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ティキの庭園の夢見(ハワイのシャーマニズム)

「夢見の技術」に書いた文章を転載します。


ハワイのシャーマニズムの「フナ」では、「ティキの庭園」という夢見を行います。

この庭園は心のあり方を表現する特別な場所で、夢見で定期的に訪れることで、人格を変容させたり、様々な知恵を得るのです。

かなり複雑に形式化された方法なので、高等魔術の夢見に近いものになっています。


庭に入る


「ティキの庭園」は「内的な庭」とも表現されます。

「ティキ」は意識のエネルギーという意味です。

庭園は人生のあらゆる体験を象徴的に表現しています。

そして、庭園は「知恵」の場であり、「力」の源です。

庭園には様々な動植物や風景があります。

どんな庭という決まりはありません。

これらはそれぞれが無意識の能力の直接的な象徴です。

ですから、自分の心の状態がそこに表れます。

と同時に、庭園に手を加えて変化させると、自分自身の意識・無意識も変わります。

つまり、庭園は自我が接する無意識の縮図であり、同時に、無意識の働きの操作盤のようなものです。

定期的に庭園を訪れて、手入れします。

できれば、毎日5分、寝る前などに行います。

庭園はここを訪れる度にリアルさを増していきます。

これによって、人生の時々の問題を解決します。

自分が成長するに従って、庭園で新たな存在を見い出し、庭園は変化します。

庭園に夢見は、いつでも、どこでもできます。

夜に見る「明晰夢」ででも、夢に近い視覚化をする「白昼明晰夢」ででも、そこまで視覚化しない「ドリーム・ワーク」でもかまいません。

庭園を作るのは、無意識に要請するだけで、とても簡単です。

心を落ち着かせ、「内なる庭を作ることを感謝します」、「内なる庭に入れてもらえることを感謝します」、「庭にあるものをイメージで示してくれるのを感謝します」と自分の心に唱えます。

無意識に対して何をする場合も、命令や懇願でなく、前もった感謝をして行うことが、最も効果的です。

そして、夢見の状態で、庭園が現れるのを待ちます。

庭は基本的には自分が気持ちよいと感じる場所であると考えてください。

恐れを抱かず、愛と感謝に満ちた気持ちでいることが重要です。

庭が現れたら、全体を漠然と眺めるのではなく、一部分をはっきりと感じます。


庭の手入れ


通常は、庭園では「手入れする」のが、最も基本的な行為・目的です。

「手入れする」とは、現在の自分が抱えている問題を、心の象徴的な表現である庭園を介して解決することです。

庭の中で、崩れている部分、乱雑な箇所、雑草だらけのところ、植物が枯れかけているところなどが問題の箇所です。

手入れが必要なところが分からなければ、庭園の中で、「手入れが必要なところを教えてくださるのを感謝します」と唱えればよいでしょう。

それが、自分の何の問題を象徴しているのかは、理解する必要がありません。

理解できなくても、それを修復すると、自然に問題が解決する方向に進むのです。

壊れている部分は直し、役立つ植物を育てるなどの修復、あるいは庭の拡張を行います。

望む状態になるまで続ける必要があります。

問題だと思っていたところが、単なる欠落ではなく、意味がるものに変わるような、贈り物であったという場合も多いのです。


援助者を招く


庭園には、自分を援助してくれる存在を招くことができます。

ハワイでは「アウマクア」と呼ばれる「指導霊(ハイヤーセルフ)」や、「パワー・アニマル」、「精霊(スピリット・ヘルパー)」です。

「内なる神よ、庭においでくださり、お名前かイメージ、シンボルを示してくださるのを感謝します」と唱えます。

姿を現すと良いですが、何かを感じるだけでもいいでしょう。

できたら、自己紹介してもらいます。

そして、尋ねたいことを尋ねます。

漠然と直観的に何かを感じたのであれば、「…と感じましたが、…という意味ですか」と3回尋ねます。

深呼吸をして心を落ち着かせ、頭が作った答えにならないようにします。

パワー・アニマルは、動物の姿をした守護霊で、生命力の源であり、アルター・エゴ(もう一つの自己)的存在です。

パワー・アニマルからは、力や道具、技能をもらえます。

しかし、パワー・アニマルは庭で待っていて招くことはできないので、天上に探しに行きます。

質問によっては、その分野に関わる援助者(ヘルパー)を招き入れます。

例えば、情熱が足りないと思っていたらのなら、火の精霊を招く、といった具合です。

内なる庭に、苦手な人間のハイヤー・セルフを招き入れるという方法もあります。

自分のハイヤー・セルフを通して交流するのですが、ただ感じるだけで構いません。

困難な状況や苦手な人物は、新しいあり方に成長するための贈り物となります。


3つの世界


フナの世界観では、「天上世界(ラニケハ)」、「中間世界(カヒキ)」、「地下世界(ミル)」の3つの世界があります。

庭園は「中間世界」にあり、ここには「バリ・ハイ(不思議の島・村)」があります。

「天上世界」、「地下世界」、「不思議の島」には、庭から行くことができます。

「天上」には神や英雄、指導霊、パワー・アニマルが住んでいる場所です。

ネオ・シャーマニズムでは、パワー・アニマルは地下にいると考えるので、異なります。

リアルな夢の多くはこの領域の夢です。

シャーマンはインスピレーションを得るためにここを訪れます。

パワー・アニマルを獲得したり、パワー・アニマルから力をもらうためには夢見で天上に行きます。

天上には、庭園にある木や梯子を登って、天の穴を抜けて天上に登ります。

飛んでいくと帰れなくなるので、この方法は避けます。

そして、パワー・アニマルが現れるように頼みます。

パワー・アニマルが現れたら庭に連れ帰るか、贈り物や力をもらって庭に戻り、保管します。

最終的にはパワー・アニマルには天上に帰ってもらいます。

「地下」は悪夢と試練の場所です。

そして、失った力や、力を持つ呪物(パワー・オブジェクト)を取り戻すための重要な場です。

「地下」へは庭園にある洞窟や木の洞から降りていきます。

一番奥深い場所には宝物があるので、それを手に入れて持ち帰ります。

途中で様々な困難に会うかもしれません。

通常の夢や白昼夢は、「中間世界」で生まれます。

中間世界の中に「ティキの庭園」があり、庭から「不思議の島」に行くことができます。

「不思議の島」には先祖のシャーマンがいて、様々なことを教えてくれたり、シャーマンが残した様々な道具があります。

ここは、学び、癒し、自分の新しいあり方を発見する場所です。

利他的な活動もここで行います。



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