殺そう。」

ビルの飲んだ水には、マイクが入れた、シャカピワー族にもらった植物の根が入っており、そしてビルは化け物を封じ込める儀式を目の前に見ます。

ホテルに戻った他のメンバーは、ペニーワイズの口から放たれたデッドライトを浴びたビバリーが、その後予知夢を見る能力を得たことを知ります。

そしてビバリーがルーザーズ・クラブ全員が死ぬ悪夢を見たことも。

4.ルーザーズ・クラブの6人は、儀式のためのそれぞれの思い出の品を探しに行く...

ちょうどその頃、ペニーワイズは野球場の裏で顔にあざのある少女をおびき寄せて殺害します。

またかつてルーザーズ達と敵対関係にあった不良のヘンリー・バワーズ(ティーチ・グラント)にナイフを与えて、脱獄させていたのです。

ホテルに来たマイクとビルは、全員でチュードの儀式を行えばペニーワイズを倒せるとルーザーズ・クラブの面々を説得します。

マイクは、スタンリーを含む7人の思い出の品を集めて燃やせば、ペニーワイズを倒すことができると言います。

6人は、まずベンのかつての秘密基地に行き、スタンリーの思い出の品であるシャワーキャップを発見します。

6人はそれぞれの思い出の品を見つけに出かけます。

ビバリーは幼い頃住んでいた家を訪れて、当時のラブレターを見つけます。

それはベンが書いた手紙でしたが、ビバリーはビルから送られたと思い込んでいました。

そこに今住んでいる老婆と話をしましたが、老婆は突然化け物の姿に変貌、ビバリーは命からがらそこを脱出しました。
リッチーはゲームセンターの跡地でゲーム機用のコインを見つけます。

そして公園でペニーワイズに遭遇したリッチーは必死に逃走します。

ビルは実家近くの下水溝で立ち止まり、亡き弟ジョージーのことを思い出します。ペニーワイズの幻覚に襲われたビルは、下水溝の中からジョージ―に作ってあげた折り紙の船を手に入れます。

そこへスケートボードに乗った少年が近づいてきます。少年は自宅のバスタブの下水からピエロの声が聞こえると話します。ビルは、デリーからすぐ脱出するように言い聞かせます。

薬局へ吸入器を取りに来たエディは、そこで化け物に襲われてホテルへ逃げ帰ります。

しかしそこでも忍び込んだヘンリーが待ち伏せていて襲いかかります。

エディはナイフで反撃し、ヘンリーはにやにや笑いながら逃げていきます。

ビルとビバリーがホテルにいると、階段からスケートボードが落ちてきて、裏には「あの子も見殺しにする気か」と書かれていました。

ビルは遊園地へ行き、少年を見つけますが、ビルの目の前で少年はペニーワイズに惨殺されてしまいます。

図書館でメンバーの到着を待つマイクはヘンリーに襲われ、そこでリッチーが助けに入り、ヘンリーを殺害します。

そして6人は27年前にペニーワイズと対決したあの廃墟に向かい、長年の決着をつけようとします。

5.ルーザーズ・クラブの6人は、27年前のあの廃墟でついにペニーワイズと対決...

6人は廃墟の井戸から下水道を抜け、地下の洞窟に辿り着きます。

儀式が始まり、6人の思い出の品はそこで燃やされます。

しかしそこでペニーワイズが姿を現し、過去の先住民の儀式は失敗し、全員殺害されていたと言います。

そして巨大なクモとなったペニーワイズが6人に襲いかかり、エディはリッチーを庇おうとして、ペニーワイズに刺され致命傷を負います。

残りの5人は、ペニーワイズを小さくできれば、なんとかペニーワイズを倒すことができると考えます。

そしてペニーワイズを罵倒し続けます。

「ただのピエロだ。」

「弱った老婆よ。」

「首なしの子供。」

「詐欺師。」

「死ね、ペニーワイズ。」

「ゾンビ。」

「クソ道化師。」

「クソったれの干からびたミイラ。」

「ただのダメピエロ。」

「孤独なゲス野郎。」

ペニーワイズはだんだん矮小化していき、マイクはペニーワイズの心臓を抉り出します。

そして5人はペニーワイズの心臓を握りつぶし、ペニーワイズを倒すことに成功します。

その時、エディは既に息を引き取っていました。

5人は廃墟を脱出します。

6.映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」の結末(ラスト)~そして5人にスタンリーが死の直前に書き残した手紙が届く~

