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ジャーナル(9日)、日本財政は本当に危機的なのか?5年度決算にみる“実態”

フランスは総選挙の結果、国民議会が新・左翼連合、与党・中道派、極右・国民連合に分裂した。いずれの勢力も過半数に達しておらす、議会はハング・パーラメント(宙づり議会)に陥った。こうなると誰も何も決められなくなり、国全体が混乱と停滞に覆われることになる。山積する問題の中で気になるのは来年度予算の編成だ。フランスは現時点で一般会計の赤字がG D Pの5%に達している。E Uの規則では赤字はG D Pの3%以下に抑えることが義務付けられている。このままだとフランスは来年度予算は超緊縮予算を組まざるを得なくなる。議会第1党に躍進した新・左翼連合はE Uの規則そのものに批判的だ。同連合が政権を握った場合には「E U離脱」といった事態も起こりかねない。極右の国民連合とて緊縮財政は受け入れないだろう。はたしてこの先どうなるか、フランス政局を見つめる部外者として、注目している論点の一つだ。そこで気になったのが日本の財政事情。

日本の財政はすでにG D Pの2.6倍に相当する赤字を抱えている。財務省の推計によると、2024年度(令和6年度)末時点の普通国債の発行残高は、1、105兆円。フランスの財政赤字は2022年段階で2.77兆ドル程度だ。日本円に換算すれば440兆円〜450兆円といったところか。日本に比べるとだいぶ低い。とはいえフランスにはE Uの規則が重くのしかかる。財政危機は日本の比ではないのかもしれない。他国はともかくとして日本はこの先どうなるのか。少し前だが財務省は令和5年度の一般会計の決算を発表している。とりあえずその数字を見てみる。以下はNHKの記事。「令和5年度の国の税収は72兆円余りとなり、4年連続で過去最高を更新しました。円安が進み、輸出企業を中心に業績が好調だったことから法人税の税収が伸びました」とある。

円安効果で税収は72兆761億円となり、2年連続で70兆円を超えたのだ。前年度比で9388億円の税収増、4年連続で過去最高を更新した。まさに円安効果だ。この結果、23年度の新規国債発行額は補正予算段階で44兆4980億円を計上していたが9兆5000億円圧縮され、決算ベースでの発行実績は34兆円9979億円となった。喜ばしい限りだ。だが喜んでいるのは財務省だけだ。国民は円安に伴う輸入インフレに直撃されている。給料が上がっても物価の上昇に追いつかない。社会保障費も加速度的に負担額が増えている。フランスとの違いは国民がこれに耐えていることだ。いずれどこかで何かが起こりそうな気がする。経済の好循環とは円安を止め、金利のある世界の中で税収が増える経済インフラを整えることだ。日本の現状は給料が上がっても国民負担がそれを上回って増えていく。この悪循環はどうやったら止まるのだろうか・・・。

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