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コラム(21日)、極右と左翼連合に厳しい対応、フランス経営者団体

世界中で選挙に注目が集まっている。その一つがフランスの国民議会選挙だ。マリーヌ・ルペン氏率いる極右政党「国民連合(RN)」がE U議会選挙で勝利した直後に、マクロン大統領が電撃的に下院議会を解散し総選挙に打って出た。現時点での予想はR Nが第1党、ついで左翼連合が第2党となりマクロン氏率いる再生(R E)は第3党に転落すると予想されている。こうした中で、日本の経団連に相当する「フランス企業運動(MEDEF)」が左右両勢力に噛みついた。左右両勢力の公約は「財政再建を難しくする」と主張、左右の両勢力は現実離れした公約をかかげて勝利を目指しているというわけだ。どこかの国の財政健全化の主張に似ている。E Uの執行機関である欧州委員会は直前に、フランスなど7カ国に財政規律違反の是正を求める「過剰赤字手続き」を開始している。にもかかわらず両翼とも有権者受けを狙ってバラマキ政策を公約に掲げているというわけだ。

ブルームバーグ(B B)は「マクロン大統領と対立の極右と左派連合、仏経営者組織は厳しい対応」と題した記事の中で、フランスのシンクタンク・モンテーニュ研究所が20日に公表したリポートを紹介している。それによるとRNと左派連合、マクロン氏与党の主要3政党の選挙公約を実現させるには、「消費者の所得向上措置だけでそれぞれ年100億ユーロ(約1兆7000億円)以上が必要になる」と試算している。マクロン氏の公約も現実離れしているわけだがMEDEFが批判しているのは極右と左翼連合だけ。なぜそうなるのか不明だが、この日に実施された国債入札では価格の急落が回避され比較的平穏な結果になったようだ。MEDEFによる極右と左派連合批判が奏功した形になっており、左右両翼に分かれて人気化している有権者の異常な選択行動に水を刺す形になった。

B Bは主要3勢力のうち、「最も急激なのは左派の計画だ」と強調している。「左派連合は最低賃金の大幅な引き上げとマクロン氏が導入した富裕層向け減税の撤廃、所得税制の変更、生活必需品の一部に対する価格統制などを唱えており、ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミストらによると、約880億ユーロの財政緩和が必要になる」と分析している。左派連合に参加している「不屈のフランス」のエリック・コクレル元下院財政委員会委員長は、「E Uを説得して財政規律を緩めよ、それができないならE U離脱だ」との主張を展開している。すわブリグジットの再来か。一方のルペン氏は選挙後にマクロン氏と協力する意向を示している。マクロン氏は選挙で敗北しても大統領に留まると宣言している。要するにMEDEFは中道右派のマクロン氏を含めて右派連合による新しい政権の誕生を望んでいるということだろう。それにしても選挙の公約と現実の、埋めることができないほどの大幅な乖離が気になる。


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