コロナ失業まであと11日

PCを開くと

もはや自分宛てのメールはない。
ずいぶん以前に設定された自動転送のメールが
いまだに無意味に届く。
一応ひとわたり目を通し
全部削除する。

これが毎朝の日課だ。


ソーシャルディスタンスを保つため、
勤務に復帰した時点で既に席替えが行われていた。
空いている席に適当に、と言われつつも
隣同士に座るなというお達しが出ているうえ、
どこが誰の席か、今日は誰が出社か在宅かそれすらもわからないので
下手に席に座れず、結局休憩室の一隅を4時間陣取ることにする。


もともとコミュニケーションの少ない職場ではあった。
これまでアシスタントという立場のアルバイトを雇ったことのない部署で
実験的に採用された私一人。
同じ立場のアルバイト事務員も他にいなければ
社員とは仕事のやり取り以外は交流がない。

とはいえ、別に雰囲気や居心地が悪いわけではなく。
むしろ自由に自身の裁量で与えられた仕事を黙々とこなせばよい、
たまにはそれなりのスキルが要求される仕事が来たり
ルーティンワークと臨機応変が程よく入り混じった仕事内容には
実に満足していた。

まぁしかし、誰かの業務をサポートすれば当然その人とはメールや言葉を交わすし
席についていれば周囲の人とは多少の会話もある。
ここには心地よい孤独しかなかった。

今はこの大きな会社の中で
本当に一人だ。


今思うに
この会社でアルバイトとはいえ、第一線で活躍する社員からお願いしますと仕事を振られることは
自分の価値を自分自身で高められる、自己肯定感を強く感じられることだったのだろう。
もしかしたら初めてのことだったかもしれない。

自身のすることが誰かの仕事を軽減させることができる
それどころか営業成績を上げたり結果収益に貢献出来たり
この大きな会社で自身もその役割を担うことができていると思える。
なるほど大企業で働くとはこういうことなのかと、

そしてその中で窓際になるとはこういうことなのかと。

これは、アレだ。
アルバイトの私でさえこれほどのダメージがあるのだから
それまで社員として会社に尽くしてきた人には

それこそほんとに、心が死んでしまうほどの傷をつけるだろうなぁ…


さぁ!仕事を探さないと。

私より頭の悪い人から非効率な方法を押し付けられるのは心底嫌だし
従業員や部下を信じられずに仕事が振れない無能な上司も大嫌いだし
ベッタリと横のつながりに寄りかかって常にだれかの陰口を言い合って喜んでいるクラスター集団も嫌いだ。

…。

まったくやる気にならないなぁ…


2020/6/19

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