vol.1 校舎のおはなし(後編)
前編はこちらから。
オランダにおける教育施設の在り方について。
村山:昨年の夏には、設立準備室メンバーと一緒にオランダの教育施設を訪問されたとお聞きしました。
望月:オランダの建築って、建築の歴史上、とても重要な位置付けにいるんです。実は今回、初めてのオランダ訪問だったので、そういった建築家たちを輩出するオランダとはどういう国なのか?、そんな建築家たちを生み出す教育とはどういう教育なのか?、さらにはその学校はどんな建物なのか?と興味は尽きず(笑)、まずは憧れの地を体感しよう!と思って行きました。オランダは国土の大部分が海抜0mで、その全てがデザインされてると言ってもいいくらい、自然と人とが共存するための仕組みを超人工的に、計画的にデザインしている国なんですね。なので、デザイン大国の教育施設を案内してもらえるというまたとない機会をいただけたのは、本当にありがたかったです。
村山:学校の様子はいかがでしたか。
望月:教室以外の共有スペースが多いことが印象に残っています。大・中・小のスペースがあって、大きいところは大勢で集まる場所、中くらいのところはちょっと集まって先生と数人が学び合ったり学生同士で勉強しあったりする場所、そして個別で勉強したり本を読んだりする場所など、居心地のバリエーションが複数用意されていて、生徒が用途によって自由に選択できるのはすごくいいなと思いました。あとはカラフルで様々な形の家具がいろいろあって、機能的にも視覚的にも空間のバリエーションに合わせて整えられていて、西小のリノベーションの参考になりました。
塚原:リヒテルズさんともお話しされていましたよね。
望月:息子さんが建築をやっているそうで、リヒテルズさん自身もすごく建築がお好きなんですよね。オランダの教育施設のお話しだけでなく、息子さんの携わった建築の話もお伺いできて、 リヒテルズさんとのお話、とても楽しかったです(笑)。オランダという国の持つ、力強く人工的に環境や都市を変えていく躍動感が、建築、芸術、教育環境などを通して身体的に感じられたことが大きな収穫でした。
西小リノベーションプロジェクトの現在地
村山:西小のリノベーションプロジェクトは、いま何合目くらいですか?
塚原:どうだろう。2合目?3合目?
望月:ようやくスタートラインに立ったっていう感じで2合目くらいかな。解体して初めて見えてきたこともかなりありましたよね。
塚原:山に登り始めるまでの試行錯誤が想定以上にあって、登山口に到達するまでが長かったんですよね。だから、ようやく登り始められて、2合目まで来たという意味では、すごく進んだように感じています。少しずつ形になってきたなと。
村山:内覧はいつ頃できそうですか。
望月:ある程度の目途がついたところで一旦見てもらうことはできるよね。現場はワクワクしますし、一緒に参加してる感も出ますしね。
塚原:そうですね。ぜひ見てほしいです。来年の桜の咲くころには皆さんに見ていただけるんじゃないでしょうか。
いかにポジティブに面白がれるか。
建築設計が羅針盤だとしたら、船を漕ぎ、具現化してくださるのが建設会社の皆さんです。今回パートナーとして動いてくださっている建設会社さんは、地域の職人さんとの豊富なネットワークを持ち、あらゆることに柔軟に対応してくださり、これまた信頼感・安心感が絶大です。プロフェッショナルな方々と「校舎」を通じて子ども達の未来を考えていく作業は、やはり心が躍ります。
廃校をリノベーションするということは、既存の建物と対話しながら、様々な制約条件を乗り超えていくということ。目の前にある資産を大事に使って、そこにある歴史や思いを受け継ぎつつ、せっかくなら「旧佐久西小だからできたよね」と言えるような校舎にしたい。だからこそ、みんなで知恵を出しあいながら、前向きに、面白がりながら進んでいきたいと思います。新しい学び舎をお楽しみに!
【中等教育学校設立準備室メンバー】
中等教育学校設立準備室のスタッフを紹介します!
現場での役割と中等教育学校の設立準備。両輪で全力疾走中です。
【ライター】
村山美野里 茂来学園 広報&バックオフィスサポート