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400万円が必要?!重度障がいがある私たちがしっかり働くには…

首から上しか動かない私ですが、毎日朝から夜まで働いています。これだけ働くには、働く為のある程度整った環境が必要となります。最新の機械や特殊仕様のハード面も必要ですが、ソフト面も絶対いります。
例えば私がどのような業務をしているかというと、ほとんどパソコン業務です。そして、時々講演会業務や、コンサルタント業務でトーク業務があります。

もちろんこのような業務内容だったら、障がいがない人は、1人で準備して仕事をこなして、片付けをして、業務完了となるでしょう。でも私の場合は、そうはいきません!パソコンの電源を押してもらうこと、パソコンを置いている移動式のテーブルを近づけてもらうこと、顎専用マウスをセットしてもらうこと、マウスの場所をセットしてもらうこと、身体の場所を最終調整してもらうこと、等を手伝ってもらう必要があります。

そうそう、喉が渇いたときに、自分で水分補給が出来るように、テーブルの上に飲み物をセッティングしてもらう必要もあります。

パソコン業務を開始するまでに、必ず私以外の誰かの助けが必要となります。つまり、重度障がい者が、働く為には、必ずソフト面の介助者が不可欠要素です。

ヘルパーさんに頼めばいいんじゃないの?

とてもよく聞かれる質問です。そして核心でもある質問。
障がいがある人に取って欠かせない存在はヘルパーさんです。ただ残念なことに、ヘルパーさんを仕事の時にお願いするのは、一部でしか規制緩和をされていない現状があります。

つまりヘルパーさんに頼めません。実際私も、13年仕事をしていますが、もちろん決まりをちゃんと守って、仕事のことでは頼んでいません。

規制緩和で新しい仕組み?!

上述の大きな壁に、少しだけ風穴が開いたのは、昨年10月のことです。重度訪問介護という制度を活用している重度の障がいがある方に対して、仕事の時間にヘルパーさんに手伝ってもらうことが出来るようになり、その時間の経費を国が助成してくれるモデル事業ができ上がりました。

私は現状、重度訪問介護制度を活用していませんが、活用出来る身体的状況でもあります。今よりさらに仕事がやりやすくなるのであれば、ぜひこの制度を活用したいと思っていろいろと調べてみました。

しかし、どうやら重度訪問介護制度でそのまま活用出来るものではなく、企業側には、かなり負担をかける制度みたいなのです…!

この制度を活用する場合、企業にとっては概ね400万円の準備が必要になります。重度訪問介護事業者に、企業が1週間40時間の介護依頼をした場合、1ヶ月約40万円強の費用が企業負担となります。この企業負担に対して、国から助成月額上限15万円が企業に支給されます。(1年間限定)

実際の流れを考えてみると、企業が重度障がいがある人の雇用をスタートして、月額40万円で重度訪問介護事業者に依頼し、介助者が介助をはじめます。介助が始まって、企業は「助成金を取得する資格の申請」をします。助成資格を得るまで2ヶ月かかります。「助成金給付申請」を6ヶ月目に行い、審査後の支払いがさらに2ヶ月後。ここまで合計10ヶ月分のお金400万円が必要です。ちなみにここまでに入る助成金は、90万円のみ。このあと半年ごとに240万円かかって90万円助成を受けます。

それに加え、障害者雇用助成金の手続き等の事務作業は、とても大変です。ここにも、事務員さんのコストがかかります。概算では、年間数十万円になるでしょう。

このような状態では、この制度等を活用して、業務時間中頻繁に介助が必要な方を雇用しようという企業は、増えないでしょうね。

…もちろん、上記以外に企業は、重度障がい当事者本人の給与や社会保険も必要ですから、中小企業ではかなり、かなりきついと思います。(私も中小企業の経営者ですから。)

在宅ワークは働きやすいか?

通勤するよりは、圧倒的に働きやすいでしょう。私も現状は、というか最初から在宅ワークです。私は、働く為に自宅に職場を作り、起業し、一人暮らしを諦めました。働く為に、介助者の存在が絶対必要だと、早々から感じたからです。

在宅ワークで、フレキシブルな労働時間であれば、かなり働きやすくなります。どのようにフレキシブルにしてもらえると働きやすいのか?

例えば、お昼休みを1時間長くしてもらいます。2時間の昼休みの間、仕事時間じゃないのでヘルパーさんに入ってもらい、食事介助やトイレ介助等をしてもらい、ヘルパーさんが帰る前(昼休み終了前)に、仕事に必要なテーブルやパソコンの準備をしてもらっておきます。もちろん、終わりの時間を後に1時間延長になりますが、4時間連続して仕事をして、2時間休憩の間にいろいろと介助をしてもらい、また、昼から4時間連続して業務を行い、お仕事終了となります。

このようなフレキシブルな労働時間制度を認めてもらえるのであれば、意外と働けそうじゃありませんか?!だって私自身が、このような方法で13年間お仕事をしていますから。

テクノロジーの活用

最近では、福祉関係のテクノロジーもどんどん発展してきたので、導入することで、重度障がいがある私も随分働きやすくなってきました。

たまに交流させていただいている#吉藤オリィさんが開発しているオリヒメは有名ですね!他にも音声認識ソフトや読み上げソフトボイスオーバー、 iPhone の音声認識で電話をかけられる等。

とにかく今のテクノロジー、これからのテクノロジーには十分にアンテナを張って情報をキャッチすることが大切だと思います。
私も使いながら、便利なアプリや方法論等を発信していけたらと思っています。

これからの環境づくり

これまで書いてきたように、やはり私たちが働く為には、ソフト面の介助者の準備や、ハード面のテクノロジー機器を使いこなす必要があります。また、規制緩和等の制度にもアプローチする声を上げていかなければいけません。その為に、自分のコミュニケーション力や発信力、テクノロジーの知識や技術、そして労働意欲を向上させておくことが大切です。

私もそれらの能力を高めながら、働いています。そして、働いて、同じような当事者の働きやすい環境を作る努力を続けたいと思います。


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