街へ戻ると、27年前、血の誓いを交わす時に切った手の平の傷がいつの間にか消えています。

そして窓ガラスを見ると、13歳の頃の自分達の姿があり、亡くなったはずのスタンリーとエディもそこには映っていました。

生き残った5人はそれぞれの人生をやり直し始めました。

ベバリーは夫と離婚して。ベンと結ばれます。

エディに片思いしていたリッチーは高架下で彼と自分の名のイニシャルを刻みます。

ビルは新たな脚本を書き始めます。

そして5人にスタンリーが死の直前に書き残した手紙が届きました。

「ルーザーズへ。」

「これは決して遺言ではないけれど、動機を伝えておく。」

「僕は恐怖で帰れない。」

「全員が集まり一丸となれなかったら僕らは全滅だ。」

「だから論理的解決を選ぶ。」

「自分を消し去る。」

「うまくいった?」

「もう答えは出たね。」

「僕は怯え続けた。」

「次に起こることに怯え、やり残したことに怯え。」

「それはダメだ。」

「自分らしく生きろ。」

「誇りを持て。」

「大切な人を見つけたら決して手放すな。」

「自分の道を行け。」

「どんな道だろうと。」

「この手紙に約束してくれ」

「僕からのお願いだ。」

「自分に、お互いに誓おう。」

「ルーザーズにはこれ以上失うものはない。」

「だから正直に、勇敢に立ち上がれ。信じろ。そして忘れるな。」

「僕らはルーザーズ。」

「永遠に。」

そしてマイクは住み慣れたデリーの街を離れ、新たな土地で自分の人生をやり直そうと決心します。

マイクの車がデリーの街を去って行く、後ろ姿を映し、この映画はその幕を閉じます。

7.原作者スティーヴン・キングもなんと1シーンに出演!(リサイクルショップの店主役)

最後にもう1つだけ説明を付け加えておくと、映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」

には、原作者スティーヴン・キングもなんと1シーンに出演しています。

スティーヴン・キングの役柄はリサイクルショップの店主役。

『IT/イット』原作者スティーヴン・キングがカメオ出演 ビルと「シルバー号」を巡ってユーモラスなやり取り 映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』

それが遜色なく、全く違和感ない感じで、この映画に溶け込んでいるのが、なんとも微笑ましい限りです。

ビルとスティーブン・キングのやり取りは、

「何か?」

「見せてくれ、この...」

「野球カード?」

「ボウリングの球?」

「バンジョー?」

「ビーバー?

「クソ自転車。」

「汚い言葉を使うなら、出てってくれ。」

「何かお探し?」

「自転車を...」

「作家のデンブロウか?」

「ああ、そうだ。」

「あれは昔、僕のだった。」

「今は俺のものだ。」

「大作家なら買えるだろ。」

「幾らかな?。」

「300ドル。」

「払えるだろ、出してやろう。」

ビルは店のカウンターに自分の著書を見つけます。

「サインしようか?」

「断る、結末が嫌いだ。」

と最後まで人を食ったような、意味のない会話ばかりだが、これがなんともいい味を出していていいんですね~。

この寂れたスモールタウンを舞台に繰り広げられるホラー劇は、舞台がこのような場所だからこそ、幻想と現実の行き来や、過去と現在の行き来が違和感なく展開されています。

そして最後のスタンリーの手紙の文面は一言一言、心に染み渡ります。

この映画は、単なるホラー映画ではなく、私たちの住む社会の本質を見据え、類い稀なほどの鋭い人間観察に導かれたヒューマンドラマ映画の大傑作であるとも言えるでしょう。

映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」

是非お薦めです。

映画「ドクター・スリープ」のレビューはこちら。

【スティーヴン・キングも太鼓判?!】映画「ドクター・スリープ」は、あの「シャイニング」の40年後、堂々完結編!

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