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【読書メモ】戦争とは何か~国際政治学の挑戦~

本を手放しても心に留めておきたい部分を書き残しておくためのnoteです。
本の要約ではなく、あくまでも自分が心に留めておきたいところの抜粋や要約です。

多湖淳 著
中央公論新社 (2020/1/17)

概要
「戦争の原因には何があるのか」「国際介入の効果とは」「民主主義と平和は関係があるのか」「戦争を予測することは可能か」…。本書は、国際政治学の最前線の成果を生かして科学的に国家間戦争や内戦を論じ、多くの疑問に答える。そして緊張を増す東アジアの現状を踏まえ、日本の安全保障などの展望も示す。歴史やイデオロギーから一定の距離を置き、データ分析から実証的に国際情勢と戦争の本質に迫る試み。

中央公論新社ホームページよりhttps://www.chuko.co.jp/shinsho/2020/01/102574.html

●戦争は数えられる、平和は数えられない
・war=可算名詞・peace=不可算名詞→平和は漠然とした状態
・「病気(disease)=可算名詞・健康(healthy)=不可算名詞」と似ている。

●戦争の始まりをめぐる議論
戦争が悲惨で必ず大きなコストがかかる行為だと知っていれば、まず話し合いをするのが当然だろう

ここで、戦争が選択されるのだとしたら、合理的なアクターが話し合いで問題を解決できないことを意味する。「何か」が交渉と話し合いによる解決を阻んでいる。

●軍需産業とコスト
戦争は利益を生むという議論

軍需産業にとって軍拡やエスカレーションは望む=武器が売れる
しかし、武器工場や施設は攻撃を狙われる格好のターゲットで、実際の戦争で起こる破壊コストを最も負担するのは軍需産業。

●戦争の始まり方
①情報の非対称性
情報が確実ではないこと+ブラフ(はったり)
②相手に関する確信
パワーシフトとコミットメント(約束)問題
→予防戦争の論理(将来、自分の力が弱くなると考える国が、今の時点でより有利な状態で予防的に相手を負かすべく選択される戦争)
③価値不可分性
→宗教的聖地、領土

●戦争の終わらせ方
①情報問題の解消
②圧倒的勝利
③交渉

●平和の条件
民主的平和論
・報道の自由
・経済的相互依存(商業的平和)
・制度的平和

●著者が中長期的に心配するのは、日本人が日本の国力の相対的な低下を前に過度の不満をためること、そして、予防戦争の論理でエスカレーションを引き起こしてしまう危険性である。…日本がそういった国ではないことを示す責任はわれわれにある。周囲に安心感を与える強い国になること。

●平和愛好国
軍事力が小さく、中小国であり、国富が相対的に小さく、民主主義国で、相互依存の程度が大きく、国内の政治的安定度が高く、また同盟国の数が少ないこと

●戦争中毒国
軍事力が大きく、大国であり、国富が相対的に大きく、相互依存の程度が低く、国内の政治的安定度が低く、隣国の数が多いこと

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