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2月3日 節分

 赤鬼は泣いた。
 豆をぶつけられたからだ。それも親友だと思っていた青鬼にぶつけられたのだ。
 青鬼も泣いた。
 節分というものを最近知った。なにやら健康祈願の為に豆を相手に投げつける行事だとか。そこで親友の赤鬼に豆をぶつけたら泣かれた。親友を泣かせた。つら。
 黄鬼は戸惑った。
 近くの村で聞きかじった節分なるものを青鬼に教えてやった自分のせいで、悲劇が起こってしまった。どうしたものかとオロオロする。
 緑鬼は豆を食べていた。
 豆をぼりぼりぼりぼり食べていた。この豆は、自分の歳の数だけ喰わねばならないらしいじゃないか。ぼりぼりぼりぼり。よし、あと残り三百個ほどだ。ぼりぼり。
 村人達は物陰から鬼達の様子を眺めていた。
 鬼さん達に食べてもらおうと恵方巻きをたくさん作り、彼らの住居まで運んできたが、どうも揉めているような気配。ここは助けに行くべきか、そっと見守るべきか、村人達は話し合いを始める。緑鬼がこっそり腕をのばし恵方巻きをつまむ。

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