「映画おしりたんてい シリアーティ」を観た
3月18日に公開された「映画おしりたんてい シリアーティ」を観てきました。
元々、テレビシリーズが好きで観ていたのですが、映画の予告に惹かれたので観にいってきました。
予告映像を観た時点で期待度は相当高かったのですが、それに違わずとても楽しめました。テレビシリーズが好きな人ならば、きっと満足するものと思います。
夢のジャンボスイートポテトまつり
本作は劇場版4作目にして初の長編ということでした。その「シリアーティ」本編の前に短編作「夢のジャンボスイートポテトまつり」がありました。
おしりたんてい事務所を構えるビルの1階にある喫茶ラッキーキャット。そのマスターが材料の発注数量を間違えるというベタなミスから始まり、街の人が集まって巨大なスイートポテトを作るお話。
これといった謎解き要素もなくテレビ通常回でもなかなかお目にかかれない、ただただお馴染みのキャラクターたちがわちゃわちゃするというほのぼの回でした。
”巨大なスイートポテトを作る”という段階では気づきませんでしたが、通常のお菓子作りでは考えられない巨大な窯や重機が登場しだしたあたりで、”これは鉄腕DASHだ!”と思ってしまい、そこからはひたすらに楽しかったです。
最後にマスターが再び発注を間違えるというオチもつき、よし、それじゃあ「シリアーティ」だ。と思っていたその時点では、まさかこの巨大スイートポテトが重大な伏線になっているとは思いもよりませんでした。
私には止められない
「シリアーティ」は、謎のお宝「お・パーツ」を狙う悪の天才・シリアーティ教授とおしりたんていとの対決の構図でお話が進みます。
テレビシリーズにおいても、怪盗Uをはじめ様々な怪盗や窃盗団との対決がありますが、本作においてはその対決の様相がこれまでとは明らかに異質でした。
おしりたんていの最大のライバルである怪盗Uと対峙する時でも、出し抜かれてしまうことはあれど、完全に屈してしまうということはなかったように記憶しています。
それが今回はどうでしょう。
ドーピングによって力を増幅させたシリアーティ教授の圧倒的な”無礼”を前にしたおしりたんていは、ついに倒れてしまうのです。そして、完全に精気を失い、絶望感と無力感に打ちのめされたのちに、こう漏らすのです。
”私には止められません…”
この光景がどれほどの意味をもっているか、普段のおしりたんていの活躍を知っている方ならば、想像に難くないでしょう。
常に冷静で、聡明で、どんな相手にも屈しないおしりたんていさんが、強大な悪の前に倒れてしまう姿は衝撃的でした。
お・し・り!お・し・り!
このままどうなってしまうのか…?と思っていた所に、救いの手を差し伸べたのは、あの巨大スイートポテトでした。
「シリアーティ」の序盤で、巨大スイートポテトの短編が前日譚であることを思わせる描写はありました。ただ、それがシリアーティ教授への逆転の切り札になっているとは想像できませんでしたし、それに気づいた瞬間に、”あっやられた!”と思いました。
そして、単に巨大スイートポテトがおしりたんていの活力となっているだけでなく、これをともに作った住民の懸命な声援が後押ししていたのです。この描写も、ありふれたもののように思えますが、おしりたんていという作品自体が、そのような展開をほぼ通っていないことからも、やはりこの光景は新鮮に映ったのです。
また何よりも嬉しかったのが、この声援をおしりたんていさんの人柄をよく知る、お馴染みのキャラクターたちが送っていることでした。劇場版という特別感のあるストーリーでありながら、いつものテレビシリーズと地続きのお話でもあるということが感じられました。
(この時の声援が「お・し・り!お・し・り!」というもので、さすがに可笑しかったのですが、これが面白くも真っ当な声援になるのも、おしりたんていというキャラクターのなし得る業なのかと思いました。)
終わりに
本作及びテレビシリーズを製作している東映アニメーションといえば、ドラゴンボールやプリキュアなど、いわゆる王道的な展開が魅力の作品が思い浮かびます。その王道の展開を、このおしりたんていというシリーズでみせてくれたことに一つの意味があったように思います。
繰り返しになりますが、劇場版というハレの舞台でありながら、テレビでのレギュラー放送とのつながりをみせてくれたことが嬉しかったです。また、短編を丸ごと伏線として物語を完結させてしまう展開にも驚きつつ、十分に楽しませてもらいました。
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