"黄金の風"を観た その②

ジョジョの奇妙な冒険第5部黄金の風を観たので、その感想です。

今回は主に、ブチャラティについて。


こんな人についていきたい

ブチャラティの格好良さは、端的に言うと、こんな人について行きたいと思えるところにあると思っています。自分が観てきたジョジョシリーズの登場人物の中で、そう思えたキャラクターは、ブチャラティが初めてでした。それは、黄金の風の題材の一つとして、組織が描かれていることも要因だと思っています。王道のバトル物でありながら、他のシリーズとは一線を画している気がします。

ブチャラティのリーダーシップと言ってもいいと思いますが、現に、それは本編の随所に現れていました。本人の自信と覚悟に満ちた言動はもとより、チームのメンバーとのエピソードが彼の魅力をさらに引き立てていました。

特に、ナランチャとのエピソードが印象的でした。
アバッキオ、フーゴ、ミスタは自らが勧誘したのに対して、ナランチャは、自身が志願してチーム入りしたのでした。一度は、ブチャラティに甘ったれるなと撥ねつけられるのですが、その時に見せたブチャラティの表情がナランチャに勇気を与え、この人のためならなんだってできると、鼓舞させたのでした。

ブチャラティ自身の印象的なシーンというと、プロシュート・ペッシ戦や、ボスとの対峙、セッコ戦などが思い浮かびますが、ボスの故郷サルディニアでみせた表情が忘れられません。アバッキオが死の直前に、ムーディーブルースとともにボスの手がかりを遺したシーン。

感情をあらわにするナランチャをしり目に、本人も覚悟の上でついてきたのだと、唇から血がにじむほどに苦渋の表情を浮かべるブチャラティ。ボスへの裏切りという、後戻りのきかない選択をしてしまったからこそ、様々な感情が去来したであろう、あのブチャラティの表情が忘れられないのです。

生き返ったブチャラティ

黄金の風を観るのは、3回目くらいなので、ブチャラティの結末は知っていました。それ故に、ボスとの邂逅以後、ブチャラティの死をほのめかすシーンがくるたびに、込み上げるものがありました。

そんなブチャラティが最後に天に昇っていくときに、俺は生き返ったんだと、ジョルノに遺しました。ゆっくりと死んでいくだけだった心が、ジョルノのお陰で生き返ったと。チーム内で、唯一ブチャラティの死を知っていたジョルノに託した言葉が、これでした。ここまでの道中のブチャラティの言動を振り返ると、また込み上げるものがあります。そのきっかけを与えたジョルノ、そして彼の黄金のような夢にかけたブチャラティ。その生きざまに、改めて惚れ惚れしてしまいます。

最終話に、前日譚として挿入されているスコリッピのローリング・ストーンズも、彼らの運命を切り開く覚悟を考えるうえで、重要なエピソードでした。ミケランジェロの彫刻の話も興味深く、それらも踏まえて、最後の最後まで彼らが歩んだ道のりを反芻させてくれつつ、余韻に浸りながら視聴を終えました。

終わりに

夢、運命、勇気、覚悟。黄金の風は、それらを教えてくれました。ジョジョシリーズの中でも、一線を画して好きな作品で、またしばらくしたころに見返すでしょう。

自分も、”眠れる奴隷”でありたいと願いつつ。

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